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プロローグ 〜出会い。委員長とズットモ〜

世はパリピギャル戦国時代。

幾多のギャルが現れ流星のごとく輝いては消えていった。


時は流れ――


四人のパリピギャルが産み落とされた。

時代が違えば各々がギャル戦国天下を治めうる器。

しかし同時期、同世代に生まれた彼女らは覇を競い争う。


北方の支配者アゲポヨ。

南方の守護者バイブス・ブチアゲ。

東方の鬼母神ウェーイウェーイ。

西方の覇王テヘペロ。


四ギャルの力は拮抗していた。

永きに渡り睨み合いが続き、ギャルたちの争いはこう着状態に陥る。


一時の安寧。

争いにより荒廃した世には、仮初めの平和が訪れていた。



とある寒村で、名もなきモブギャル集団が暴れていた。


「おらぁ! 大人しく年貢を寄越しな!」

「きゃあ!」


ギャルは抵抗する村人から米俵をぶんどった。

このモブどもは西の覇王テヘペロ配下の徴税ギャルたちだ。

いまは年貢の徴収にきている。


「お、お願いです! どうかそのお米を返して下さい! それを持って行かれては、私どもは餓死してしまいます!」


三つ編み眼鏡の貧相な娘が涙ながらに訴える。

しかしモブギャル徴税官は聞く耳を持たない。


「へへっ。知るかよ! じゃあ飢え死ねばいいんじゃね?」

「……そ、そんな……あんまりです……!」


眼鏡娘がうなだれた。

しくしくと泣きながら思う。

ギャル乱世なんて真面目な一般ピーポには辛いだけ。

眼鏡娘の胸――貧相な顔に似合わず、たわわに実っている――を絶望が苛んだ。

しかしそのとき、


「ウェーイ! ちょい待ちー!」


快活なパリピ声が響いた。

一人のギャルが現れる。


キラキラに光るエクステ。

ばっちり決まったギャルメイク。

手入れの行き届いたネイルもポイント高い。


このギャルの名はズットモ。

お金もないのに気の向くまま諸国を漫遊しているニート的な何かである。

ズットモは言う。


「へーい、そこのアンタぁ! ずっと見てたけど、今のはちょっとバイブス盛りすぎじゃね? けど方向間違ってんよ。んー、流石になしよりのなしだわぁ……。いじめかっこ悪い的な?」


突然現れたズットモ。

ギャル徴税官たちはしばし面食らうも、すぐに気を取り直した。

モブギャルとてギャルの端くれ。

こういう切り替えは早いのである。


モブギャルがキレる。


「うるっせー! 誰か知んないけど、チョーシこいてっとブッコロ――」

「とう!」

「ふぎゃ!」


モブが話し終えるよりはやく、ズットモが怒りのバイブスをぶち上げた。

右ハイキックである。

ネイルのせいで拳は握れないのでグーパンは撃てない。

だから蹴るのだが、蹴るとスカートが捲れてパンチの代わりにパンティが炸裂する。


「……あ、やばば! かまちょムーブ草すぎて蹴っちゃったじゃん!」

「こ、こいつ! よくもやりやがったな!」


残りのモブギャル徴税官が一斉に掛かってきた。

ズットモが迎え撃つ。


「ほわちゃ! あちゃ! あちょおお!」


瞬く間に全部倒した。

死屍累々である。

ズットモはうつ伏せに倒れたモブギャルを踏みつけながら歩き、三つ編み眼鏡娘に歩み寄る。

そして言い放つ。


「ぶはっ、何そのメガネ、受けるー! 委員長じゃん、委員長!」

「い、委員長じゃありません! 私にはちゃんと名前が――」

「あー、そんなんどうだっていいじゃん。とにかくほら、涙拭いた方がいいし?」


ズットモは指で委員長の涙を拭ってやった。


「私はズットモ。ね、アンタ名前は?」

「は? いま名前なんかどうでも良いって……」

「そだっけ? じゃあまぁいっか! きゃははははは!」


委員長はムスッとした。

対してズットモは何がツボに入ったのか、腹を抱えて笑っている。


これが後に、ともに手を取り合ってギャル乱世を駆け抜けることになる二人の、最初の出会いであった。

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