剣術大会 4
剣術大会はいよいよ決勝を迎えようとしていた
「いよいよ決勝だな」
「あなたの土方歳三はとても強いけど、私の佐々木小次郎はもっと強いわよ」
カリンは自慢げに言っている
「わからんよ、土方歳三は剣術も使えるし何より頭が良い」
「それは決勝での戦いを見て言ってよね」
お互い自分の仲間が強いと張り合っており譲らなかった
「いよいよ決勝になります!」
「おおおおお!!!」
観客もついに決勝が始まるとしていつも以上に盛り上がっている
「決勝に進んだのは異例中の異例!トッシーとコジロウだー!」
「きゃああああ!トッシー!」
「コジロウー!!」
心なしかトッシーとコジロウを見に女性たちの数が多くなった気がする。噂を聞きつけてここまで来たのか
「まずは、この都市で剣豪と呼ばれる冒険者ユリースを打ち破り決勝に勝ち進んだトッシー!」
実況者シリウスの紹介に前へ出る土方歳三
「次は、圧倒的な剣裁きで猛将と呼ばれた将軍ダンを降参させたコジロウー!」
佐々木小次郎も前に出た
「準決勝まで一撃で敵を沈めてきた両者が相まみえる時がついにきた!どちらの矛が強いか私達にはわからない!この試合は見ものだー!」
「おおおおおお!!」
「どっちが勝つんだ!?」
「俺はトッシー勝つと思う!」
「俺はコジロウだ!」
観客もどちらが勝つか気になるようであった
「それでは皆様お待ちかね決勝を始めます!」
お、ついに始まるか
「決勝戦始め!」
ついに決勝が始まった
「私からいきます」
佐々木小次郎がそう言うと土方歳三に向かって走り始めた
「秘技『燕返し』!」
いきなり畳みかけにきたか
土方歳三は一太刀目を軽々と避けた。だが、問題は二太刀目だ
視線を上に注意をそらせて、下からの斬利上げによる死角からの二太刀目
「闇魔法『闇の衣』」
土方歳三は闇を身にまとって二太刀目の軌道をそらせて避けた
「よ、避けったー!あの将軍ダンでさえも攻略しきれなかった秘技『燕返し』を一発で攻略したああああ!!」
シリウスは興奮が抑えきれなかった
「なるほど、死角から来るのはわかって魔法でカバーしましたか。中々やりますね」
「今度はこっちから行くぞ」
土方歳三は木刀を構える
「剣技『暗楽殺』」
急所に向けて技を仕掛ける
「風魔法『風纏い』」
佐々木小次郎の全身に風を纏って攻撃を防いだ
「剣技『岩流抜刀術・岩崩し』」
佐々木小次郎は抜刀術で土方歳三を倒そうとする
「闇の衣では防げない攻撃だぞ」
「剣技『一閃』」
土方歳三は自分が持っている剣技で最大の攻撃力を誇る技を繰り出した
お互いの技がぶつかりあった時、衝撃により土煙が闘技場を覆った
「なんだこの威力はー!?次元が違い過ぎる!何が起きてるんだー!?」
シリウスは土煙で何も見えない状態でありながらも実況を続ける
土煙が晴れていき、土方歳三と佐々木小次郎の姿が見え始める
「なるほど、技を技で打ち消しましたか。なかなかやりますね。もっと楽しみたいところですが、木刀の方が限界にきたようです」
佐々木小次郎がそう言うと、土方歳三と佐々木小次郎の木刀が粉々になった
「私ももっと戦いたかった」
「え...?あのコウキリンで作られた折れた...?」
シリウスは予想外の事態に言葉が詰まる
「おい、この状況はどうするんだ?」
シリウスは慌てて運営に対応をどうするか聞くようにスタッフに頼んだ
「これは、引き分けかもしれませんね」
「そうかもな」
佐々木小次郎と土方歳三が、そんな話をしているとスタッフがシリウスのところに戻ってきて運営の方針を教えに言った
「ただいま、運営からの判断が来たので言います。今回の試合は引き分けになります!優勝者はトッシーとコジロウ!」
1番硬いと言われていたコウキリンで作られた木刀が折れた事により、剣術大会はトッシーとコジロウの2人が優勝という形になった
「あれが、剣術大会で話題になったトッシーとコジロウか」
剣術大会の運営席で2人の男が来ていた
「はい、今大会に突然現れて出場者をほぼ一撃で倒してきています。今までの経歴は不明です」
運営のスタッフはそう答えた
「この人らはどう思う?ウラド殿」
「ふむ、あの強さ...霊魂召喚で召喚された偉人たちに違いません」
その2人は領主アキリスとヴラド3世であった
「その2人の主はいるのか?」
「はい、関係者席の所にいます」
「ヴラド殿、この2人の主は恐らくダンジョンマスターに間違いないが、ここで処分しておくべきか?」
ヴラド3世はしばらく黙り込む
「いや、まだ正確に敵意があるとは限りません。下手に手を出すと他のダンジョンマスターに警戒心を与えてしまいます。ここは、顔を知るだけで良いものかと」
「なるほど、確かにいきなり処分をしようとするのもまずいな。他にも仲間がいるのも間違いないだろうし、相手の戦力がわからない状態で戦うのもまずいな」
アキリスはヴラド3世の助言を聞いて、いきなり戦うのはまずいと判断した
「まずは授賞式だな。準備をしてくれ」
「はい、準備します」
アキリスは授賞式の準備をするのと同時にダンジョンマスターに会う事を決心した