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妖怪ダンジョンで頂点を目指す  作者: llaruma
動乱編
20/27

酒場で...

 土方歳三は漬物屋の前にいた


「ここにいたか、何を見ているんだ?」


 俺は土方歳三の目線の先を追うと、赤い液体につけられている野菜を見ている


「主人よ、これは一体なんなのですか?」


 キムチを知らないのか?土方歳三がいた国にはなかったのかな


「あぁ、これはキムチって言うものだ。寒さが酷い国で生まれたもので、これを食べる事で体をあっためる事ができるんだ」


 その話を聞くと土方歳三は目を輝かせてキムチを見ている


「主人よ私はこれが欲しいです」


 本当に漬物に目がないんだな


「店主これを一つくれ」


「あいよ!」


 俺は店主に硬貨を渡して、もらったキムチを土方歳三にあげる


「いただきます」


 土方歳三は恐る恐るキムチを食べると、しばらく硬直した


「う...美味すぎる...!?」


 まるで稲妻に打たれたように、一口また一口キムチを口に運んでいく


「美味そうに食ってくれて、良かった」


 俺は土方歳三の食べっぷりを見て買って良かったと思った。奢る側からしたら1番美味しく食べてくれるのが1番嬉しい


 土方歳三はあっという間に買った分を食べたので、もう一個ほしいか?と尋ねた所、即答ではい!と返事したので、また一つ買いその場を後にした




 那須与一は的当ての露店にいた


「弓でここらの的を射抜いたら景品あげるよ!」


 店主の威勢が良い声を聞いて那須与一はじっと見ていた


「やってみるか?」


 俺が話しかけると那須与一が振り返ってきた


「やってみます」


 俺は店主に硬貨を渡すと、店主は那須与一に弓を渡した


「お兄さんが挑戦だ!さて的を何個射抜くことができる...」


 スパン!


 店主が最後まで言う前に那須与一は弓矢を放ち一つ目の的を射抜いた


「い...良い腕をしている兄さんだ!だが、その奥にある小さな的は射抜くことができる...」


 スパン!


 那須与一は、また店主が言う前に的を射抜いた


 今度は店主が言う間を与えずにどんどん的を射抜いていく


 しばらくしないうちに的を全て射抜いていった


「好きなものを持って行ってくれ...」


 店主はガクリと肩を落とし那須与一は景品を眺めた


「これがほしいです」


 那須与一はそう言うと、景品の中にあった小型の剣を手に持った


「それが欲しかったのか?」


 俺は気になり那須与一に聞いてみる


「ただ的当てをやってみたかっただけなのですが、くれると言ったので矢の整備とか利便性が高いこれを貰うことにしました」


 なるほど、土方歳三も合理主義的なところがあるから偉人は合理主義者の人が多いかもしれないな


 こうして仲間たちの買い物を終えることができ、情報収集に戻ることができた






 みんなが集まると俺はある所に連れて行った


「主人よ、ここはどこですか?」


 俺達の目の前にあるのは酒場であった


「ここは、酒場って言うんだ。旅人や冒険者、兵士など様々な人が訪れる場所で、情報共有の場所としても使われているんだ」


 俺がそう説明すると、みんなはなるほどって感じで理解してくれた


 酒場に入ると都市だけあって盛況であった


「あら、いらっしゃい!旅人さんだね、うちでゆっくりしてきな!」


 恐らく女将であろう人物が、席を案内しメニューを渡した


「子供はお酒じゃなくて、果実ジュースね。これサービス」


 女将は飲み物を取ってくるとスイミにリンゴジュースを渡した


「あ...ありがとうございます」


 スイミは少し怯えながら飲み物を受け取る


 もしかして、スイミは人見知りなのかな。そういえば普段姉2人以外の人と話しているのあんまりみかけない


「他の人は何飲みたいんだい?」


 女将は俺達注文を聞くと、厨房に入っていった


「ここの世界の酒場というものは、私がいた世界と雰囲気は変わりませんね」


 土方歳三は辺りを見渡して言った


「そうなんだ。ここは、様々な人が訪れる所だからな。そして、この酒場はこの都市の中でも1番活気に溢れている酒場だ。しかも、料理と酒も美味い」


 俺は過去に一度だけこの都市にやってきた事がある。数年以上前の事だが、その時より活気は衰えてないどころか、さらに活気が上がったように感じる


「マスター、情報収集と言っても誰から情報を聞くんですか?」


 カイリは今回酒場に寄って、どのように情報を集めるのかが気になっていた


「まずは、女将から聞いてみるのが定石だな。酒場の店員はいろんなお客さんを相手にしてるから、お酒で軽くなった口から普段聞けない事を聞いてる事が多い」


 そんな話をしてると女将がお酒を持って俺達がいるテーブルに来た


「先にお酒を出すね、料理はその後で」


 女将はそう言うとお酒をテーブルに置き始める


「最近更に賑わってる感じがありますが、何かあるんですか?」


 俺が話を切り出すと、女将は笑顔になった


「そうなのよ!最近変なダンジョンが増えて大変だったんだけど、領主様が対策として武術や魔法などに腕がある人を集めるために大会を開くのよ!おかげで、色んな人達がこの都市に集まって大賑わいさ!」


 なるほど、いわゆる傭兵みたいのを集める感じか


 傭兵なら自分の兵を消費しなくても済むし、損害を受けるとしたら金銭だけで済むからな


 それで、敵を倒せたらそれで良いから一石二鳥だ


「お客さんも気になって来たでしょ、ちょうど大会の用紙が届けられているから、お客さんにも渡しとくねー」


 女将はそう言うと、カウンターに置いてある紙の束から紙を取って渡して来た


「武術・魔法大会か、剣術と弓術、体術、魔法の4つの部門に分かれて大会が行われるのか」


 大会の用紙を読んでいたら、フードを深く被り顔を隠した1人の女性が近づいて来た


「旅人さん、今回行われる大会に興味があるのかな?」


「いや、ただ要項を読んだだけだ」


「へー、自分達の危機になるとかは関係ないのかしらダンジョンマスターさん?」


 え...今何て言ったんだ?


 ダンジョンマスターって言ったか?


「何やつ!?」


「曲者か!?」


 那須与一と土方歳三が俺の前に経って身構えた


「良い仲間を持っているわね。安心して私もダンジョンマスターよ」


 女性はそう言うと、フードを外した


 その姿は長い黒髪に青い瞳が特徴的な女性だった




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