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そして、私は転生する

「そうでしたか。それなら良かったです。ですが、実は私も奥村さんを助けられなかったことにとても後悔しているんです……」


「えっ、ミューナも?」


 すると突然、ミューナも私を助けられなかったことにとても後悔していると話してくれて、私は少し驚いた。


 ミューナも私を助けられなかったことにとても後悔していたんだね……。


「はい……。先程も言いましたように、私はみなさんの人生を全て見てきましたので、何が起こったのか全て知っていますし、もちろん奥村さんの人生も全て知っています。しかし神様である私は、あなたたちが住む世界に入ることを禁止されていて、何もすることが出来ません……。そのため、奥村さんが嫌な目にあっても助けることが出来ずに、ただこうして見ることしか出来ませんでした……」


「ううん。ミューナは神様だから、それは仕方ないと思うよ……」


 どうやら神様であるミューナは私たちが住む世界に入ることを禁止されているみたいで、何もすることが出来ずにただ見ることしか出来ないみたいだ……。


 でもそれは仕方のないことだと思うから、ミューナは別にそんなこと気にしなくていいと思うよ……。


「いいえ、良くありません! 奥村さんが新野さんたちにいじめられているのが分かっているのに、助けることも出来ずに、ただ見ることしか出来ないなんて……、そんなのとても辛すぎます! そして、奥村さんが自殺するまで、ただそれらの光景を見ることしか出来なかった私はとても心苦しかった……!」


「ミューナ……」


 ミューナは私がいじめにあっているのに、神様であるが故に助けることが出来ず、ただそれらの光景を見ることしか出来なかったことにとても責任を感じていることを涙ながらに語ってくれた。


 そっか……。ミューナも私を助けようと頑張ってくれてたんだね……。ミューナのその気持ちだけで、私は凄く救われているよ。


「だから私は……、奥村さんが幸せな人生を送れるように、人生のやり直しとして異世界転生させ、奥村さんに第2の人生を送ってもらおうと思ったのです……。それが、私なりの奥村さんを救うことだから……」


「なるほど……。そうだったんだ……」


 私を救えなかったことに責任を感じていたミューナは、自分なりに私を救おうと考え、私が幸せな人生を送れるように、異世界転生させようと思っていたことを涙ながらに話してくれた。


 多分、ミューナは私を救えなかったことを罪として思っているんだろう……。だからこそ、ミューナは私が幸せになれるように私を異世界転生させようとした。恐らく、それがミューナにとって罪滅ぼしや贖罪なんだろう……。きっと、今までの人たちにもミューナはそうやって救ってくれていたんだね……。


 ポロッ……。


「えっ……?」


「奥村さん……?」


 すると私は、ミューナの今までの話を聞いて涙を流し始めていた。


「あれ……? 何でかな……? どうして私は泣いているんだろう……? 頑張ってずっと、耐えていたんだけどな……」


 きっと、私にはもう感情が押さえきれず耐えられなかったのだろう……。ミューナから私が死んだ後の事実を聞いたり、両親を含め、ほとんどの人が私が死んだことに悲しんでいたことを聞いたり、ミューナの想いを聞いたりしていろんな感情が込み上げてしまい、それが爆発したんだと思う……。


「ミューナ……!」


「奥村さん、思う存分泣いても大丈夫ですよ。私がここで全ての感情を受け止めますから」


「うっ……、うん……。ありがとう……ミューナ……」


 だから私は、今までの分の涙を思いっきり流していた……。


 そしてミューナは私をハグし、涙を流しながらその全てを受け止めてくれていた。


 そのおかげで、私の気持ちは大分楽になった……。ミューナのおかげで、私はたくさん救われたよ……。ありがとう……。



「奥村さん、気持ちは落ち着かれましたか?」


「うん、何とか。ミューナの方こそ大丈夫?」


「はい♪ 私も大丈夫ですよ♪ 奥村さん、コーヒーをお持ちしました♪ もし良かったら飲んでください♪」


「うん、ありがとう♪ それじゃせっかくだから、コーヒーを飲むことにするね♪」


 お互いかなり泣いていた私とミューナは、その後しばらく息を整えたりして気持ちを落ち着かせ、一緒にコーヒーを飲むことにした。


 あれから大分気持ちは落ち着いたけど、コーヒーを飲んで心を癒しておかないとね……。


「ふぅ~……、このコーヒー、何だかとっても美味しいね♪」


「ありがとうございます♪ 奥村さんにそう言っていただけて、私はとっても嬉しいです♪ 実はこのコーヒー、私がちょっと特別な作りをして、美味しくしているんですよ♪」


「ふ~ん、そうなんだ」


 私とミューナはコーヒーを一緒に飲んで、楽しく話していた。


 何かこういうの、ちょっと久しぶりかも♪


「ふぅ~……」


 そういえば……、まだミューナに異世界転生するかどうか言ってなかったね……。


 そう。私はミューナに、異世界転生するかどうかまだ言ってなかったことに気付いた。


 実の所を言うと、異世界転生するかどうかずっと悩んでたんだよね……。でも……、私が死んだ後の事実を聞いたりして、前を向いて進み始めた私の答えはもう決まっていた。そのことをミューナに伝えないとね♪


「ねぇ、ミューナ……」


「はい、何でしょう?」


「その……」


 うぅ~……、いざ言うとなると、ちょっと緊張しちゃうね……。でも、ここは勇気を出して行かないとね!


「私、異世界転生してみようと思う♪ 異世界に転生して、第2の人生を歩むことを決めたの♪」


 そう。私は悩んだ結果、異世界転生することを決めていた。そして、そのことをミューナに伝えた。


 正直かなり迷ったけど、いろんなことが分かったおかげで私の気持ちも吹っ切れたから、ここは前を向いて異世界で第2の人生を歩もうと思えるようになったんだよね♪


「はい♪ ありがとうございます♪ 奥村さんのその言葉、お待ちしておりました♪ 奥村さんが異世界転生することを決めてくれて、私はすっごく嬉しいです♪ それでは早速、異世界転生する準備をしますね♪」


「うん♪ ありがとうミューナ♪」


 私が異世界転生することを決めたことに、ミューナはとっても喜び、異世界転生する準備をすぐに始めていた。


 何だかミューナが凄く張り切っているね♪ きっとそれぐらい、私が異世界転生を決めたことにとっても嬉しかったんだね♪


「奥村さん、異世界転生する準備が終わりました♪」


「うん、分かった♪ ありがとうミューナ♪」


 ミューナが異世界転生する準備を終え、私は異世界に転生されることを心待ちにしていた。


 遂に、異世界転生する時が来たんだね♪


「それでは、奥村さんを異世界に転生させようとは思いますが、その前に、奥村さんを異世界に転生する特典として、あなたの欲しいものを神様である私があなたに授けます」


「異世界に転生する特典?」


 ミューナは私に異世界転生を始める前にまず、その特典として、私の欲しいものを神様であるミューナが私に授けると言ってくれた。


「はい♪ 異世界に転生するにはルールがありまして、その人が望むものを1つだけ、神様である私がその人に授けることになっています」


「ふ~ん、そうなんだ。なるほどね」


 どうやら、異世界に転生する人たちは何か1つだけ望むことが出来るみたいで、それを神様であるミューナがその人たちに授けるみたいだ。


 異世界に転生する際、望んだものを授けられるのは、とてもありがたいよね♪


「ちなみにこれまで、聖剣などのアイテムや魔力やスキルといったもの、そして、チートな能力を望んでいたものがいましたね♪ どれもとっても素敵でしたよ♪」


「あはは……、そうなんだ……」


 ミューナから、異世界転生した今までの人たちが望んでいたものを聞いた私は、少し苦笑いを浮かべたの。


 まあ、何となく予想通りだったね……。やっぱりチートな能力のように、自分に都合の良いものを望みたくなっちゃうよね♪


「それでは、奥村さんは何を望まれますか?」


「私の望むものね……。う~ん……、どうしよう……」


 ミューナから何を望むか聞かれた私は、何を望もうか悩んでいた。


 やっぱりチートな能力とかを望んで、異世界を無双するのもいいんだけど……、それを一番に叶えたいわけじゃないんだよね……。私が一番叶えたいのはやっぱり……、あの願いになるんだよね……。よし、決めた☆! その願いを望むことにしよう♪ やっぱりそれが私にとって一番の望みだからね♪


「ミューナ。私の望むものは、異世界で人生を楽しく過ごしたい……」


 そう。私が望んだものはアイテムや能力ではなく、異世界で人生を楽しく過ごしたいことだった。それが私にとって一番叶えたいものだったから。


「えっ……? 本当にそれでいいんですか……?」


「うん。だって、私の人生は全然楽しいものじゃなかったから、異世界では絶対に楽しい人生にしようと思ったの」


 私は異世界で人生を楽しく過ごしたいことを望んだ理由をミューナに話した。


 正直、あんな辛い人生を二度と送りたくなかった……。だから私は異世界で人生を楽しく過ごしたいことを一番に望んでいたの。


「分かりました♪ 奥村さんのその願い、私が叶えてあげますね♪ それではいよいよ、異世界転生を始めていきたいと思います。奥村さん、心の準備は出来ていますか?」


「うん、バッチリ♪ 心の準備はもうとっくに出来ているよ♪」


 私の願いを聞き入れてくれたミューナは、いよいよ異世界転生を始めることにし、ミューナから心の準備は出来ているか聞かれた私は、心の準備はもうとっくに出来ていることをミューナに伝えた。


「良かったです♪ そういえば、奥村さんが望んだその願い、私はとっても素敵だと思いました♪ アイテムや能力とかではなかったので一瞬驚きましたが、やっぱり、奥村さんには人生を楽しんでほしいなと思います♪ だからこそ、奥村さんのその願い、私が全力で授けて叶えてあげますね♪」


「うん♪ ありがとうミューナ♪ ミューナのその気持ち、私はとっても嬉しいよ♪」


 ミューナは私の望んだものにとっても嬉しかったらしく、その願いを全力で授けて叶えてあげると言ってくれて、私はその言葉だけでとっても嬉しかった。


 ミューナは神様だけれど、私のことをこんなに考えてくれて凄く嬉しいし、とっても感謝しているよ♪


「それではこれより、奥村さんの異世界転生を始めます」


 ゴクッ……。


 遂に、この時が来たね……。


 そして遂に私の異世界転生が始まり、ミューナは私に手をかざしていた。


「奥村さんの異世界転生を許可し、その特典として奥村さんに人生を楽しく過ごすことをここに授けます。奥村さんが異世界で幸せになることを神様である私はここで誓います」


 ミューナは私に手をかざすと、魔法陣を発動させ、私を異世界転生する儀式の詠唱を行っていた。


 異世界転生するのに何だか凄く本格的だね……。


「これで奥村さんの異世界転生を終わります。直に体が徐々に消えていって、次に目覚めたときには異世界へと転生されているでしょう」


「そうなの? あれ……? 言われてみれば、何だか私の体が段々と消えていってるのかも……」


 ミューナは私に手をかざし終え、こうして私が異世界転生儀式を終了した。すると私の体は徐々に消えていって、ミューナ曰く、次に目覚めたときには異世界へと転生されているみたいだ。


 てことは、そろそろ私が異世界に転生するときが近付いているってことだね。


「はい。どうやらそうみたいですね。私と奥村さんがこうして一緒にいるのも、残りわずかになってしまいました……」


「うん……。そういうことになるよね……。ねぇ、ミューナ。私、ミューナと出会えて、とっても楽しかったよ♪」


「はい♪ そう言ってくれて、ありがとうございます♪ 私も奥村さんと出会えて、とっても楽しかったです♪」


「ミューナもそう思ってくれてたんだね♪ とっても嬉しい♪ 私たち、もし同じ世界で生きていたら、きっとお友達になっていたのかもしれないね♪」


「はい♪ 私もそう思います♪ きっと毎日がとっても楽しく幸せだったと思います♪」


 私とミューナは一緒にいるのが残りわずかになったということもあり、それぞれ思い思いに楽しく語っていた。


 こうして、ミューナと一緒にいるのも残りわずかなんだね……。それはそれで何だかちょっと寂しいかも……。


「そうだよね♪ 絶対にそうだったと思う♪ ねぇ、ミューナ。またいつかどこかで会おうね♪」


「はい♪ そうですね♪ またいつか、どこかでお会いしましょう♪」


「うん♪ ありがとう♪」


 ファン……。


 そしてその言葉を最後に私の体は全て消え、私は異世界へと転生されていった。


 ミューナと会えなくなるのは少し寂しいけど、異世界で絶対に人生を楽しく過ごすからね♪


「奥村さん……、いいえ……、レナ。異世界では幸せな毎日を過ごしてくださいね♪ 応援しています♪ それとせっかくなので、チートな能力もレナに授けておきました♪ まあこれは私のプレゼントと思ってください。それをどう使うのかはレナの自由ですよ♪」





「う~……、う~ん……」


「おめでとうございます♪ とっても元気な女の子ですよ♪」


「やった~☆! あなた、私たちの子供が生まれたわよ♪」


「本当だ! 遂に俺たちの子供が誕生したぞ!」


「「「おめでとうございます☆!」」」


「……ぅあ……?」


 ここは一体……?


 次に目が覚めると、そこは初めて見る家の中で、見知らぬ人たちから私はなぜか祝福されていた。

今回の話で、プロローグは終了します。(ちょっと長過ぎたかも・・・)

そして、次回からは第1章が始まります。お楽しみに☆!

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