玲奈にとって、辛い事実 2
「悲しくて切ない事実……?」
「はい……。先程も言いましたように、全てが腹立たしいわけではなく、悲しくて切ない事実もございます。ですが、こちらも奥村さんにとって、辛い事実になってしまいます……」
「そうなんだ……」
ミューナ曰く、どうやら私が死んだ後の現実は全てが腹立たしいわけではないみたいで、悲しくて切ない事実もあるみたいだ。
両親やみんなが私のことを想って悲しんでくれて、心が温かくなった事実と新野たちや学校側の対応に腹立たしく感じた事実だけじゃなく、悲しくて切ない事実もあるんだね……。
でも……、それも私にとってとても辛い事実なんだね……。
「そして、奥村さんはこの話も聞く覚悟はございますか?」
そして私は、ミューナから再び話を聞く覚悟があるか聞かれた。
やっぱりミューナは私のこと心配してくれてるね……。でも、私の気持ちは変わってないからミューナは心配しなくて大丈夫だよ♪
「うん。大丈夫だよミューナ。私はこの話も聞く覚悟はあるから」
「分かりました。それでは、悲しくて切ない事実を話し始めますね」
「うん。ありがとうミューナ」
私に覚悟があることを確認したミューナは、悲しくて切ない事実を話し始めることにし、私はミューナに感謝していた。
それにしても……、悲しくて切ない事実って一体何なんだろう~……? ちょっと予想が付かないわね……。
「それではこちらをご覧下さい」
ミューナはそう言うと、再び別の映像に切り替えていた。
「奥村さんはこの人のことを知っていますか?」
「うん、知ってるよ。この人は私に告白をしてきた男の子だね」
「はい♪ その通りです♪ こちらに映っている男の子は以前奥村さんに告白した男の子で、名前は戸田颯真と言います。戸田さんも奥村さんのお葬式に参列し、奥村さんが死んだことに対してとても悲しんでいました……」
「そうだったんだ……」
名前、戸田颯真って言うんだね……。一応覚えておかないとね……。
そう。ミューナが私に見せてくれた映像には、私に告白をしてきた男の子が映っていて、名前は戸田颯真と言うらしい。
その戸田くんもどうやら私のお葬式に参列してくれたみたいで、戸田くんも私が死んだことに対してとても悲しみ泣いていた。
まさか戸田くんも私のお葬式に参列していて、私が死んだことに対して悲しんでくれているなんてね……。でも、ちょっと嬉しいかも……。
「それにしても、戸田くんはどうして私が死んだことに悲しみ泣いていたんだろう……? 戸田くんもみんなと同じ理由かな……?」
「それもあると思いますが、多分別の意味も含まれているものと思われます」
「別の意味……?」
「はい。戸田さんは実は、奥村さんのことが本当に好きだったみたいですよ」
「えっ……?」
ミューナから、戸田くんは実は私のことが本当に好きだったことを告げられた私は、まさかの事実に困惑気味だった。
戸田くんは私のことが本当に好きだったっていうの……?
「嘘でしょ……? 戸田くんは本当に私のことが好きだったの……?」
「はい。嘘ではありません。戸田さんは本当に奥村さんのことが好きでした」
「そんな……、どうして……? 私と戸田くんは全然関わってないのに……」
私は、戸田くんが私のことが本当に好きだったことにまだ信じられなかった。
だって……、私と戸田くんは本当に全然関わってなかったから……。正直、今でも告白の罰ゲームとかと思ってるぐらいだし……。
「はい。確かに奥村さんと戸田さんは全然関わっていませんでした。しかし戸田さんは、同じ選択科目を選んでいた奥村さんと一緒に授業を受けていたときに、一生懸命に頑張る奥村さんを見て、とても可愛らしく感じ、胸がトキめいたみたいですよ。そして、たまたま図書室に来たときに本を読んでる奥村さんを見かけて、笑顔で本を読んでる奥村さんに魅力的に感じ、胸がキュンとなり、奥村さんのことを好きになったみたいですよ」
「そうだったんだ……。戸田くんは本当に私のことが好きだったんだね……。それに、戸田くんが私と同じ選択授業を受けていたなんて知らなかった……」
ミューナから戸田くんが私のことを好きになった理由を聞いて、私は戸田くんが本当に私のことが好きだと分かり、目に少し涙を浮かべながらとても驚いていた。
まさか、選択科目も一緒だったなんて全然気付かなかった……。まあ私は基本、1人で学校を過ごしていたから他の人たちを見ることがあまりなかったんだよね……。
「あの時の私は誰とも関わっていなかったから、1人で黙々と授業を頑張っていたんだよね……。それに図書室に行ってたのも、本を読むのが一番楽しかったから毎日のように行ってて1人で幸せな時間を過ごしたんだよね……」
「はい……。確かに奥村さんは、図書室に行ってる時が一番楽しく笑顔で幸せな時間を過ごされていましたね……」
「うん……。だけど、戸田くんはそんな私を見て、好きになってくれたんだよね……。だから勇気を出して、私に告白をしてくれた……。それなのに私は……、何も知らずにすぐに断り、逃げてしまって、戸田くんの気持ちを踏みにじってしまった……。もしあの時断ったとしても、お友達から始めようとか言っていたら……、私の人生も少し変わったのかもしれないね……」
「はい……。そうかもしれないですね……。もし、そうしていたら、奥村さんの人生も少し違ったものになっていたものと思われます……」
私はあの時、戸田くんの告白をすぐに断り、逃げてしまって、気持ちを踏みにじってしまったことを目に少し涙を浮かべたまま、激しく後悔していた。
そして、ミューナもそのことにとても心苦しく感じ、少し涙を浮かべていた。
ミューナが言ってた悲しくて切ない話って、こういうことだったんだね……。
「でも……、戸田くんはその後、新野と付き合ってるんだよね……」
「はい……。新野さんは戸田さんに対して、優しい姿だけをお見せして、失恋の時に励まし支えてくれて、その影響で2人は付き合うようになったみたいです……」
「なるほどね……。そういうことだったんだね……」
ミューナの話を聞いて、私は納得した。戸田くんは私に振られ失恋した後、本来の姿を隠した新野に優しく励まされ支えられ、その影響で付き合うようになったようだ。
やっぱり新野は最低最悪な奴だね……。もはや怒りを通り越して呆れるわね……。
「そしてそれにより、戸田さんは新野さんの本来の姿に気付かないまま、新野さんと楽しく過ごしていた影響で、奥村さんが自殺するぐらい苦しんでいたことに気付けず、助けられなかったことを強く後悔し、とても悲しんでいました……」
「そっか……。そうだったんだね……」
戸田くんはどうやら猫を被ってる新野と楽しく過ごした影響で、私が自殺するぐらい苦しんでいたことに気付けず、助けられなかったことを強く後悔して、私のお葬式でとても悲しんでいたみたいだ。
私は戸田くんのその気持ちだけでとても嬉しいよ……。そして、あの時の告白をすぐに断り、逃げてしまって本当にごめんなさい……。
「そして、こちらの女子高生も奥村さんのお葬式に参列し、奥村さんが死んだことに対してとても悲しんでいました……。名前は後藤彩葉と言います。この方は戸田さんが奥村さんに告白するところを目撃し、噂を広めてしまった張本人です……」
「そうだったんだ……。あの時の告白の出来事を広めたのはこの人だったんだね……」
この子の名前は後藤彩葉って言うんだね……。この子の名前も一応覚えておかないとね……。
次にミューナが見せてくれた映像は、1人の女子高生が映った映像で、ミューナ曰く、どうやらこの子があの時の告白の出来事や噂を広めた張本人で、名前は後藤彩葉と言うらしい。
そして、その後藤さんもどうやら私のお葬式に参列してくれたみたいで、私が死んだことに対してとても悲しんでいた。
あの時の告白の出来事や噂が広まった影響で、私はアイツらにいじめられるようになったんだよね……。
「はい……。後藤さんは戸田さんが奥村さんに告白するのを偶然目撃し、それら一部始終を見てその後、クラスにいる友達にそのことを話し、ネットにもそのことを投稿しました。そして、それが瞬く間にネットで拡散され、他の生徒にも知れ渡り、すぐに学校中でその出来事や噂が広まってしまいました……。そして、それが戸田さんのことが好きだった新野さんの耳にも入り、奥村さんが新野さんたちにいじめられるきっかけになってしまいました……」
「なるほどね……。それがあの時の告白の出来事や噂が広まった真相ね……」
ミューナから話を聞いて、私は納得していた。どうやら後藤さんがクラスメートに話したり、ネットでそのことを投稿した影響で、あの時の告白の出来事や噂がすぐに広まったみたいだ。
それにしても……、あの時の告白の出来事がすぐに広まるなんて……、ネットって改めて恐ろしいものだね……。
「はい……。そして、それが原因で奥村さんが自殺してしまったことにとても強く責任を感じていて、友達に喋ったりネットでそのことを投稿してしまい、奥村さんを死なせてしまったことにとても後悔をしていて、奥村さんを救えなかったことにとても悲しんでいました……」
「ううん……。後藤さんは別に悪くないから、気にしなくて大丈夫だよ……」
ミューナ曰く、後藤さんは自分のせいで私を死なせてしまったことにとても後悔して、私が死んだことに悲しんでいるみたいだった。
だけど私は、後藤さんは何も悪くないと思うし、気にしなくて大丈夫だと思った。
それに後藤さんがあの時の告白をすぐに話したり、ネットで投稿した理由は何となく分かるしね……。
「そうですよね……。後藤さんは責任を感じなくて大丈夫ですよね……。それじゃ、そのことを神の伝言を使って後藤さんに伝えておきますね」
「何か……、改めてミューナが神様だと思い知るわね……。でも、ありがとう。これで後藤さんもきっと気が楽になったと思う。それに、後藤さんは多分みんなと恋バナをするつもりだけだったと思うしね……」
「そうですね。女の子は恋バナが好きですしね♪」
「うん。だよね♪」
私とミューナは、後藤さんがただみんなと恋バナをしたかっただけだということを分かっていたため、後藤さんにはそのことを気にせず、楽しく学校生活を過ごしてほしいなと思ったの。
友達にすぐ話したのもネットに投稿したのも恋バナをして、みんなと一緒に盛り上がりたかっただけだもんね♪ そういうの、とても素晴らしいと思うしちょっと羨ましいかも♪
「以上が、悲しくて切ない事実の全てになります……。そして、先程の腹立たしい事実も含めて、奥村さんが死んだ後の現実はこれで全てになります……」
「そっか……。うん。全て話してくれてありがとう。おかげで私の気分も少し楽になったよ」
私が死んだ後、あれから学校とかがどうなったのか全て話してくれたミューナに私は感謝していた。
正直、聞いてて辛かったり腹立ったりしたけど、そんなことは何となく予想していたし、覚悟も決めていたからあまり心のダメージを受けずに済んだんだよね。
それに、私が死んだ後の現実を全て聞くことが出来たから、モヤモヤした気持ちがなくなり気分も少し楽になったんだよね。
よし☆! これでようやく、私も前を向いて進むことが出来るね♪