ゴブリンとの戦いを終えて 前編
バァーンッ……!
「「!?」」
「今の音……、一体何かしら……?」
「分からない……。もしかしたら……、エレナちゃんとアリアちゃんに何かあったのかも……」
「えっ……? そんな……」
「とりあえず早く音のした方に行かなくちゃ! 急ごうソフィア!」
「エマ……。うっ、うん、そうだね! 早く行かなくちゃね!」
「っ……」
一体何が起こったっていうの……? それによく見たらゴブリンもいないし……。
ゴブリンに追い詰められていた私は、再び死にたくないという思いからか左手から不思議な力が発動し、その不思議な力がゴブリンに目掛けて攻撃してくれたんだけど、当の私は一体何が起こったのかよく分からず、気付いた頃にはいつの間にかゴブリンの姿が消えていたの……。
もしかして……、私がゴブリンを倒したっていうの……? 確かに私の左手から何かの魔法陣が発動して、そこから攻撃したような気がするんだけど……。ひょっとして……、それで倒したとでもいうの……? でもそんなのありえない……。だって私はそれを望まなかったんだから……。
そして続けて私は、その不思議な力のおかげでゴブリンを倒したことが分かったんだけど、あの時ミューナに願い事をした際、その力を望んでいなかったため、どうしてそんな力が発動したのかただただ戸惑っていたの……。
ハァ~……。ここはいくら考えても仕方ないわね……。何も答えは出てこないし……。とりあえずゴブリンを倒したことが分かったことだし、何とかこの危機を乗り越えたわけだから、今はそのことにひとまず安心しなくちゃね……。
どうして不思議な力が発動したのか、いくら考えても答えは出てこなかったので、私は考えるのを諦め、今はただゴブリンを倒せて、何とかこの危機を乗り越えたことにひとまず安心していたの。
「うぅ~……、あれ……? ゴブリンは……?」
「えっ……?」
そっか……。エレナちゃんはあれからずっと、恐怖に怯えてしばらく目を閉じていたんだよね……。
ゴブリンを倒し、この危機を乗り越えことに私がひとまず安心していると、恐怖に怯えてしばらく目を閉じていたエレナちゃんが久しぶりに目を開け、ゴブリンの姿がないことに戸惑っていたの。
「ねぇ、エレナちゃん。もしかして何が起こったのか分からない感じ?」
「うん……。アリアちゃんがゴブリンに向かって何かを叫んでいたのは聞こえたんだけど、恐くてずっと目を閉じていたから、何が起こったのかは全く分からないの……」
「そっか……。なるほどね……」
やっぱり……、エレナちゃんはあの時何が起こったのか全く分からない感じみたいね……。
そして私はあの時のことについてエレナちゃんに念のため確認して聞いてみると、返ってきた答えは私の予想通り、恐怖に怯えてしばらく目を閉じていた影響により、何が起こったのか全く分からなかったみたいだったの。
まあ……、それも仕方ないよね……。ゴブリンの恐さに怯え、私の後ろに隠れていたぐらいだしね……。




