不思議な力
「……」
「「……」」
さて……、ここからどうすればいいんだろう……? 正直もう手の打ちようがないんだよね……。流石のゴブリンも二度も同じ手には引っ掛からないと思うしね……。
エレナちゃんと一緒に再びゴブリンと対峙していた私は、心の中でゴブリン相手に手の打ちようがなく、もうどうしようもないと感じていたの……。
はっきり言ってこの状況はもう詰みだと思うけど、一か八かやるしかないよね……。
「……」
「……?」
ビュッ!
「……フッ……」
ガーンッ!
「!?」
「ニィ~ッ……」
ぐっ……! やっぱり同じ手には二度も引っ掛からなかったわね……。
この完全に詰みとなっていた状況に、私は一か八か再びゴブリンに目掛けて石を投げてみたんだけど、流石のゴブリンも同じ手には二度も引っ掛からず、持っていた棍棒でそのまま石を打ち返されてしまったの。
でもどうしよう……。丸腰の私たちにとって、今出来るのはこれぐらいしかないのに……。とりあえず何度もやるしかないよね……。
ビュッ!
ガーンッ!
ぐっ……! まだまだ……!
ビュッ!
ガーンッ!
ビュッ!
ガーンッ!
「……ニィ~ッ……」
「……っ!」
うぅ~……、何度やってもやっぱり上手く行かないよ~……。
現在丸腰である上に他の案も全く浮かばず、もうどうすることも出来なかった私はその後も何度かゴブリンに目掛けて石を投げてみたんだけど、やっぱり案の定上手く行かず、持っていた棍棒で全てを打ち返されてしまいもはや成す術もなく、私の心はかなり折れてしまっていたの……。
ダンッ……、ダンッ……。
「アッ……、アリアちゃん……」
「……」
もうどうしたらいいんだろう……? 他に何も思い浮かばないんだけど……。
そしてゴブリンは段々と私たちに近付き、それを見たエレナちゃんは恐くて泣き出し、私もゴブリン相手にどうすればいいのか分からずかなり怯えてしまったの……。
ダンッ……、ダンッ……。
「……ニィ~ッ……」
「ヒッ……!」
「ぐっ……! この……、この……、この……!」
カンッ……、カンッ……、カンッ……。
駄目だ……。もう全然ビクともしないんだけど……。
ゴブリン相手にかなり怯えてしまっていた私は、その影響からか冷静さを欠いてしまい、むやみやたらと石を投げてはゴブリンに全然ビクともせず、それを見て今にも泣き出しそうな気持ちだったの……。
ダンッ……、ダンッ……。
「……ニィ~ッ……」
「あっ……、あわっ……」
嘘でしょ……? 私ここで死んじゃうの……? 異世界転生してからエレナちゃんともお友達になれたりして、せっかく楽しい毎日を過ごせていたのにそれが終わってしまうっていうの……?
「そんなの……、そんなの絶対に嫌~!!」
ファン……。
「!?」
バァーン……!
「ギャアァ~~ッ!?」
「えっ……?」
ゴブリンが更に近付いてきて絶体絶命の状況に追い込まれた私は、ここで死んでしまうのは嫌だということを大声で叫ぶと、その気持ちが届いたのか私の左手から不思議な力が発動し、その発動したものがゴブリンに目掛けて攻撃してくれたの。
何……? 一体何が起こったの……? 恐くて目を瞑っていたから正直あまりよく分からなかったけど、確か魔法陣が発動したような気がしたんだけど……。




