覚悟を決め、私は前を向く
「ミュ……、ミューナ……?」
「私が死んだところで、どうせ誰も悲しまない……? あなたはどうしてそうネガティブに思ってしまうのです!? あなたが死んで、悲しんでいる人が今ここにいるっていうのに!」
「えっ……、嘘……?」
ミューナが……泣いてる……?
私が死んだところでどうせ誰も悲しまないという発言に、ミューナは耐えられず感情を爆発させ涙を流し、私が死んで悲しんでいる人が今ここにいることを私に伝えていた。
嘘……? ということは、ミューナは私が死んだことに本当に悲しんでいるというの……?
「もしかして……、ミューナは私が死んだことに悲しんでいるの……?」
「当たり前です! 私は神様として、みんなのそれぞれの人生をここで見届けているから、奥村さんの人生も知っていますし、自殺した原因も知っています……。だからこそ、それだけにとても悲しいですし、あまりにも耐え難い苦しみです……。だから……、そんなことは二度と言わないで!」
「ミュ……、ミューナ……」
どうやら、ミューナは本当に私が死んだことに悲しんでいるみたいで、そのことに涙を流しながら私に話してくれた。
そしてさっきの言葉を二度と言わないように言われ、私はそのことについて反省することにした。
そっか……。私が死んだことに安堵していたとき、ミューナがどこか悲しんでいたのは、私が死んだことに本当に悲しんでいたからなんだね……。ごめん、ミューナ。さっきはあんなことを言ってしまって、本当にごめんね……。
「ごめん、ミューナ。さっきはあんなこと言ってしまって……。もう二度とそんなことを言わないようにするね。あと、私が死んだことに本当に悲しんでくれてありがとうね。ミューナがそう思ってくれるだけで、私はとっても嬉しいよ♪」
私はミューナに、さっきのことについて謝ることにした。そして、ミューナが私が死んだことに本当に悲しんでくれたことに、私は心から感謝した。
私が死んだことに本当に悲しんでいる人が例え神様であっても、1人でもいてくれたことに私は凄く嬉しかった。
「はい♪ 分かっていただけて私もとても嬉しいです♪ それに、奥村さんが死んだことに悲しんでいる人は私以外にもいますよ♪」
「えっ?」
私がミューナに感謝すると、ミューナは自分の気持ちが分かってくれたことにとても嬉しそうだった。そして、ミューナは続けて、自分以外にも私が死んだことに悲しんでいる人はいると言い、私は少しばかり驚いていた。
私が死んだことに悲しんでいる人が、ミューナ以外にもいるっていうの……?
「ミューナ以外にも、私が死んだことに悲しんでいる人がいるの……? 本当に……?」
「はい、本当です♪ こちらを見ていただくと分かります♪」
「えっ?」
ミューナはそう言うと画面を映し出した。そこには複数のいろんな画像があって、ミューナはその中から1つを選択し、それを映像として流し始めていた。
「ねぇ、ミューナ。これって一体……?」
「これは奥村さんの人生を綴った映像をいくつかに分けたものです。私はこの天界からみんなの人生をこうして見てきて、それら全てを映像として残しています」
どうやら、ミューナはこの天界から私たちの人生を見届けているらしく、それら全てを映像として残しているみたいだ。
なるほどね……。こうしてみんなの人生を見届けていたんだね……。
「へぇ~……、そうなんだ。そういえばそれって、どうやって見れているの?」
「ふふっ♪ 別に何もしていませんよ♪ 私は神様ですから、こうして自然に見ることが出来ますよ♪」
「そっ……、そうなんだ……。なるほどね……」
私はみんなの人生をどうやって見れているのかミューナに聞くと、ミューナは神様だから何もせずに見ることが出来ると言い、私はそれに何となく納得していた。
まあ、ミューナは神様だからそういうことが出来ても不思議じゃないよね……。
「そういえば、今流している映像ってどんな時のやつなの?」
「これは奥村さんが亡くなられた後に行われたお葬式の映像です」
「へぇ~、なるほど……。そっか……。私のお葬式は一応ちゃんと行われていたんだね……」
ミューナがまず最初に流し始めた映像は、私が死んだ後に行われたお葬式の映像のようで、それを見た私は自分のお葬式が行われたことに心のどこかでホッとしていた。
「ハァ~……、さっきもそうでしたけど、あなたはどうしてそうネガティブに思ってしまうのです?」
「うん……。ごめんね、ミューナ」
ミューナは私がまたネガティブに思ってしまったことを指摘し、私はそのことに謝った。
やっぱりいじめられていたせいもあって、どうしても自分に価値がないと思ってしまうんだよね……。
「まあ、いいですけど。奥村さんのお葬式はちゃんと行われましたよ。そのお葬式には奥村さんのご家族や親戚の方々だったり、学校の関係者、そして、奥村さんの同級生方が参列されていました」
「へぇ~……、そうだったんだ……」
ミューナ曰く、私のお葬式にはどうやら家族や親戚、学校の関係者、そして私の同級生たちが参列してくれたみたいで、それを知った私は少しばかり驚いていた。
私の同級生たちが来たのはちょっと意外だったね……。
「そして、奥村さんが死んだことに対して、ほとんどの人たちがこのお葬式で涙を浮かべていました」
「うんうん……」
「そして、中でも特に悲しんでいたのが奥村さんの両親ですね」
「そっか……」
ミューナは次に私の両親が写っている画像を映し出し、私が死んだことに両親が特に悲しんでいたと言い、私は心のどこかで安心していた。
良かった……。パパもママも私が死んだことに悲しんでくれたんだね……。
「パパもママも私が死んだことに悲しんでくれていたんだね……」
「はい。奥村さんの両親は、実の娘が自殺してしまったことに強くショックを受け、奥村さんが学校で辛い思いをしていたことやそのことについて悩んでいたり、自殺をするぐらい心が追い込まれていたことに気付けず、奥村さんを救えなかったことにとても後悔されています……」
「そうだったんだ……」
パパ……、ママ……、ごめんね……。何も相談出来なくて……。
私はミューナから、両親が私のことに気付けず、私を救えなかったことを後悔していると知り、私は少し涙を浮かべ、そのことにとても申し訳なく思った。
もし、パパとママにそのことを話せる勇気が少しでもあったら……、私の人生は少し変わったのかもしれないね……。何も話すことが出来なくて、本当にごめんなさい……。
「私は誰にも……、パパとママにも話していなかったから……、もし、話せていたら……、私の人生もまだ続いていたのかもしれないわね……」
「はい……。そうかもしれないですね……」
私はあの時のことを話していたら、きっと私の人生もまだ続いていたのかもしれないことを話すと、ミューナはそのことに深く頷いた。
「あと、こうして見てみると、これだけの人たちが私が死んだことに悲しんでくれたんだね……」
「はい。奥村さんとそんなに面識がない方々たちも、そのことに気付けなかったり、勇気を出すことが出来ずに助けてやれなかったことをとても後悔されていました……」
「そうだったんだ……。みんなも後悔していたんだね……」
私はミューナ以外にもたくさんの人たちが私が死んだことに悲しんでいることを知ると、ミューナは続けて、私の両親だけじゃなく、私とそんなに面識がない同級生たちとかも私を助けられなかったことに後悔していると話し、私は少し驚きながらも、心の中でみんなに感謝していた。
みんなのその気持ちだけで、私は救われてとても嬉しかった……。
「はい。これで奥村さんが死んだことに、私以外にも悲しんでいる人がいることが分かりましたね」
「うん。教えてくれてありがとう」
ミューナ以外にも私が死んだことに悲しんでいることが分かり、私はミューナに感謝した。そしてそれと同時に私は覚悟を決めることにした。
ス~……、フゥ~……。
「ねぇ、ミューナ。私が死んだ後、あれから学校とかはどうなったの?」
私はミューナに、私が死んだ後、あれから学校とかがどうなったのか聞くことにした。
大体の予想は付くけど、ここは現実逃避なんかせずに、しっかりと前を向かないとね!