神様ミューナとの出会い
「神様……? あなた今、神様って言ったよね……? 本当なの……?」
「はい、本当です♪ 私は正真正銘の神様です♪」
「そうなんだ……」
私の目の前にいる人は神様だと名乗り、私は半信半疑になり、本当かどうか聞くと、目の前にいる人は正真正銘の神様だと私に伝えた。
多少の怪しさはあるけど、今はこの人の言ってることを信じるしかないわね……。
「それであなたは確か、ミューナと言ったわね。見た目からして、女性のように思えるけど……」
「はい♪ 私は神様であり、女性でもあります♪」
ミューナの見た目が女性に見えたので、私は一応確認してみると、ミューナは女性であることを私に伝えてくれた。
「やっぱり、そうなのね。一応、あなたのことは何となく分かったわ。それでそろそろ本題に入っていいかしら?」
「はい♪ どうぞ♪」
私は神様であるミューナのことを何となく理解し、そろそろ本題に入ることにし、ミューナもそれを許可してくれた。
私がいろいろと気になっていることがあるのは、ミューナも分かっていたんだろう……。きっとそのことに答えるために、私が起きるのを待ってくれていたんだと思うし……。
「ここって一体どこなの? 私って確か、死んだはずだよね?」
私はまず最初にここが一体どこなのか、そして自分が死んだかどうか、ミューナに聞いた。
とりあえず、これをまず確認しておかないとね……。
「ここは天界という場所で、ここでは神様である私が死者の人を今後どこに送るかを決める場所でもあります」
「天界か……、なるほどね……。ん? てことはつまり、私って……」
「はい。あなたは学校の屋上から飛び降り自殺を図り、その落下による勢いでそのまま地面に落ちた影響で、死亡しています」
「やっぱり……」
ミューナが言うに、ここは天界という場所で、ここでは神様であるミューナが死者の人を今後どこに送るかを決める場所であるみたいだ。そして、私はどうやら、あの時の学校の屋上から飛び降りたことにより、死んだのは確かみたいだ。
やっぱり私があの時に死んだのは間違いないみたいね……。これで疑問は解決したわね……。
「とりあえず、私は何とか無事に死ねたみたいね」
「はい……。そうですね……」
ん……? ミューナ……?
私は無事に何とか死ねたことにホッと安堵をしていると、ミューナはそのことにどこか悲しみながら頷いていた。
「それにしても、神様が死者の人を今後どこに送るかを決める、ね……。ねぇミューナ、死んだ人たちって今までどんな所に送っていたの?」
そして私は、死者の人たちを今までどんな所に送っていたのかミューナに聞いた。
「はい。基本は天国に送らせることが多いのですが、場合によっては、死者が生きていた時の所業次第で地獄に送らせることもあります。それから、何か別の物に生まれ変わりたいと希望された死者には、その人のなりたいものに、生まれ変わらせ、元いた世界に送ることもあります」
「なるほどね……」
どうやら、死者は基本、天国に送られる場合が多いが、死者が生きていた時の所業次第では地獄に送られることもあるみたいで、死者が何か別の物に生まれ変わりたいと希望された場合には、その人のなりたいものに生まれ変わらせ、その人の元いた世界に送ることもあるみたいだ。
つまりは……、天国か地獄か生まれ変わっての元いた世界に送られるわけね……。
「その生まれ変わりって、例えばどんな生まれ変わりの希望があったの?」
「主に犬や猫と言った動物が多いのですが、たまにハサミやハンドルなどの物に生まれ変わりたいと希望された死者もいましたね♪ 中々ユニークで、話しててとても楽しかったですよ♪」
「へっ、へぇ~……、そっ……、そうなんだ……」
どうやら生まれ変わりには、動物だけじゃなく、物に生まれ変わりたいと希望する死者もいるみたいで、それを聞いた私は唖然とし、ちょっと引いていたの……。
あはは……。世の中には変わった人もいるんだね……。例え私が生まれ変わることを希望したとしても、物に生まれ変わるのは遠慮しようかな……。
「そして、不幸な死ややり切れない死を遂げた方々には、人生のやり直しとして、異世界に転生させたりもしています」
「異世界に転生……?」
そして不幸な死ややり切れない死を迎えた場合は、人生のやり直しとして、どうやら異世界に転生する場合もあるみたいで、私はその言葉を聞いた瞬間、なぜかとても興味を抱いていた。
異世界ものやファンタジーの物語は、私が生きていた時に唯一癒されたもので、心のオアシスでもあったんだよね……。
「はい。例えば、自殺してしまったり事故で亡くなるなど悲惨な死を遂げ、満足の行く人生を送れなかった場合、人生のやり直しとして前世の記憶を引き継ぎ、異世界に転生させています。まあ言ってみれば、一種の救済策みたいなものです」
「なるほど……」
ミューナの話を聞き、私は頷き納得していた。
まさか本の中とかでしか味わえなかった異世界で実際に人生を送ることも出来るなんて……、まるで夢のような話だね……。
「そして、奥村さんにも人生のやり直しとして、異世界に転生することを私は提案します」
「えっ……?」
そして、ミューナは私にも人生のやり直しとして、異世界に転生することを提案し、私はそのことにちょっと戸惑ったの。
まさかミューナはこんな私にも異世界に転生することを提案してくれるなんてね……。気持ちは凄く嬉しいけど、私には多分そんな資格がないと思うんだよね……。
「ミューナは私にも、異世界転生をしてくれるの……?」
「はい♪ ぜひ奥村さんにも、異世界転生して第2の人生を歩んでほしいです♪」
「うん、ありがとう。気持ちは凄く嬉しいんだけど、私にはきっと、そんな資格がないと思うんだよね……」
ミューナが私のために異世界転生を提案してくれることは凄く嬉しいんだけど、私にはそんな資格がないと思うことをミューナに話したの。
「どうしてそう思うのです?」
「確かに私は自殺をして死んだわけだけど、別に後悔はしていないし、私の中では満足の行く人生を送れたわけだから、私にはそんな資格がないと思ったんだよね……」
私は自分の中で満足の行く人生を送れたから、異世界転生する資格がないと思ったことをミューナに伝えたの。
正直、今言ったことは嘘なんだよね……。本当は後悔しているし、満足の行く人生なんか送れていない。だけど、死んだことで何だか解放されたような感じになり、気持ちが大分楽になって、辛さとかをあまり感じなくなって、正直もうどうでもよくなっちゃったんだよね……。だから、私にはそんな資格がないと思っちゃったんだよね……。
「なぜ、そんな嘘を付くのです?」
「えっ……?」
嘘……? バレてる……。
私は、自分の中で満足の行く人生を送れて後悔せずに死ねたから、異世界転生する資格がないことをミューナに話したんだけど、ミューナにはあっさりとそれが嘘だと見抜かれ、私は少しばかり動揺した。
やっぱり神様には、これが嘘だと分かっちゃうよね……。
「どうして……、今のが嘘だって分かったの……?」
「簡単なことです。私は神様ですから、奥村さんが嘘を付いているか、付いていないか、全部お見通しです」
「あはは……、そうなんだ……。さすが、神様だね……」
ミューナが私の嘘を見抜いた理由を聞き、私は神様であるミューナに感心していた。
この人に隠し事するのは難しそうね……。
「それでは本題に戻りますが、どうしてあんな嘘を付いたのですか?」
「正直……、本当は後悔しているし、満足の行く人生なんか送れていない。だけど、死んだことで何だか解放されたような感じになって、そのおかげで気持ちが大分楽になり、生きていたときの辛さをあまり感じなくなって、何かもうどうでもよくなっちゃったんだよね……。それに……」
「それに?」
「私が死んだところで、どうせ誰も悲しまないと思うし……」
そう。それが本当の理由だった。私が死んだところで、どうせ誰も悲しまないと思っていたから、そんな価値もない私に異世界転生する資格なんかないと思っていた。
ミューナには申し訳ないけど、こんな私が異世界転生するのは絶対にダメだと思ったから……。
「……っ!」
パーンッ!
「えっ……?」
すると突然、私の話を聞いていたミューナが私の頬にビンタをしてきて、そんな想定もしていなかった展開に私はかなり驚いていた。