担任の先生の挨拶
「まず始めに先生の自己紹介をしたいと思います♪ 先生の名前はティナ・マーゼロルと言います♪ 教師歴は今年で4年目とまだ日が浅いですが、今回初めて担任を受け持つことになりました♪ まだまだ未熟者の私ですが、精一杯全力で頑張ろうと思います♪ よろしくお願いします♪」
パチパチ……、パチパチ……。
そしてホームルームが始まると、先生はティナ・マーゼロルと名乗り、それから自身の教師歴について話したりして、話が終わると私たちはまばらに拍手をしていたの。
本当はもっとティナ先生に対して歓迎の拍手を送りたかったけど、その前に起こったあの一件のせいでみんなの気持ちはまだ暗いままだったの……。それが反映して拍手もまばらになってしまったんだよね……。
それにしても、ティナ先生が担任を受け持つのは初めてになるんだね♪ 何だかとっても嬉しいかも♪ それに自己紹介もどこか初々しさがあって凄く素敵だったし、これはもうティナ先生が人気になること間違いなしだね♪ 私たちもティナ先生と同じく全力で頑張らなくちゃ☆!
「では次に出欠を取りたいと思います♪ 名前を呼ばれたら返事するようにね♪」
「「「は~い……」」」
ティナ先生の自己紹介が終わると、次は出欠を取り始めたの。
「ルーシー・レグミルト」
「ハイ!」
「リラ」
「ハイ♪」
「エレナ・アストリーネ」
「ハイ!」
「アリア・シャルトレーヌ」
「ハイ!」
ティナ先生が出欠を取り始めると、私たちは指示通り自分の名前が呼ばれたらすぐに返事をしていたの。
それとこれは改めて思ったことだけど、やっぱりこの世界は出席番号順が存在しないみたいね……。現にティナ先生が出欠を取るときも名前の五十音順とは関係なしにバラバラに呼んでいるぐらいだしね……。もしかしたらこの世界には五十音順という概念そのものがないのかもしれないわね……。
転生してからというもの、こういう何気ないところで現代と異世界の違いを発見するのはちょっと楽しいわね♪ 他にもそういう違いがないか探すのも案外悪くないかも♪
「セムレン・ソリューア」
「ハイ!」
「カイン・ギレスタン」
「ウ〜イ……」
「ジル・リアペスト」
「ヘイ」
「ブライト・ユーサニエ」
「ハイ……」
ふ〜ん……、カインの取り巻き2人ってそんな名前なんだね……。
出欠を取ったことにより、カインの取り巻き2人の名前を私たちは知ることになったの。
カインに媚びへつらうぐらいの腰巾着で終始イキり散らしてた方がジル・リアペストで、深い忠誠心でカインのことを心酔し崇拝してる方がブライト・ユーサニエという名前にそれぞれなるわけね……。
そういえばコイツら、3人共辺境伯の息子になるんだよね……。まさか貴族としてそんな上の階級だったなんてね……。まあ、だからっと言って敬う気には全然なれないけどね……。
「はい♪ 出欠はこれで終わります♪ 次に教材を配ろうと思うので、前の人は後ろの人へと順に渡してくださいね♪」
出欠を取るのも終わり、次は授業で使う教材が配られ始めたの。
教材の渡され方はどうやら前世とあまり変わらないみたいね……。何かちょっと意外かも……。
「教材は無事にみんなの元に届いたかな? もしまだだったら手を挙げてね♪」
シーン……。
「どうやら教材は無事にみんなの元に届いたみたいだね♪ では最後に――」
ティナ先生は教材が無事にみんなの元に届いたことを確認すると、次の段取りへ進もうとしたの。
ティナ先生の話を聞くに、どうやらホームルームはそろそろ終わるみたいね……。そういえば配られた教材を見てみると、そこには魔法に関する本があるわね……。それに道具や魔物についての本も……。こういうのがあると、ここはやっぱり異世界ファンタジーなんだとつい実感しちゃうわね♪ ハァ〜、とても癒される♪
「みんな、改めてここレイゼルート学院にようこそ♪ みんながレイゼルート学院に来てくれて、先生とっても嬉しいよ♪ 楽しい学校生活を送りつつ、3年後に行われる卒業式を目指してみんなで一緒に頑張ろう☆! 先生もみんなのためにサポートするよ♪ だけどレイゼルート学院では成績が悪くて単位が取れなかったら留年もあるから気を付けるようにね♪」
「「「はっ……、は~い……」」」
やっぱり留年はあるみたいね……。まあ当然のことよね……。
「それとクラス替えは基本行われないから、みんなは3年間ずっとこのクラスになります♪」
「「「えっ……?」」」
「もちろん担任も私がずっと受け持つよ♪ 先生と一緒に3年間成長していきましょう♪ それではこれにて、ホームルームを終了したいと思います♪」
えっ……、待って……。つまり3年間ずっとこのクラスってこと……? エレナたちとずっと同じクラスになれるのはすっごく嬉しいけど、それってつまりカインたちともずっと同じクラスってことだよね……? うぅ〜……、何か複雑……。
ティナ先生は最後にクラス替えが行われず3年間ずっとこのクラスになることを伝えてホームルームを終了し、私たちはその衝撃的な事実に驚きを隠せなかったの……。
カインたちとずっと同じクラスなんてマジで本当に嫌なんだけど……。
こうして、入学式が行われたレイゼルート学院の初日は、色々な感情が交錯してそのまま幕を閉じたの……。
この先上手くやっていけるかどうかちょっと不安ね……。




