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対照的な2人の貴族

「それにさっきからずっと聞いてみれば、君たちは人のことを馬鹿にしてるだけじゃなくどこか見下したりもしてかなり態度が悪いよね。おまけに相手を侮辱したり差別もしてるしね。君たちは一体何様のつもりなんだい?」


「「「っ……!?」」」


「てっ……、てんめぇ〜……!!」


 セムレンは続けてリーダー格の男たちのこれまでの行いに対し論破してみせ、リーダー格の男の怒りを買ったの。


 セムレンの論破により、リーダー格の男はかなりの苛立ちを覚えたみたいね……。それにしても……、ルーシーだけじゃなくセムレンもどうやら物怖じしない性格みたいね……。2人共本当に凄いわね……。何だかとっても羨ましいな……。私にもそんな勇気があったらいいな……。


「大体、階級や性別で将来を勝手に決めつけるなんてそんなのあまりにもひどすぎるぜ。みんなやりたいことやなりたい職業とかあるはずなのに、君たちにいいように扱き使われる未来なんかまっぴらごめんだぜ。みんなは君たちのおもちゃなんかじゃないんだぜ!」


「「「なっ……!?」」」

 

「そうだそうだ!」

「アイツの言う通りだ!」

「キャ〜♡。とっても素敵すぎる〜♪」

「まるで本当に白馬の王子様みたい♪」


「ぐっ……!」


 今の発言で、完全に流れが変わったわね♪


 そしてセムレンはみんなの気持ちを代弁してリーダー格の男たちに対して怒りの訴えをしてみせ、それを聞いたみんなは一気にセムレンの味方になったの。


 恐怖で支配されたこの教室は、セムレンのおかげで一縷の希望の光が灯されたわね♪

 

「てめぇ……、さっきから調子乗ってんじゃねぇぞ」


「カッ、カイン様! こんな奴さっさとやっつけちゃいましょう!」


「僕たちをここまで愚弄するなんていい度胸ですね……。生意気にも程があります……」


 みんながセムレンの味方になった影響からか、リーダー格の男たちは更なる苛立ちを見せていたの。


「あぁ、お前らの言う通りだぜ。てめぇにはマジで心底ムカつくんだよ。何せ俺様たちをここまで怒らせたからな……。覚悟して後悔するといい……。その前に、まずはてめぇの名を名乗るんだな」


「いいよ。どうせいずれ分かることだしね。僕の名前はセムレン・ソリューア。伯爵の息子さ」


 とてつもない怒りを露わにし、再び眼光を鋭くして睨み付けたリーダー格の男から名前を聞かれたセムレンは、素直に自分の名前を明かしたの。


「伯爵の息子だって……? ブハッ! コイツは笑えるぜ! お前、伯爵の分際で俺たちにイキがってきたのかよ?」


「ヒャハハッ、こいつは傑作だぜ! まさか俺らよりこんな()()()()相手にボロクソ言われるなんてな! 何だかとっても馬鹿馬鹿しいぜ!」


「全く……、茶番も良いところですね……。本当こんな奴を相手にするだけ時間の無駄でしたね……。まあある意味呆れて笑ってしまいますけどね。フフッ」


 コイツら……、一体何がそんなにおかしいの……?


 セムレンが自分の名前を名乗ると、リーダー格の男たちはなぜか突然笑いだし、態度もかなりデカくなったの。


「君たち、何がそんなにおかしいんだい?」


「ブハハッ! お前確かセムレンって言ったよな? つまりだな、セムレンが俺たちより格下の貴族のくせして歯向かって来たんだなと思っておかしくて仕方なかったんだよ。こんなの笑うしかないだろ? あ〜、腹痛てぇ〜!」


 なっ……!? 何なのコイツら……!? そんな理由でセムレンを馬鹿にして笑ってたわけ……!? 何それ意味分かんない……! 本当最低……!


 リーダー格の男たちが突然笑いだした理由、それはセムレンが自分たちより格下の貴族だと分かったからなの。


 コイツら……、性差別や種族差別だけじゃなく、まさか階級差別もしてくるなんて……! 本当にどこまでも腐った連中ね……。


「なるほどね。それで僕のことを笑っていたわけだね」


「あぁ、そうさ」


「まあ、別にいいけど。それじゃ、今度は君の名前を聞かせてもいいかな?」


「あぁ、いいぜ。俺様の名前はカイン・ギレスタン。階級はお前より上の辺境伯の息子だ」


「「「なっ……!?」」」


 辺境伯の息子ですって……!? 確か辺境伯は貴族の階級で言うと――。


「辺境伯って確か貴族の階級としては2番目になるよね……? それで1番は公爵で3番は伯爵だったような気が……」


「あぁ、ご名答だ。そこのクソ女」


 でっ……、ですよね〜……。


 リーダー格の男はカイン・ギレスタンと名乗り、更に辺境伯の息子ということも明かし、私はカインの階級を聞いてとてもびっくりしていたの。


 名前の方は取り巻きの2人が散々カイン様って言ってたから一応ある程度予想は出来たし、別にそこまで驚きはなかったわね……。


 でも確かにエレナの言う通り、辺境伯は貴族の階級としては2番目に当たり、かなり上の立場になるんだよね……。私も漫画やラノベとかで見ていたから一応何となくは知っていたけど……。


 確か貴族の階級は上から順番に、公爵・辺境伯・伯爵・子爵・男爵・準男爵となって、準男爵だけは平民扱いになるんだったよね……。で、場合によっては辺境伯のところが侯爵になったりするんだよね……。うんうん……、私の知る限りこんな感じだったと思う……。


 確かにそれだとカインの方が貴族としては上になり、セムレンの方が下になるわけよね……。う~ん……、何か釈然としないわね……。それに印象も変わるわけじゃないしね……。


 こうして見てみると、2人は同じ貴族のはずなのに性格が真逆でとても対照的よね……。


 あとカインがエレナに対してクソ女って言ったこと……、私絶対許さないから……!


「あとちなみに、コイツらも俺様と同じ辺境伯の息子だぜ」


「「「なっ……!?」」」


「ヒャハハッ、俺たちとてめぇらじゃ格が違げぇんだよ!」


「僕たちの発言は絶対です……。みなさん分かりましたね……?」


「そういうわけだ。覚えておけよな……!」


「「「ぐっ……!」」」


 うっ……、嘘でしょ……? リーダー格のカインだけじゃなく、取り巻きの男2人もまさか辺境伯の息子だったなんて……。こんなのあまりにも理不尽すぎる……!


「ふむふむ……、つまりカインだけじゃなく2人も同じ辺境伯の息子だったんだね」


「あぁ、そうだ。だからてめぇらはこの俺様たちに逆らえねぇんだよ……! 舐めた口聞くんじゃねぇぞ……!」


「「「ヒッ……!」」」


「ぐっ……!」


 それからカインは、まるで自分たちが一番偉いだぞと言わんばかりに態度を更にデカくすると、その後脅しとも取れる台詞を言い放ちみんなを再び恐怖に陥れたの。


 これはもう完全に調子乗ってるわね……。


「でもそれが何だって言うんだい? 貴族の階級が上だからといって何をしても良いわけじゃないよね?」


「「「なっ……!?」」」


「そうだそうだ!」

「セムレンの言う通りよ!」

「こんな奴らの言いなりになってたまるか!」

「私たちはセムレンの味方だよ♪」


「みんな、ありがとうだぜ」


「てっ……、てんめぇ〜……!」


 カインが高圧的な態度でみんなを黙らせようとしたのに対し、セムレンは全く怯まないどころか堂々と自分の意志を貫いてみせたの。


 改めてセムレンはやっぱり芯が強い人だね♪ そのおかげか、みんなの目は希望に満ち溢れているわね♪ これはもう尊敬に値するわね♪


「チッ……! 伯爵風情が……、偉そうなこと言ってんじゃねぇよ……! どうやら殴らなきゃ分からねぇみてぇだな……」


「別に殴りたければ殴ればいいさ。その代わり僕も受けて立つけどね」


「ホゥ……、言うじゃねぇか……。なら遠慮なく受けてみるがいい……!」


 ガララ……。


「みんな〜、お待たせ〜♪ ……って、何やってるのあなたたち!? 早く席に着きなさい!」


「チッ……! お前ら行くぞ……!」


「ハッ、ハイッ!」


「分かりました。カイン様の御命令とあらば」


「私たちも席に戻らなくちゃね……」


「うん……、そうだね……」


 カインがセムレンに殴りかかろうとしたその瞬間、先生が教室にやって来たので私たちは急いで席に戻ることにし、カインとその取り巻きたちが起こしたこの出来事は突然終わりを迎えることとなったの。


 先生が教室に来てくれたおかげで、この件はとりあえず一旦終了することになったわね。とはいえ、これはあくまで一時的なものに過ぎず、おそらくカインたちはその後も私たちに対して何らかの嫌がらせをしてくるに違いないわね……。


 ハァ〜……、これからの学園生活何だかとても不安になってきたわね……。あの時みたいに辛い日々にならないといいんだけど……。出来れば前世の二の舞にはなりたくないわね……。

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