意外な救世主
「それとそこにいる獣人のクソ女にも謝れだと? ハッ、それこそ意味分かんねぇな。コイツの存在そのものが害悪なのにどうして俺たちの方が謝らないといけねぇんだ? むしろそんな害悪と一緒にいなければならない俺たちの方が被害者だと思うが? だから謝るのは逆に獣人のクソ女の方だと思うぜ。怒りの矛先を間違えんじゃねぇよ」
「ひぐっ……、ぐすっ……」
「ギッ……! お願い……! もうこれ以上、私の大切な親友を傷付けないで……!」
「ルッ……、ルーシー……!」
そしてルーシーはリーダー格の男に対して怯むことなく、語気を強くしてリラのことをこれ以上傷付けてほしくないことを涙ながらに訴えていたの。
今のルーシー、何だか勇者のように見えてとっても格好良いかも♪ それとリラのことを大切な親友って言ったところもとっても素敵だよね♪
「はぁっ? コイツがお前の大切な親友だって? フハハハハッ、そいつはかなり笑えるぜ。お前ってかなりの悪趣味をしているんだな。友達を作るならちゃんと選んだ方がいいと思うぞ。あ〜、笑いすぎて腹が痛てぇ。ついでに涙も出ちまったぜ」
コイツ……、リラのことをどこまで侮辱するつもりなの……!? 信じられない……! それとルーシーのことを完全に煽っているわね……。
「別にあなたに何を言われても構わないわ……。あなたが何と言おうとリラが大切な親友であることに変わりないし、例えどんなことがあっても私はこれからもずっとリラのことを守り続けるつもりだから……!」
「ルッ……、ルーシー……!」
やるじゃない、ルーシー♪ リーダー格の男に対してよく言ったわ♪
リーダー格の男の煽りに対しても臆することなく、ルーシーは自分の信念を貫いてみせたの♪
リーダー格の男に対して怯みや臆さない姿を見ていると、ルーシーの肝がかなり据わっていることが分かるわね♪ ルーシーのまた新たな一面を知ることが出来て何だかとっても嬉しいかも♪
それとルーシーがリーダー格の男に対して勇敢に立ち向かっているおかげか、リラもほんの少しだけ再び笑顔を見せるようになったわね♪
きっとルーシーの言葉を聞いて凄く嬉しくて安心したんだよね♪ リラが再び笑顔になってくれて本当に良かった……☆!
こうして2人を見ていると、ルーシーとリラはやっぱり強く固い絆で結ばれているんだなと改めて実感します♪
「おいおい、マジかよ。そんなに獣人のクソ女のことが大事だっていうのか? 全く理解に苦しむぜ……。あ〜あ、この俺様が直々にせっかく忠告してやったのによ。それを無下にするなんて信じられないな。どうかしてるぞお前」
「それが何だって言うのよ……!? あなたにそんなことを言われる筋合いはないと思うわ……! それよりむしろリラのことを散々馬鹿にしていたあなたたちの方がどうかしているわ……!」
「「「っ……!?」」」
すっ……、凄い……。ルーシーって何というかどんな相手にも屈せず物事をはっきりと言える性格だったんだね……。何だかちょっぴり羨ましいかも♪
ハッ……! そういえば……、ルーシーって確か攻撃型の聖女になることが夢だったよね……? もしかしてそれが影響していたりして……。
ルーシーがリーダー格の男相手に一切引けを取らず勇敢に立ち向かっている姿を見て、私はルーシーが以前話してくれた将来の夢に少なからず影響しているんじゃないかなと思ったの。
といってもあまり関係ないと思うけどね……、あはは……。だけどルーシーがリラのことを思っているからこそ、きっとここまで勇敢に立ち向かっていけるのかもしれないね♪ やっぱりルーシーはとっても凄いです♪
「あぁっ? てめぇ、この俺様に楯突こうというのか?」
「えぇ……、そうよ……!」
「っ……!? てめぇ……、庶民である平民ごときのくせに随分と生意気な口聞くじゃねぇか……。ならとっくに覚悟は出来ているんだろうな? この俺様を怒らせたらどうなるのか思い知るがいい……!」
グイッ!
「「「っ……!?」」」
「ちょっ、ちょっと!? あなた一体何やってるの!?」
ルーシーの発言や行動に腹を立てたのか、リーダー格の男は突然ルーシーの胸ぐらを掴み、周囲にいた私たちはそれを見て騒然としていたの。
この男……、本当にどこまでも中身が腐っているわね……。それってもはやただの逆ギレだし……。
「えぇ……、もちろん覚悟はとっくに出来ているわ……。それに殴りたければ殴ればいいわ……。けれどそれで損するのはむしろあなたたちの方だと思うけど? どのみちあなたたちが悪いことには変わりないし、評価は更に下がる一方ね」
「「「っ……!?」」」
ルーシーはさっきから相変わらず思ったことをズバズバと口にしているわね……。でもそのおかげで、何だか胸がスカッとしたかも♪
「カッ、カイン様! こんな奴、とっととやっちゃってください!」
「カイン様をここまで愚弄するなんて、中々良い度胸ですね……」
「てめぇ……、さっきから調子乗ってんじゃねぇよ!」
ビュンッ!
「「「っ……!?」」」
「ルッ……、ルーシー……!」
そしてルーシーの発言や行動に腹を立て逆ギレしてきたリーダー格の男は、ルーシーの胸ぐらを掴んだまま殴りかかろうとしていたの。
あのリーダー格の男……、遂に手を出してきたわね……。
「うおおおおぉぉぉぉ〜〜!!」
「っ……!」
「やっ……、やめてぇ〜っ……!!」
パンッ!
「っ……!?」
「「なっ……!?」」
「ん……、ん〜……。へっ……?」
「えっ……?」
「おっと。レディーを傷付けるのはこれ以上あまり良くないと思うぜ」
「てっ……、てんめぇ〜……!」
「えっ……、嘘……?」
リーダー格の男の拳がルーシーの顔に触れる直前、突然誰かがルーシーの前にやって来て見事リーダー格の男の殴りを右手で阻止してくれたの。
そしてそんなリーダー格の男の殴りを阻止し、ルーシーを守ってくれた救世主……。その姿をよく見てみるとそれは意外なことにまさかのセムレンだったの。




