勇気ある行動
「ひぐっ……、ぐすっ……」
「う〜わ……。何コイツ、泣いてやがんだけど……。もしかしてみんなの同情を誘ってるのか? フン、気持ち悪い……。見た目だけじゃなく、まさか中身も腐っていたとはな。流石獣人族だけあってまさに汚らわしい生き物といったところだな。にしても、名門レイゼルート学院にまさか獣人のクソ女まで入学するなんてな。ハァ〜……、この学校も落ちぶれたものだぜ……」
「「「なっ……!?」」」
「全くカイン様の言う通りです! 恥晒しもいいところだぜ!」
「えぇ、ですね。あなたのせいでこの学校に泥を塗られたようなものと同然です」
「そっ……、そんな……。私何も悪いことしていないのに……。どうしてここまでひどく言われなきゃいけないの……? こんなの絶対におかしいよ……。うっ……、うわああああぁぁぁぁ〜〜んっ……!」
「「「ぐっ……!」」」
コイツら……、よくもまあリラのことを好きなように悪く言ってとことん傷付けたわね……! コイツらはやっぱり絶対に許せない……! ここまで強い怒りを覚えるのは転生してからは初めてになるわね……。
リラがレイゼルート学院に入学したことに対して、コイツらは恥晒しだの学校が落ちぶれたり泥を塗られただのと相も変わらず罵詈雑言好き放題ボロクソに言ってリラの心を傷付けていたの……。
コイツらは本当に性根が腐っているわね……。もうこれ以上ただ見つめて黙ってはいられない……!
「ちょっとあなたたち! これ以上はいい加減に――」
パーンッ!
「へっ……?」
「「「っ……!?」」」
「「なっ……!?」」
「っ……!?」
「っ……!!」
「ルッ……、ルーシー……?」
もうこれ以上見るに堪えなかった私はようやくコイツらに反撃を試みようとするも、それより先にルーシーがリーダー格の男に対して頬にビンタを放ったの。
「あぁっ!? てめぇ一体何しやがんだ!?」
「貴様、カイン様に何てことを!」
「カイン様に手を出すなんて中々無礼な方ですね……」
「……って……!」
「あぁっ? よく聞こえねぇな。今何言った?」
「いいから謝って……!」
「「「っ……!!」」」
「ルッ……、ルーシー……」
教室全体が動揺に広がる中、ルーシーはリーダー格の男に対して涙ながらに謝罪を要求したの。
ルーシーがここまで強い怒りを見せるのは初めてになるわね……。でもその気持ち凄く分かるよ……。
だって私たちもコイツらに対してとても強い怒りを覚えているから……。
「はぁっ? 謝る? この俺様がか? 意味分かんねぇこと言ってんじゃねぇよ。そもそも一体誰に謝ればいいんだよ?」
「この教室にいるあんたたち以外私たち全員よ……! 中でも特にリラに一番謝ることね……!」
リーダー格の男が何も悪びれもせず惚けた表情で一体誰に謝ればいいのか聞いてくると、ルーシーは教室にいるコイツら以外のクラスメイトたち全員、そして特にリラに一番謝ってほしいことを涙ながらに伝えたの。
「はぁっ? 俺たち以外全員だと? おいおい随分とおかしなこと言うんじゃねぇか。俺たちがお前たちに謝ることなんて何一つないぞ。何も悪いことはしてないからな」
「「「ぐっ……!」」」
コイツらには恐らく相手を傷付けたという自覚はないみたいね……。やっぱりつくづくムカつく連中ね……。




