不穏な空気
「聞こえなかったのか? さっさとどけつったんだよクソ女共が。お前らがそこにいるせいで俺たちが使う席に行けねぇんだよ」
「カイン様の言う通りだ。お前らが道を塞いでいるせいでここから先が通れねぇんだよ! あぁんっ!?」
「分かったならさっさとどくんだな」
「「「っ……!」」」
何なのこの男たち……? 凄く感じ悪くて態度もでかいし一体何様のつもりなの……!?
男とその取り巻きたちは私たちに近付くなり、でかい態度を取りながら道を塞がれて自分たちが使う予定の席へ行けないからどいてほしいと言ってきたの。
そしてこれを聞いた私たちはそのあまりの態度のでかさにとてもムカつき、男とその取り巻きたちを睨み付けていたの。
それともう一つ、男が私たちに対してクソ女共と言ってきたこともとてもムカついたしかなり腹が立ったわね……。会って間もないけど、本当最低の一言に尽きるわね……。
「えぇ、分かったわ。ここからどくことにするね」
「フン! 分かったならそれでいい。行くぞお前ら」
「ハイ、カイン様!」
「……」
本当につくづくムカつく男たちね……。
男とその取り巻きたちの言い分にも一応一理あると思った私たちは仕方なくどいてそのまま通したの。
だけど私たちは既にあることに気付いていた……。そもそもの話、レイゼルート学院の教室では席に向かう際階段がいくつもあって、わざわざ私たちがいる所の階段を使うこと自体必要がなくて、どうしてここの階段を選んだのか疑問を浮かべるしかなかったの。
席を選ぶのは一応自由だから別にそこは納得しているんだけど、他の階段を使えるのにも関わらずわざわざこの階段を使って席に向かおうとしたことには少し違和感を感じたんだよね……。
おそらくだけど、あの男たちはわざと私たちがいる所の階段を使って、その後見下した態度やマウントを取ることによって、自分たちの方が立場が上だと認識させようとしていたかもしれないわね……。もしそれが本当ならただの最低下衆野郎だけど……。
それと見たところ、リーダー格の男1人に取り巻きの男が2人……。この組み合わせ、まるでアイツらを思い起こさせるわね……。そのせいか、前世での辛い出来事が頭の中でフラッシュバックしてきて何だか吐き気がしてきたわね……。
「何なのアイツら? 上から目線な態度で凄く感じ悪かったし、チョ〜ムカつくんだけど!」
「ねぇ〜。私たちのことかなり見下してたし本当最低よね」
「それに使う席もここからかなり遠いみたいだし、それなら別の階段使えば良かったのにね。本当意味分かんない」
「ここの階段を選んだのは絶対ワザとに決まってるし、私たちを馬鹿にするためだけに使ったとしか考えられないわね」
見事な悪口のオンパレードね……。でもどうやら私の推察に間違いはなかったみたいね……。
男たちが席に向かうと、クラスの女子たちはすぐさま陰口を叩きまくっていたの。そしてそれを聞いていた私もそのことに少なからず共感し、男たちに対して嫌悪感を露わにしていたの。
あの男たち、いくらなんでもクズすぎるわね……。本当にただの不快でしかないわね……。
「あぁっ? 何か言ったか?」
ギロッ……!
「「「ヒッ……!」」」
「いっ……、いえ……。何でもないです……」
クラスの女子たちが自分たちの陰口を叩いているのを聞こえたのか、リーダー格の男は顔を振り向いて鋭い目付きで睨み付けて聞いてきて、クラスの女子たちはそれを見て恐怖に怯えながらも何でもないと言って誤魔化していたの。
この状況……、何だかとても不穏な空気ね……。
「フン、どうだかな。それよりギャーギャー騒ぐんじゃねぇよクソ女共が。つか大体お前ら女子たちが剣士とか目指すのがそもそもおかしいんだよ。女なんか所詮、俺様のハーレム要員で充分なのにな」
「「「なっ……!?」」」
「ヒャハハ、カイン様の言う通りだぜ!」
「そうですね。全ての女性はみな、カイン様のために存在しているようなものですからね」
「「「ぐっ……!!」」」
コイツら……、やっぱり本当に最低ね……!
そしてリーダー格の男は続けて女子が剣士とか目指すのはおかしいととんでもない問題発言をし、更に女は所詮自分のハーレム要員で充分だと最低発言も繰り出すと、取り巻きの男たちもなぜかそのことに賛同していて、そんな光景に私たち女子は全員拳を握りしめるぐらい怒りを込み上げていたの。
今ので完全に女子たち全員を敵に回したわね……。といっても最初から既にそうだったけど……。




