再びナルシストなアイツと出会う
「この声ってもしかして……」
チラッ……。
「やっぱりアリアちゃんとエレナちゃんじゃないかい。ハロ〜、昨日に続いてまた会えたね」
あ~……、やっぱり……。
「こんにちはセムレン。どうやらそうみたいね……」
「さっきの声、やっぱりセムレンだったんだね……。あはは……」
声のする方を振り向いてみると、声の主は案の定予想通りのセムレンであることが分かり、私とエレナは終始苦笑いを浮かべていたの。
まさか教室でバッタリとセムレンに会うことになるなんてね……。それに相変わらずのナルシストぶりだし……。あとあまりのインパクトの強さに影響して、そのせいか朝からもう既に胃もたれを感じる……。うぅ〜……。
ちなみに男子のレイゼルート学院での制服は、ブレザーとスクールシャツは女子と一緒で、リボンとスカートはネクタイとズボンになっているの。まあ、これは当然のことだけどね♪ それでネクタイは緑色でズボンが黒色のチェック柄というこっちもこっちでとてもオシャレなデザインになっているんだよね♪
「ねぇねぇ、この人誰? 2人の知り合い?」
「あっ……、うん……。え〜っと〜……、この人はね――」
それから私とエレナは、ルーシーとリラにセムレンのことを紹介したの。
「えっ、嘘!? 伯爵の息子って本当!?」
「何かにわかには信じがたいわね……」
「何言ってるんだい? 僕は正真正銘本物の伯爵の息子だぜ。キラッ☆!」
うっ……! 今の何かキツイかも……。
セムレンが伯爵の息子だと聞いてリラとルーシーが半信半疑になっていると、セムレンは自分が本当に伯爵の息子であることを爽やかに明かしていたの。
あとちょっと気になったんだけど、セムレンが本当に伯爵の息子であることを明かす際、最後にとても綺麗な白い歯を見せてさり気なくキメてみせたけど、あれは流石にちょっと引いたわね……。現にエレナとルーシーも私と同じ気持ちだし……。対してリラはそのことを気にせず、素直に驚いていたけど……。
やっぱりセムレンは相当なナルシストであることに間違いないわね……。まあでもそれがセムレンの良い所でもあり、魅力であったりはするんだけどね♪
「そうなんだ☆! ということはセムレンって本物の貴族になるんだね♪ 凄い凄い☆!」
「ありがとう。お褒めに預かり光栄至極だぜ」
「へっ……、へぇ〜……。どうやら伯爵の息子というのは本当のことみたいね……」
「あぁ、そうさ。キミも分かってくれたかい?」
「えぇ、まあ……。その……、一応はね……」
「「あっ……、あはは……」」
セムレンが本物の伯爵の息子だと分かると、リラは目をキラキラと輝かせて感心し、ルーシーは渋々その事実に納得していたの。
見たところ、少なくともルーシーはセムレンに対してどこか苦手意識があるみたいね……。まあその気持ちは凄く分かるけど……。対してリラはセムレンのナルシストぶりに気にすることなく、ピュアで素直に接しているわね。まあそこがリラの良い所でもあるけど♪
恐らくリラはみんなお友達という感情を持ち合わせていそうね♪
「そういえばさっきからずっと気になってたんだけど、この子たち2人はもしかしてアリアちゃんとエレナちゃんのお友達かい?」
「うん、そうだよ♪ 2人の名前はね――」
それから私とエレナは、セムレンにルーシーとリラのことを紹介したの。
「ふむ、なるほどなるほど。リラちゃんの頭の上に生えている耳を見てもしかしてと思ったけど、やっぱりビースト族の獣人になるんだね。そして2人は大の仲良し……。それってとても素敵な関係性じゃないか。くぅ~、何だか泣けてくるぜ」
「本当!? エヘヘ〜、とっても嬉しいなぁ〜♪」
「ありがとう、セムレン♪ 今の言葉とっても嬉しいよ♪」
「礼には及ばないぜ。素直に思ったことを口にしただけだから」
そしてルーシーとリラの関係性を知ったセムレンは2人のことを褒めてとても感動し、2人もセムレンの言葉にとても嬉しそうだったの♪
セムレンってナルシストなせいでちょっとあれだけど、根は素直でとても優しそうなんだよね♪
「それじゃ改めて、ルーシーちゃんとリラちゃん。これからよろしくだぜ」
「うん、こちらこそよろしくね♪ セムレン♪」
「セムレン、よろしくね♪」
それからルーシーたちはお互いの名前を呼んで挨拶をしていたの。
とりあえずみんなが仲良くなれて良かったかな♪




