ハ・ナ・ワ・ズ・ラ・イ
〝花吐き病〟──
いつからだっただろうか。私が、この病気に侵されたのは。
ある日学校から帰ると、突然気分が悪くなり、お昼寝でもしようと布団に潜って、目が覚めたときには……周りが1面、花。花。花。
それから毎日、決まった時間に、決まった量で出てくる花。1つ変わったことといったら、時が経つにつれ、花の状態が悪くなってきたことぐらいだろうか。
なぜ、この病気を患うことになったか、なんて、わからない。だって、私には片想いの相手なんていないんだから。
今の私にできるのは、片想いの相手を作ることぐらい。
そんなある日のこと。幼なじみの男子に告白されて。
「ごめん、あんたのこと、そういう風には見れない」って返して。
それで終わると思っていた。なのに──
「なに……これ……」
目が覚めた私の周りには、花びらが真っ赤に染まった花が1輪。
ぽつん……と、赤い汁を滴らせながら横たわっていた。
まるでそれは、私の気持ちを暗示しているようで。自分の気持ちを欺いてはダメだと、諭されているようでもあって。
だって、おかしいでしょ。フッたのは、私なのに。……なのに、あいつのことを考えると、モヤモヤして。昨日の自分の答えが、どうしようもなく間違っているような気がして。
「まだ……間に合うかな……」
もし、……もし、間に合うなら。私にそれが、許されているなら。
この花を、勇気に変えて。
君への本当の気持ちを、もう一度。
Twitter→@Cocona_Sakuhana
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