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第8話 冒険者ギルドとパーティーの結成

 遂に来ました冒険者ギルド! 2階建ての大きな建物で、店内は大きな酒場と受付が合体したような感じと言ったらいいのだろうか。


 手前奥にあるテーブルには暇そうにしている冒険者らしい男女が座ってだらけていたり、奥のカウンター横にある掲示板に群がってる冒険者や朝から飲んだくれている男もいる。


 さて、そんな初めての冒険者ギルドといえば定番中の定番のあのイベントがあると俺は予想する。


 ここは男としてカッコいい所を姉さんに見てもらえば、弟ではなく男として見てもらえるだろう……っと考えていたのだが――。


「定番イベントが起こらない……」


「いべんと? 一体何のこと?」


「いえ……何でもないです」


 そう、序盤の定番イベントと言えば冒険者ギルドに行くと強面の男に絡まれるというはずなのだが、何故だか周囲の人に哀れみの目を向けられている。


 なんでだ?


「おめぇさん良かったな、行きてて。 こんな世の中だ……命あるだけマシさ。 これから姉さんと二人で思い出を作っていけばいいさ。 俺はエヴァンズって言うんだ。 あねさんには大層世話になっててな。 困った事があったら俺に言いな。 じゃぁまたな」


 えっ何? この『俺は分かってるさ』みたいに去っていくおっさん。 名前だけ告げて颯爽と去っていったんだけど。 本当に誰? っていうか周りの人も似たような目でこっちをチラチラ見てるんだけど。


 そんな感じで哀しげな視線を向けられたままギルドの中へと進み、俺達は受付の前に立った。


「お待ちしていましたレティシアさん。 そして弟さん、ようこそ! 冒険者ギルドへ」


 なんでこの受付のお姉さんは俺の事知ってるんだろう……。


「この子の冒険者登録をお願いします。 あと私とパーティー申請も」


「はい、承知しました。 それではええと……」


「あっ始めまして、ハルトと言います。 よろしくお願いします」


「ご丁寧にどうも。 私はこの冒険者ギルドで受付をしていますエミリと申します。 今後もよろしくお願いしますね」


「よろしくお願いします!」


 美人なお姉さんだなと思っていたら、顔に出ていたのか姉さんが無言で脇腹と抓ってくる。


「痛いよ姉さん」


「知りません!」


「ふふ、仲がよろしいんですね。 ハルト様、それではこちらの用紙にお名前、後は魔法や特技があれば記入していただきたいのですが……代筆をした方がよろしいでしょうか?」


 代筆をした方が……ってことはこの世界の人は文字を書ける人が少ないのかな?


「自分で書けるので大丈夫です」


 用紙に名前を記入していくのだがここでそぼくな疑問が出た。


「エミリさん、魔法とか特技で嘘を書いたりする人とか出たりしないんですか?」


「一定数ですが能力を偽って記入される方もいらっしゃいますが、それが嘘だと発覚した場合は冒険者資格の剥奪の上、全ての冒険者ギルドで共有させていただきます。 この場合どの国に行っても冒険者になることはできず、これらの情報はギルド外の他国や大商家等にも共有致しますので信用が無くなります。 最悪投獄される場合もありますので、嘘を記入するのはオススメ致しません。 どうしてもと仰るのであればお止めはしませんが……」


「いえいえ、嘘なんて書かないですよ!」


 俺は用紙に名前だけを記入して渡した。


 魔法? 特技? そんなものが使えたらよかったのにな……。


 ちなみにだがこの紙はそれなりに貴重な物で製法も秘匿されているらしい。 使うのは大手の大商家や貴族といった富豪層と冒険者ギルドぐらいらしい。 なので最初に代筆を聞かれたのも納得だ。


 認字率が悪いだろうという事も予想できる。


「ありがとうございます。 それではこちらで……あの……これは文字……ですか? 見たこと無いのですが……共用語でお願いできないでしょうか」


 あっしまった! ここが異世界だとしたら文字が一緒な訳ないよな。 言葉が違和感なく通じているので失念していた。


 ちなみにだが何故言葉が通じているのかは分からないし、それを解明できる程俺の脳味噌は賢くない。


「はぁ……まったく。 すみませんエミリさん。 代筆は私が変わりに」


 っと姉さんが俺の変わりにサインをしてくれた。


「確かに確認しました。 それではパーティーを結成するにあたって、パーティー名はお決まりですか? お決まりでしたらこちらの用紙に記入と冒険者プレートの提示をお願いします」


「姉さん、どうしようか」


「そうですね……時の絆というのはどうでしょうか。 今の私達にはピッタリかなと思いまして」


 と少し顔を赤らめながら笑顔で話してくる姉さんは本当に尊いね。


「時の絆か……いいと思うよ」


「はい、確かに確認しました。 それでは冒険者プレートを発行しますので少々お待ち下さい」


 とエミリさんは用紙を手に受付の奥へ入っていった。


 姉さんと雑談を数十分程度していると銅と銀のプレートを手にエミリさんが戻ってきた。


「おまたせしました。 こちらがハルトさんの冒険者プレートになります。 最初は初期ランクであるFランクのスタートとなります。 紛失すると再発行に費用が発生してしまうので、きちんと管理をお願いしますね」


 自分の冒険者プレートを見ると、どちらが名前でどちらがパーティー名なのかは分からないが、恐らく共用語だと思われる文字できちんと描かれていた。


「ありがとうございます。 最後に一つだけ聞きたいのですが、姉さんとプレートの素材が違うのですが」


「ランクによって冒険者プレートになる素材が変わります。 ハルトさんもDランクに上がれば銀のプレートになりますよ」


 どうもランクの認識用に素材が分けられているみたいだ。 確かに見た目が違っていれば文字を読めなくても誰がどのランクかが分かる。


「それではハルトさん・レティシアさん、改めて時の絆の皆様、ようこそ冒険者ギルドへ!」

どこかでエヴァンズと絡ませたいのだが、如何せん出番が無い。

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