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第1話 まさかの逆ナン!?

ああ! GWが終わってしまう!

 昨日は本当にえらい目にあった。


 何があったって、そりゃあ昨日の全身筋肉痛である。お陰で昨日1日ベッドで時間を潰していたんだよ。 どうも急激に大きいソールを得ると、一気に体が強くなる代わりに全身が筋肉痛に襲われる症状が起こるらしい。


 そういう大事な事はもっと早めに知りたかった。


「それで姉さん、しばらく冒険に出れないと思うんだけどどうする?」


「そうですね……。 冒険に出るわけにはいかないですし、しばらく休暇としましょう。 ハルトが冒険者になってからずっと働いてましたし。 装備を整えたり勉強したりと丁度いいかと思います」


 あ〜そういえばこっちに飛ばされてから今までずっと戦ってばかりだったな。 こっちに飛ばされたあの時がすごい懐かしく感じる。 まぁまだ1ヶ月も経ってないんだけど。


「そうだなぁ。 武具は姉さんと見たいし……」


「ふふ。 デートのお誘いですか?」


「なっ! そっそうじゃなくて……」


「ふふ、冗談ですよ。 明日ギルドの人が訪ねて来ないようであればあの店に行きましょうか」


「あの店ってあの爺さんの?」


「そうですよ。 結構お年を召された方ですが、この街では1番の鍛冶師ですよ」


「あの爺さんが?」


「えぇ、ただ問題は誰にでも武具を打ってくれるわけじゃないんですけどね」


「偏屈だなぁ……」


「それじゃあ私はこれから少し予定ありますから、また夜逢いましょう」


「え? 姉さんは何か予定あるの?」


「姉をなんだと思っているのですか。 こう見えても姉さんも予定がありますよ」


 そりゃそうか。 今までずっと一緒だったので驚いたけど、姉さんは俺と違って現地の人だし、人付き合いも当然あるか。


「じゃあ俺はどうしようかな……」


「ハルトはゆっくりとこの街を見てないのではないですか? だったら観光してもいいですし、この時間に冒険者ギルドで図鑑を見たり、文字の勉強してもいいですね」


「勉強かぁ……」


「貴方は色々と知識が足りないですし、この休暇に勉強もしなさい」


「うへ〜」


「それじゃあまた後でね」


 と姉さんは出ていった。 さて、俺は本当にどうするか……。


 もちろん勉強をしないといけないのは分かる。 分かるのだが……だが! せっかくゆっくりと時間が取れたのだ。 少し無駄使いするぐらいの手持ちはあるのだし、観光と行きますか!


 意気揚々と観光に出た俺はさっそく商業区に足を踏み入れた。 先程朝食を済ませたのだが、なんだかいい匂いに釣られて足が自然と動いていく。


「おう、いらっしゃい! どうだいフォレストオークの串焼きだよ!」


 フォレストオークの串焼き……オークと言えばクッコロさんをどうしても思い出すのは男子の性なので仕方ない、仕方ないのだ。


 それにしてもすごくいい匂いだ。 お腹がぐぅ〜っと鳴って『今すぐ買うのだ』と催促をしてくる。 オークと言ってもどうせ歩く豚みたいなものだろ。


 大丈夫だ、何事も挑戦である。


「おっちゃんいくら?」


「1本20銅だな」


「じゃあ1本ちょうだい」


「ほらっ毎度!」


 銅貨を代価に焼串を1本錬成した俺は肉汁が垂れてるジューシーな肉を口に入れて頬張る。


 噛みしめると肉の繊維は優しく解けていき、肉汁が口に溢れて旨味と肉の甘さが口の中を蹂躙していく。 溶けていく肉の油は舌に程よい旨味と甘さを残していく。


 なんだこれ……なんだよこれ! ほんの少し癖があるが、牛と豚の中間のような感じのといえばいいのか、そこらのスーパーの特売のお肉より全然美味しい。 串に刺さっていた肉は気がついたら無くなっていた。


「美味かったな……」


 と頭の悪そうな顔をしながら歩いていくとお世話になっている道具屋についた。


 前回の戦闘で道具類も結構消費をしたのだ。 余分なお金もあるのでポーション等の消費品も補充する事にする。


 買い忘れもトラブルも無く、無事に買い物も一人で出来る様になっていて異世界生活は順調である。


「さて、これからどうするか……」


 本音はもっと裏路地とか含めて色々と見ていたいのだが、ここは平和な日本ではない。 裏路地になんて入ってしまえば何があるか分からない。


 現代でも日本以外の国だと、女性の独り歩きは危険だったりするのだ。 当然ここはもっと危ない。 そんな事は分かりきってるので中々勇気が出ないのだ。


 目的もなくブラブラと歩いていると「見つけたわよ!」と後ろから声が聴こえてくる。


 知らない人に声をかけられても付いていってはいけませんと母親に教わっただろう。 俺は実践する男である。


 無視して歩いていくと「なんで無視するのよ!」と肩をポコッと叩かれる。


「なんて暴力的なエルフなんだ」


「なんですって!?」


 と怒っているこいつは、冒険者ギルドで姉さんに抱きつき『スーハースーハー』と深呼吸していた変態エルフのエルネスト。


「あっつい心の声が出ていたか、悪くない悪くない(悪い悪い)」


「本音を出してるんじゃないわよ!」


 ったくこっちは幸せな気持ちで歩いていたってのに、なんでこう。


「面倒くさい奴に出会ってしまうかな……」


「だから本音が漏れてるっていってんでしょ!」


「あぁ悪い悪い」


 と心にも思ってない謝罪をすると。


「〜〜!!」


 と頬をプクッと膨らまして怒っている。 黙っていると可愛いんだけどな……。 ん? そういえばエルフって長寿で外見がほとんど変わらないと聴くな。


 って事はこいつ……まさかバッ――。


「それ以上言うとぶち殺すわよ」


「なんで俺の心を読めるんだよ。 まさかエスパーか?」


「あんたは顔に出てるのよ!」


「はいはい、そんなに怒るなよ。 可愛い顔が台無しだぞ?」


「かっかわ……//」


 こいつチョロインかよ……。


「んで何だよ。 こちとら忙しいんだぞ」


「全然暇そうにしてたじゃない! って言いたい事はこれじゃなくて、なんであの時無視してどっか行っちゃうのよ!」


「いやいや、姉さんはきちんと声をかけてただろ。 お前が勝手に妄想の世界に入っていただけだろ」


「〜〜!!」


 またこいつ頬を膨らましてるし、フグかよ魚類かよ。


「んで言いたい事はそれだけか? じゃあな」


 と去ろうとしたのだが、肩を掴まれて逃してくれない。


「待ちなさいよ!」


「だから何だよ、お前に構ってるほど暇でもないんだよ」


「あんた……フォレストロードを倒したんだって?」


「おう、あの時森へ行った時に出くわしたんだよ」


「……信じられない」


「え? 何だって?」


「信じられないって言ってんのよ! 冒険者になりたてのあんたがどうやってフォレストロードを倒したっていうのよ!」


「事実だから仕方ないじゃん。 それに俺だけじゃなくて姉さんも一緒だったからな」


「それでも……それでもお姉さまと一緒だからといって倒せるわけないじゃない!」


「別にお前に信じてもらえなくてもいい。 それじゃあな」


 と背を向けて歩こうとすると。


「勝負しなさい!」


「は?」


「勝負しろって言ってんの!」


「なんでお前と勝負しないといけないんだよ」


「何? 怖気づいたの?」


 とニヤニヤとこっちを馬鹿にしてる顔をしている。 ムカつくが、ここは冷静に冷静に……。


「あらっいいのよ別に。 あんたがずっとお姉さまに守られてるだけだって言うなら」


「言うじゃねぇか、その喧嘩買ってやるよ」

煽りに弱いハルト君

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