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第2話 ついに現地人と出会ったと思ったら、なんだかちょっと違う

 いや、マジでどこだよ。


 何これ、悪の組織にでも誘拐された? それともよく見かける異世界転生とか異世界転移とかってやつ?

 一気に目が覚めたわ。


 ちょっと意味の分からない状況すぎて思考が全然追い付かない。


 もし異世界転生だったとしたら、まだ俺……童――ピュアボーイなんだけど。


 いつの間にか俺死んじゃったとか?


 新品のまま魔法使いになる前に人生終わっちゃうとか嫌なんだけど。 いや、魔法使いになりたいわけじゃないんです。


 おっと、こんなつまらない思考をするうちに頭が冷静になってきた。


 そうだ! 死んでないなら俺の右手の甲には昔から生を共にしてきた痣があるはずだ。


 紋章のように見えなくない痣があり、中学生の頃は『俺のこの手が真っ赤に燃える!』と中二病全開で校内を駆け巡り、高校生の時は中二病もすっかり下火になりコレをイジられた時には喧嘩になったもんだ。


 ちなみに、高校時代のあだ名は『マスター』だ。 問おう、俺の右手には痣が……。


「うん、あるな。」


 いつもと変わらない痣が俺の甲にハッキリと描かれている。


 ということは、俺は死んだわけではないのか? だとしたら何でこんな所に。


 まてまて、とりあえず落ち着け。慌てるような時間じゃない。 まずは状況を確認しよう。


「左右草原。 後ろも草原。 前方も草原」


 周囲を見渡したが、地面から草が生えてるだけだ。


「ってよく見たら俺の服装変わってるじゃん」


 グレー生地のパンツに緑色の無地の服。 しかも若干臭うし、腰に巻いてるヒモはなんだ? ベルトの変わりかな?


 えっなにこの格好、『やだ、かっこいい!』とか思うわけないじゃん。 まさに『THE・村人』みたいな格好でしかもちょっとゴワゴワしてるし。 これならまだTシャツに高校時代のジャージという『THE・寝巻き』の方がマシじゃない?


 さすがに大学生にもなってこれはキツイ。


 いや、民族衣装と思……えないな。 どちらかと言うとピーターパンのコスプレだな。


 草原のど真ん中で荷物も持たずにピーターパンみたいな恰好して大の字に寝ていたとか頭のおかしい奴じゃん。 しかもポケットには何も入ってないし、スマホも無いからここが何処かも分からない。


 ライトノベルをよく読む俺にとって、こういう状況がどういう事なのかはなんとなく。 そう、なんとな~く分かったり分からなかったり。


 こういう時に一度はやってみたいことがあるんだ。 ここが地球の何処か、もしくは全くの別世界。


 つまりは異世界かどうかが分かる魔法の言葉がありまして……。


「ステータス!」


「……」


「メニュー!」


「……」


 俺の声がだだっ広い草原に広がる。


 まぁわかってたよ、こんな状況になったらとりあえず叫んでみたくなるじゃん? チートな能力を持って知らない異世界とか人生一発逆転するかもしれないしさ……。


「まぁこんな事だろうと思ってたけど、このまま突っ立ってても意味ないし移動するか」


 ひとまずは街道を見つけるか誰か人を見つけることだな。


 周り見渡しても草原しかない状況から脱しないと俺の命が危ない。 だって何も持ってないからな! お金も無ければ水も食糧も持ってないのは既に確認済みである。


 あれから数時間、ひたすら歩いているが風景は相変わらず変わらない。


 喉も乾いてきたし本格的にヤバくなってきた。 起きてから飲み食いしてないのでお腹も減ったし、少しずつ命の危機が迫ってきてるのを感じる。


「あ~腹減ったし喉乾いたな……」


 足も痛いし、俺が一体何をしたっていうんだ。独り言ぐらいは許して欲しい。


「ん? あれは」


 ものすごく遠いが人影っぽいものがちらっと見える。


「第一村人発見!」


「おーい! おーい!」


 俺は全力で手を振り草原を走る。


「すいませーん!」


 と声を掛けながら走っていくと、近づくにつれ人影の輪郭がハッキリしていく。子供かな?


「ひーふーみー三人……ん?」


 まて、腰みの? っぽいものを巻いており、手にはこん棒や折れた剣みたいなのを持っている。 肌の色は緑色をしており、頭には一本の角が生えていて、どちらかと言うと……


「三人というよりも匹……かな?」


『グギャ?』


 いや、これ最近TVで見た事ありますね。 ゴブリンなんちゃらってアニメなんですけど……。


『グギャ! ギゲェギゲェ!』


 うわっ気持ち悪い……。


 これが、かの有名ゴブリンさんですか。薄い本でいつも右手が大変お世話になっております。


『『『ゲェ、ゲヒャヒャヒャヒャ!』』』


 何だから笑われてるような気がする。


 自分の足を見るとガタガタ震えていた。 人だと思って近づいたらゴブリンだったことで、怖くなって足が震えてるんだな。


 こう自分の状況を理解すると頭がスーッとしてくる。 少し冷静になったら腹が立ってきた。


「フン!」


 俺は足元にある石を目の前のゴブリンに投げつけた。


『フギャ!』


 思いのほか威力が強かったのかそのまま後ろに倒れて(もだ)えだした。 片手で頭を押さえながら立ち上がると『グギャグギャ!』と叫びながら地団駄している。


 やはり石を当てられた事で怒ったようだ。 これでお相子だと思ってるので許してほしい。


 元々意思疎通取れるとは思っていないけど、ここまで怒ってる以上は例え言葉が通じたとしても不可能だろう。


「逃げないと」

いきなり小石投げるとは、こいつヤバいやつだと思います。

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