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第7話 あの……持って帰れないんですが

 さすがのフォレストロードも首を中半まで斬られたら生きてはいないだろう。 もしこれで生きてるようであれば、さすがに生物の範疇を超えてると思う。


 もし動くようであれば、今度こそ俺たちは終わりだろう。 既に姉さんも満身創痍だし、俺も両腕と両足が満足に使えない。 スキルの反動なのか、それとも『アクセル』の速さに体が耐える事ができなかったのかどうかは分からないが、これ以上は俺も勘弁してもらいたい。


 ひとまずこれをどこまで扱えるかで今後の切り札にもなる。 と考えていたら、体に今までに感じた事のない膨大なソールが入って来ると同時に


『エアリアルブレード』


と脳内に文字が現れた。


 フォレストロードを倒した事で、新たなスキルを獲得したのだろう。


 『エアリアルブレード』とは多分攻撃スキルか何かだろう。 恐らくフォレストロードが姉さんに使っていた攻撃だろうか?


 どちらにしても今日はもうスキルの検証をする体力も残ってないし体もボロボロである。


 それにしても……それにしてもだ。


「姉さん、無茶をしすぎだよ。 盾でフォレストロードの口が閉じるのを塞ぐって……一歩間違えたら腕を持っていかれたよ?」


 と言うと、姉さんは少し分が悪そうな顔をして。


「仕方ないじゃありませんか。 あの方法しかフォレストロードを止める術を見つける事ができなかったんですから」


「だからといって、姉さんに何かあれば……」


「本当にハルトは心配性ですね。 それにこの方法を思いついたのは、ハルトがフォレストロードと一人で対峙していたからですよ。 貴方こそ無茶をしすぎです」


「えっあの時の見てたんだ」


「えぇ、すぐ駆け付けようとしたのですが……頭を強く打ったみたいで、少し意識が朦朧としていたようで。 それよも……それよりもです!」


 と鼻をフンス!と鳴らし、怒ったような顔をして。


「無茶はこちらのセリフですよ! 土壇場で獲得したばかりのスキルをよく知らないまま使いましたね?」


「バレた?」


 と『テヘッ☆』と可愛くおどけてみたのだがダメみたいだ。


「『バレた?』ではありません! 結果が良かったものの……それにその両手と両足、余りにも酷い怪我じゃないですか」


「まぁ無茶はお互い様って事で」


「ほんとにもう……これっきりですよ?」


「ははっ。 努力するよ」


「はぁ……それにしても、まさかフォレストロードがこんな所に出るとは思いませんでした。 街に戻ったら報告しないといけませんね」


「普段は出ないんだ?」


「当たり前ですよ。 こんな化物がこの辺をウロチョロしているなら、いくら冒険者と云えどFやEでは束になっても敵いません。 ハッキリ言って餌になるだけです」


「確かにむちゃくちゃ強かったね……普段はもっと奥地とかにいるの?」


「そうですね、普段は自らの縄張りから出ることはありません。 出るのはその下のフォレストウルフぐらいですね」


 普段は自宅の警備でもしてるのかな? まぁロードと名がついてるし、王であるならば自ら動く事もないか。


「じゃあなんでこの辺にいたんだろうね」


「分かりませんのでこればっかりはギルドに報告して調査をしてもらわないといけないですね。 それにしても……お陰で久々にソールが手に入りました」


「姉さんもソールが手に入ったんだ?」


「えぇ、この辺の魔物ではもう私はソールを手に入れる事はできなくなってましたから。 ハルトは当然手に入ってるとして、スティグマが輝いているみたいですし新たなスキルも手に入りました?」


「うん、ソールも当然手に入ってるよ。 スキルは『エアリアルブレード』ってスキルかな。 まだ使った事が無いから分からないけど、多分攻撃スキルだと思う」


「そうですか。 エアリアルブレード……風の刃……もしかしてフォレストロードが私に使ってきた魔法でしょうか?」


「ん~。 使った事が無いから分からないけど、なんとなくそんな感じはするんだよね」


「まぁこれ以上考えても仕方ないでしょう。 ハルト、最後のポーションです。 気休め程度ですが、少しは歩けるぐらいにはなるでしょう。 これを飲んで今日は戻りましょう」


「ありがとう、助かるよ」


 と受け取ったポーションを飲むと、ほんの少しは体を動かせるぐらいに回復した。 傷は治ってないので、動かすと痛いが、動けない程ではない。


「にしても、フォレストロードの死体はどうしようか……」


「そうですね、証拠として牙と爪は確保して……残りも回収したいのですが、さすがに大きすぎて人手が必要ですね。 ギルドに戻って手配してもらいましょう」


「そうだね、二人で運べるサイズじゃないしね……」


 さっそく俺達はフォレストロードから牙と爪を一つずつ回収した。 爪や牙一つといっても、あのロードから生えていたものだ。 大きさも太さも段違いである。


 っと回収している時に森の奥地から視線を感じたので顔を向ける。 一応念のために『気配察知』を使うが何も引っかからない。 気のせいかな?


「どうしました?」


「いや、なんだか視線を感じたんだけど、『気配察知』にも反応しないし気のせいみたい」


「まだ気が高ぶってるからかもしれないですね。 ほらっ手を動かして帰りますよ」


 止まっていた手を動かし、鞄に切りとった爪と牙を収納してカリスの街へ戻ることにした。

アイテムBOXみたいな便利な物があれば回収できたんですけどね……。

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