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第3話 いざロータスの森へ

ようやく冒険に出るようです。

 目の前には青々とした木々が生い茂り、鳥の鳴き声が周囲から聴こえてくる。 天から降り注ぐ光は緑の隙間から漏れ出し、幻想的な景観を表現している。


 さて、そんな俺達は現在『ロータスの森』まで来ていた。


 え? エルフ? 同性だとしても、姉さんに抱きついてスーハースーハーする奴なんて俺は知らないね。 まぁあの変態は置いておこう。


 今回は平原を西に抜けた先にあるこの『ロータスの森』で討伐依頼としてフォレストウルフの討伐に加え、薬草の採取等の採取依頼も受けている。


 本来は4人以上推奨のエリアだが、姉さんが中堅冒険者であること。 俺が平原を卒業したのもあって許可されている。


 まぁ許可と言っても他の冒険者は勝手に行ってが、その変わり何があったとしても当然ながら自己責任だ。


 本当にこの世界って命の価値が安いよな……。


「それじゃあハルト、道中に話した事は覚えていますね?」


「うん、覚えているよ」


 道中に話した事とは『ロータスの森』に生息している主な魔物の事や森での注意事項等である。


 この『ロータスの森』ではフォレストゴブリン、つまりは森で集団行動しているゴブリンが結構な数生息しているみたいらしい。 気をつける点は自身の肌色が緑なのをいい事にそれを利用して草木に隠れて襲ってくるので要注意とのこと。


 殺した冒険者から剥ぎ取ったのか知らないが、持っている武器や道具等もはぐれと違ってそれなりの物を持っているらしい。 まぁ所詮はゴブリンなので、油断さえしなければ今の俺なら大丈夫だ。


 その他にも森オークと呼ばれる森で木の実等を主食としているオークも生息しており、この『ロータスの森』でゴブリンと勢力争いをしている。


 しかし、この『ロータスの森』で一番の強敵はフォレストウルフ。 個体数はオークやゴブリンよりは少ないらしいが、素早い動きと警戒心が強くて素早い爪で切り裂く攻撃をしてくるらしい。


 中には風の魔法を扱う個体もいるみたいなので注意が必要だ。 冒険者の間では『森のハンター』や『森の傭兵』と呼ばれている。


 魔物の方は大体こんなものだ。 世界は広いので、他にも当然生息しているし、どこからかやってきたりするが、奥地へ行かなければ大丈夫みたいだ。


「じゃあ『気配察知』のスキルを使いながら進むことにするよ。 平原じゃああまり活用しなかったからね」


 スキル『気配察知』は何もしなくてもなんとなく周囲の気配を察知したり危機を察知したりと、つまりは五感が研ぎ澄まされるのだ。 しかし、大きな特徴は意識して使うことができるのだ。


 意識して使うと今の所は大体になるが周囲50メートルぐらいなら隠れている対象の方向がわかったりする。 まさに人間レーダーだ。


 ただまぁ地形とかまでは流石にわからないので、せいぜいどっちの方角にどれだけの数がいるのかが分かる程度だ。 どんどん使っていけば精度が上がったりするんだろうか?


 もう少し探れる距離が広く、地形まで分かればなるべく危ないルートを辿ったりと便利に役立ったのだろう。 しかし50メートル程度だとフォレストウルフ相手には心許ないし地形など分かるわけもないのである。


 まぁその辺も徐々にどうにかできたらいいなと思っているが目処等経っていない。 まぁ無いよりはマシだけど。


「えぇ、気をつけて進みなさい。 今回は私も少しだけ手を貸します」


「少しだけなんだ?」


「私がやってしまったらハルトの出番が無くなってしまうじゃないですか。 それじゃあ貴方の成長にもなりませんからね」


「こういう所は厳しいんだね」


「当たり前です。 甘えさせてばかりの姉ではありませんよ。 ほらっ無駄口を叩かないで行きますよ」


「はいはい」


 と軽口を言いながらも警戒心を強くして進んでいく。


 巡回なのか斥候なのか、草むらに隠れたゴブリンを殺しながら慎重に進んでいく。


 森のゴブリンなら今まで戦ったゴブリンじゃないし、新しいスキルでも覚えるのかな? とか思っていたが、特に何もなく俺の右手のスティグマはいつも通り主張しているだけだった。

 

 はぐれだろうが森だろうが所詮はゴブリンという事だろうか。


 もちろん周囲を警戒するのも忘れないし、ポツポツ生えている薬草の採取も忘れない。 木の根の近くに生えてるのが薬草らしい。


 ちなみに俺は薬草と雑草の区別はあまり付かない。 一応冒険者ギルドに置いてあった植物図鑑にも暇な時に目を通したのだが、正直覚えれる気がしなかった。


 どれも同じに見えるし暗記は苦手なんだよなぁ。


 奥地に行かないようにガサガサと森を探索してかれこれ数時間が経つ。


 レーダーに今までと違った反応が出た。 これは2体……かな? こっちに近づいて来ているのが分かる。


 俺は足を止めて体制を低くし、右手を出して行動を止めた。


 向かってくる方向に意識を集中すると、ゆっくりとこちらを伺うように近づいてくるのが分かる。 これがフォレストウルフだろう。


 ゴブリンなら今頃こちらを見つければ『ギャアギャア』と叫びながら真っ直ぐ向かってきているだろう。


 しかし相手はこちらを警戒しているのか、ゆっくりと音を忍ばせながら近づいている。


「姉さん、止まって。 左斜め方向から多分フォレストウルフがこっちに向かって来てる」


「数は?」


「多分2体……だと思う。 それ以外の反応はみられないよ」


「こちらでも視認できました。 確かにフォレストウルフですね。 よくやりました。 周囲に隠れてる個体は……いないようですね。 片方は私が相手をします。 ハルト、相手は強敵です。 油断はしないで」


「姉さんも気をつけて」


「何を言ってるのですか。 これでも銀プレートの冒険者ですよ。 フォレストウルフ程度に遅れはとりません」


 姉さんは剣を引き抜き鉄の仮面を被る様に笑顔を消す。 すると周囲の空気が張り詰めたような気がした。


 駄目だ姉さんばかり見ては。 相手はゴブリンみたいな雑魚じゃない。


 気を引き締めろ、じゃないと死ぬのは俺だ。

次回、フォレストウルフ!( ・`ω・´)

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