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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
卒業旅行!

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飯坂温泉10!

 沙希たち女子三人組が食事をしているころ、男子三人は大風呂に浸かっていた。ほりえや旅館には大風呂と小風呂があるが、せっかくだし三人だから大風呂に浸かることにした。入浴中は貸し切りとなり、ほかの個人や団体と空間を共にすることは基本的にない。


「おお、あっちいなあ」


 ざぶん、どぷどぷどぷ。飯坂の熱い湯に肩までどっぷり浸かる武道。


「すげえな、これでもぬるいほうなんだろ」


 陸は恐る恐るゆっくり浸かったが、鳩尾みぞおちまでが限界だった。


「はい、時間帯によっては50℃を超えるそうです」


 自由電子は縁に座って脚だけ浸かっている。


 この熱さが自慢の飯坂温泉だが、脇からホースを伝ってちょろちょろと冷水が出ていて、入浴しやすいよう配慮されている。


 湯けむりもくもく、ちょろちょろ流れるかけ流しの湯。男だけの静かな時間。三人はそれぞれしみじみと、滅多に入れない温泉を満喫している。


「俺さあ、沙希が羨ましいんだよな」


 と、武道。頬が紅潮し、若干火照っている。


「俺、よく周りからキモいって言われて、何気に心に刺さって、それをいつもつぐみちゃんが癒してくれるのだが、そんなことではビクともしない、強い男になりてえなあって思ってよお。沙希はいつもあっけらかんとしてて、周りに何言われるとか、そういう小難しいこと気にしなさそうな感じがして、あのさっぱりした感じに憧れるんだ」


 ぽかぽかと、口を開けて脱力する武道。恋人のつぐみには見せられない男の弱さを吐露。


「いや、沙希はめちゃくちゃナイーブだぜ。あっけらかんとしてて人間関係とか気にしなさそうな素振りを見せてるけど、実は人のことすげえよく見てて、人一倍周囲に気を配ってる。まどかもそれを見抜いてて、アイツには敵わねえなってなる」


 陸はどうすれば思い悩んだときの沙希の力になれるか思い悩んでいる。


「まどかさんも、沙希さんにはすごくコンプレックスを抱いていますね。結局、みんなそれぞれ思い悩んでいるわけで」


「みんなそれぞれ、違う傷を負ってるわけだな。俺もつぐみちゃんの傷を癒せる男になりてえ」


「つぐみは謎だな。中学からずっと同じ学校だけど」


「つぐみちゃんはなあ! か弱くて気立てが良くてホクホクしてて、俺が守ってやらんとどうにかなっちゃうやさしい女の子だぞ!」


「そうか、ちゃんと守ってやれよ」


「おう!」


 実はああいうヤツが最強だったりしてなと思った陸だが、か弱いつぐみのイメージを崩すのは武道にとって気の毒だと思い口には出さなかった。

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