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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
卒業旅行!

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飯坂温泉8!

 土産屋さんを出るとすっかり日が暮れていて、飯坂の街は暖色の街灯が通りをほがらかで、みやびに演出していた。右斜め向かいのやぐらや共同浴場、正面の旅館、左手の蔵造の建物が織りなす情緒に、心奪われる人はきっと多い。


 さて、今夜私たちがお世話になるのは明治15年、西暦1882年創業、木造で歴史情緒漂うほりえや旅館。土産屋さんの正面にある旅館で、飯坂温泉駅からゆっくり歩いて5分。チェックインを済ませて女将さんに館内設備や注意事項の説明を受けてお部屋に通された。


「お、おおお、なんじゃ、なんじゃこのお部屋は……」


「あ、ごめん、こういうの、苦手だったかな」


 と、恐縮するつぐみちゃん。今回このお部屋を予約してくれたのは我らがエンジェルつぐピヨピヨ。


「いいね、イカした部屋じゃん」


 まどかちゃんはクールに笑ってみせた。やだイケメン、お姉さんアソコがキュンキュンしちゃう。


「それでは、ごゆっくりどうぞ」


 女将さんがにこにこと引いてゆくと、私は改めて部屋の中を見渡した。


 等身大パネルに縮小パネル、タオルにコミック法被はっぴにクッション、抱き枕。


 ここは、美少女パラダイスや。ふくしま美少女ルーム!!


 土産屋さんもすごかったけどここもすごい。というかお部屋まるごと美少女! 


「男子もこういうお部屋なの?」と私が問うと「ううん、こういうお部屋は一室しかないの」と、つぐピヨが答えた。。


「そうなんだ、じゃあ私たちはビップルームだ! わはははは! お、おこたがあるぞい!」


 温暖な茅ヶ崎ではなかなか縁のない炬燵こたつ。陸の家にはあるけどほとんどの家にはない、憧れの魔性空間。


 テレビを点けず、静かなお部屋でおこたに入って突っ伏していると、コンコンと戸を叩く音がした。


 私が「はーい」と返事をすると、するすると引き戸が開いた。女将さんが料理を運んできてくれたみたい。いいですなあ、旅館の夕食。


 ぐつぐつ煮えるしゃぶしゃぶのお肉、生ハムとかき、お刺身、煮魚、茶碗蒸しとお米。日本食ですなあ。


「いっただっきまーす!」


 まどかちゃんとつぐみちゃんも「いただきます」を言って、沸き立つ湯にお肉をしゃぶしゃぶし始めた。私もいただく。


 はふー、はふー、息で軽く冷まして頬張ると、ポン酢の酸味がお肉の旨味を引き立てて、口いっぱいに広がる。


「うまい! うまい! うまい!」


 頬張るごとに「うまい!」を連呼。いやあ、贅沢ですなあ! うまい! うまい!


「沙希、死ぬなよ」


 まどかちゃんが「うまい!」を連呼する私を心配している。


「ん? どして? 喉に詰まらせるとか?」


 もしや「うまい!」を連呼すると死亡フラグが立つのかな? まさかこれが最後の晩餐ばんさん!? 旅館のお料理は神様がくれた最後の供物くもつ!? さっき愛宕あたご神社にお参りしたのにご加護は受けられないのかフルーツの香りがする夢のような女子白浜沙希。


「ううん、なんでもない。鬼に殺されると思っただけ」


「鬼!?」


 そんな伝説でもあるの!?


「ふふふ」


 つぐみちゃんが箸でお肉を掴んだままクスクスしている。守りたいこの笑顔。


 コンコン。また扉を叩く音がしたので、「はい」と返事をした。女将さんがデザートでも持ってきてくれたのかな。


 と思っていたら、現れたのはさっき土産屋さんでハイボールをこぼしていたおじさんだった。


 え、どうしてここにいるの?

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[一言] ハイボールをこぼしていたおじさん…何者なんだ?(すっとぼけ)
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