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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
卒業旅行!

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卒業旅行!

『やまびこ43号ご利用いただきありがとうございましたー。福島~ふくしまでーす』


 11月初旬、3連休を利用して私たち6人は茅ヶ崎を飛び出して卒業旅行に出た。東北新幹線やまびこ号を降りてホームに降り立つと、駅員さんの渋い声が耳に入ってきた。


「わあ、空気が澄んでる」


 つぐみちゃんが目を閉じて、鼻で深呼吸をした。


 ホームから見える駅の外は中層ビルがいくつかあって高原の緑の景色みたいな感じではないけど、茅ヶ崎や東京駅と比べると空気がひんやりしていて、普段湘南から出ない私はずいぶん遠くに来た感じがしている。


「やって来ました福島あ! やっほーい!」


 福島県。東北地方の南端に位置する県で、茅ヶ崎からの所要時間は東海道線と東北新幹線を乗り継いで3時間弱。そこそこ遠くてそこそこ近い、旅情を感じられる適度な距離。


 出口の階段に向かって歩いている途中、私たちが乗ってきた赤い新幹線と、後ろにくっついている緑の新幹線が長い顔を向かい合わせて連結している箇所に差しかかった。


「お、これは連結部ですな。この新幹線は鼻が長いぱおん!」


 この新幹線は、というのは、中学の修学旅行で京都きょうとに行ったときに乗った東海道新幹線の鼻はここまで長くなかった気がするから。この新幹線は1両の半分くらいが鼻。


 私たちだけではなく、知らぬ存ぜぬおじさんおばさん親子連れも、連結部分をまじまじと見ている。


 そんな中、自由電子くんがおもむろにスマホを取り出して連結部分を撮影した。私もまどかちゃんもつぐみちゃんも陸も武道も釣られて撮影。普通の電車の連結部分はそんなに気にならないのに、新幹線だと気になるのはなんでだろうね。


 そんなことをしている間に発車メロディーが流れ始めた。高らかに響き渡る、聞き覚えのあるメロディー。


「この音楽って、甲子園のだよね?」


「そうだぞ!」


 私の問いに武道が威勢良く答えると、メロディーに合わせて拳を左右に大きく振り、歌詞を高らかに歌い始めた。


「武道凄い声! メロディーのボリュームに負けてない!」


「ははっ、ほんとすげえ声だな」


 苦笑しながら陸も心の声を漏らした。


「この曲、なんていうタイトルだっけ」


「『栄冠は君に輝く』ですね」


「栄冠は君に輝く! さすが自由電子くん! 物知り!」


「いやはや、どうも」


 新幹線改札口を出て左側の長い通路を進み、案内に従ってエレベーターで下りると、今回の目的地に行く電車の乗り場に出た。階段もエスカレーターもなくエレベーターだけとは珍しい。


 切符を買うと電車はすぐに来て、すぐに折り返し発車した。山吹色の長椅子が配置された2両編成の電車はちょこちょこと駅に停まり、住宅地をぼちぼち進んでゆく。電車の窓にはウサギのキャラクターのステッカーが貼ってある。


 福島駅を出て25分、まもなく今回の目的地に到着!

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