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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
サザンビーチちがさき

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ほったらかし産業

 まみちゃんが救助されてからしばらく、初対面の陸と挨拶を交わすなどして時間が過ぎていった。


 わんさかいた海水浴客はビーチから徐々に引き上げ、それに比例して陽が傾いてゆく。地球は回っている。私たちもそろそろ帰ろうか。まどかちゃんから借りたビーチベッドとパラソルを畳んで持ち帰る。


 水着のまま街を歩くのはさすがの茅ヶ崎でもなんだか恥ずかしいから、海水浴場の隅にある有料シャワーを浴びてジャージに着替えた。往路は水着を下着替わりにしてたけど、復路はノーパンノーブラ。準備が悪いね私。まどかちゃんとつぐみちゃんはどうなんだろう。


 野郎共は海パンのまま。武道はアロハシャツ、自由電子くんは白いアウターを羽織っている。なんだかちょっと恥ずかしそう。陸は上半身裸のまま。お家、ラチエン通りのすぐ脇で鉄砲道より海側だもんね、ギリギリOKか。


「いやあ、ほんときょうは助かった! ありがとう武道! お前はいいやつだ!」


「お、おう、そりゃどうも」


「それと陸くん、沙希をテキトーによろしく」


「うっす」


「テキトー? 毎日フルーツを贈与するのが適当な扱いだよ」


「ムリだ。八百屋にでもなってくれ」


「おお、そりゃいいね、将来の参考にしよう」


 帰宅してすぐにシャワーを浴びた。きょう一日の穢れを祓うみそぎ。楽しかった思い出は、洗い流さず胸にしまっておく。


 1時間半ぶりに下着を付けて、下半身はパンツ、上はTシャツを着て、一人の部屋で冷やし中華をつくって食べて部屋にこもった。賑やかだった昼から一転、静かな夜だ。夏は夜でもセミが鳴いてるけど、冷房をかけているから窓を閉めている。故にミンミンもジリジリも聞こえない。


 自室のベッドでゴロゴロして、難産な演劇の脚本をちょろちょろ書いて、白色が照らす天井を仰ぐ。


「ああ、私、なんもしてないなあ」


 夏休みの最後まで宿題をほったらかすほったらかし産業な私は、何においてもほったらかしだ。演劇も卒業ソングも、何もできてない。


 やっべーな私、楽しそうだから引き受けたこともできてない。このままじゃ腐った果実になる。このままじゃアカン、なんとかしなきゃ。


 と意気込んでいたら夏休み残り1週間。


 あれれー? おかしいな、私、きのう海行かなかったっけ?


 待て待てマジ夏休み、私マジで何してた?


 陸上やって終わりじゃなかった?


 とりあえず明日は善行ぜんぎょうで記録会だ。これで部活はほぼ引退。残すはまどかちゃんたち長距離ランナーが参加する市内の小さな駅伝大会だけ。


 長距離走といえば自転車事故の怪我で復帰できない翔馬、出たかっただろうな。陸はちゃんと走りで決着をつけたがってたけど、世の中こういうこともある。自転車で危険運転しての事故だから仕方ない。


 ちょっと宿題やって、きょうは寝よう。

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