自家製麺屋登夢道、新メニュー!
「うん、さっぱりうまい! 今年も冷やしらーめんの季節が来た!」
「淡々味も適度な辛さで食べやすい」
「チャーシューごはんも美味しいよ」
日曜日の14時過ぎ、午前中に私の部屋で演劇の案を出し合って空腹になった私、まどかちゃん、つぐみちゃんの3人で登夢道に来ていた。小出県道の赤羽根交差点南東側、湘南バイパス下にある行きつけのラーメン屋さん。
最近、登夢道はレイアウト変更と夏メニュー、チャーシューごはんのリニューアルをした。
レイアウトは以前2つあった小上がりの座敷席を1つに、カウンター席は座席数を減らし、一人分のスペース毎にアクリル板を取りつけ、ゆったり食事ができるようになった。
おかげで混雑した空間が苦手な自由電子くんが一人でも安心して利用できるようになり、最近は足しげく通うようになったとまどかちゃんが言っていた。
「つぐみちゃん、チャーシューごはんだけで足りる?」
「うーん、ギョーザも頼もうかな……」
言ってつぐみちゃんは席を立ち、券売機と向き合った。
登夢道ではグラスボウルに入った冷やしらーめんが夏限定で提供される。私はさっぱりしたスープに細麺、チャーシュー、メンマ、ネギ、氷の入ったしょうゆ味、まどかちゃんは淡々味。女子でもつるつると一気に平らげられる食べやすさと量。平均的な女子ならこれでもお腹は満たされるかもしれないけれど、きょうは演劇について考えてエネルギーを使ったので、私とまどかちゃんはチャーシューごはんのしょうゆ味も注文した。
つぐみちゃんはチャーシューごはんの塩味だけを注文。通常のラーメン中盛もしくは小盛と組み合わせてちょうど良いミニサイズなので、さすがにお腹を満たせずギョーザを追加注文した。
私とまどかちゃんは冷やしらーめんを半分食べたところでチャーシューごはんに手をつけた。炙ったチャーシューの上に斜めスライスしたネギと糸唐辛子が載っていて、おしゃれな仕上がりになっている。
「うーんまい、旨味の染みたコマ切れお肉にシャキシャキネギとちょびっとかかったタレにほのかな唐辛子……」
「ほんとだ、上品路線な味」
「登夢道さんさ、野菜たっぷりのもやしらーめんもけっこうやさしい味で、女子でも食べやすいんだよね」
「パッと見ガッツリしたイメージはあるけど意外に女子ウケするメニュー多いよね」
「ふふ、沙希ちゃん目を閉じてほっぺ垂らしてすごく幸せそう」
注文を済ませて戻ってきたつぐみちゃんが言いながら靴を脱いで座敷に上がってきた。
「んだんだ。美味しいものを食べてるときって、すごく幸せだよね~。生きてるって感じ」
「ほんと、沙希は幸せそうに食べるよね」
「『食』という字はね、屋根の下に『良』でしょ。屋根の下っていうのは安心できる場所。屋根の下でする良いことが『食事』なんですよ」
「沙希、国語の先生みたい」
「うん、私もそう思った。沙希ちゃん、文学的な才能あるかも。現国の先生に演劇の脚本を頼まれるくらいなんだから」
「へへへー、そうかなぁ。でもほんと、ここのお店のメニューはこれまで食べたの全部美味しい。まだ食べてないのもあるから近いうちに制覇したい」
「そういえば私も全メニューは食べてないな。『お気に』ができるとそれに偏ったりするし」
「うん、私も心の中で『お気に登録』しちゃうとそこに偏っちゃう。特製らーめん塩のあっさりが好きだけど、きょうは沙希ちゃんのお家でおやつを食べたからチャーシューごはんにしたら、すごく美味しかった」
「お待たせしましたギョーザ3皿でーす」
店員のお姉さんが黒い長方形の皿に載ったアツアツじゅわじゅわのギョーザを運んできた。
「ありがとうございます。うーん、美味しそう!」
いつもラーメンだけでお腹おっぱいになっちゃうつぐみちゃん。ギョーザはあまり食べないからか、目をキラキラ輝かせている。
「沙希ちゃんとまどかちゃんもどうぞ」
「つぐみちゃん! みんなで均等に食べられるように頼んでくれたなんてつぐみちゃんマジ天使」!
「うーんまいっ! アツアツじゅわじゅわ皮パリッ!」
「沙希、食レポの才能もありそうだね」
「さすがまどかちゃん、わかってらっしゃる。ハッピーの源は食だよ食! オールウェイズハッピーな登夢道キャンペーンガール白浜沙希!」
「勝手に名乗るな」
さてさて、美味しいものをたっぷり食べて、演劇とまどかちゃんの卒業ソングづくり頑張っちゃうぞー!!
お読みいただき誠にありがとうございます。
今回ご紹介させていただきました『自家製麺屋登夢道』様は神奈川県のコロナ感染拡大防止公式協力店で、テイクアウトも実施しております。




