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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
以降完全新作エピソード

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疲れたら茅ヶ崎を感じて

「それで、ジャスティスワールドの神って何?」


「頼まれたんだよ、近所のオヤジに。お前国語の先生なんだろ? だったら演劇の脚本書いてくれって」


「演劇? マー◯ルみたいなのやるつもり?」


 スパイダー○ンとか。


「そんな大層なモンじゃないさ。っていうか、なんも考えてない。だから沙希に投げたんだ」


「おい教師」


「教師だからって担当教科が得意とは限らない。しかも脚本なんて専門外だ。更に言えば国語より波乗りのほうが得意だ」


「サーフィンのインストラクターになったほうがいいんじゃない?」


「上には上がいる。教養がなくても心根こころねがあればなんとかなるのが底辺クラスの教員だ」


「キサマ言い切ったな、生徒の目の前で」


「ああ言い切ったさ。だが沙希、お前は国語だけはそこそこできる。私より語彙力がある。だから今回の脚本は適材適所だ」


「ふむふむ、確かに私は知性と才能の塊だからね。で、〆切と報酬は?」


「〆切は決まってない。なんてったって役者も舞台も押さえてない。役者が揃い次第、文化会館の大ホールを借りる気らしい。報酬は、観客の笑顔だ」


「やりがい搾取ダメゼッタイ。ゲンダマでもブツでもいいから見合ったものを払え。それに私、受験生なんだけど」


「勉強すんのか?」


「しない」


 いや、しないとまずいんだけど、いまはやる気が起きない。


「だろ? まあそもそも、今年度中に役者が揃うとも限らんし」


「計画性ないな」


「いいじゃねぇか。お前らが高校を卒業しても会う機会ができるだろ?」


「そりゃまぁ、確かに」


 私とまどかちゃんは偏差値が雲泥の差だから、卒業したら会う機会がうんと減るかも。


 進路どうしようかな、大学、専門学校、就職の選択肢もある。未来は無限大。


「ということで、よろしく頼んだわ」


 言ってまみちゃんは、私の肩をポンと叩いて立ち上がり、小さなからだで重たい鉄扉を開くと校舎の中へ消えていった。


 屋上に残された私は、空を仰いで海を見つめた。少し霞んだ初夏の、ほのかなきらめき。湿気を帯びた大気のおかげでうっすらとしか見えない富士山の雪は、日に日に少なくなっている。


 この景色も、あと10ヶ月くらいで見納めかぁ。


 小、中、高。9年間にわたって見て来た屋上からの景色。それを見られなくなるのはちょっと、いや、けっこう侘しい。


 駅ビルからも富士山と海は見えるけど、高いビルがいくつか建っているし海から数キロ離れているから、ここほどの絶景とは言えない(それでもかなり絶景で、特に晴れた冬の夕方は一見の価値アリだけど)。



 茅ヶ崎ならではの、のんびりした、開放的な景色……。


 茅ヶ崎、ちがさき……。


 うーん、そうだなぁ、藤沢とか鎌倉まではいっぱい人が来るけど、その隣の茅ヶ崎にはあまり人が来ない。ごった返さない知る人ぞ知る街だからいいっていうのもあるけど、日常に疲れた人とか、そういう弱った人には特に観光スポットとかを義務的に見て回るんじゃなくて、街を歩いているだけでも落ち着くスポットがある茅ヶ崎の街は、けっこうおすすめなんだよなぁ。


 特にこの、乱れ切って疲れる世の中には。


 そうだ、そしたらこういうのはどうだろう、演劇のストーリー。


 日常に疲れた人が、うっかり列車(普通の電車よりは汽車なんかのほうがいいかも)を乗り過ごして、茅ヶ崎に来てしまった。


 そこで茅ヶ崎の誰かとめぐり逢ったり、ひとりで街を歩いたりする……。


 そうこうしているうちになんだかんだでジャスティスヒーローになっている。


 うん、めちゃくちゃだ、まだ構想段階だもんね。


 こんな感じ(?)で、じっくりコトコト煮詰めていきますか。

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