謎の手紙2(完全新作エピソード)
「いたずらじゃない?」
部活が始まる前の溜まり場で三人、円になって座り込んでいる。まどかちゃんと自由電子くんに手紙を見せたら、まどかちゃんがそう言った。
「いやいや、なんのいたずらなのさ。大したインパクトないし、ただただ意味がわからん」
「あの、もしかしたらこれ、脚本の執筆依頼かも」
「「脚本?」」
自由電子くんの推理に私とまどかちゃんの声が見事に被った。
「はい。正義の世界の神になる。それはすなわち、物語を連ねる筆者になって、正義が繁栄する世界を描いてみないかと」
「なるほど、言われてみれば確かに」
と、まどかちゃん。私も納得といえば、まぁ納得。
「ん?」
「どうした?」
「2階の美術室から視線を感じて見上げたけど、誰もいない」
溜まり場は校舎の東端に面していて、1階は理科室、2階は美術室、最上3階は第2音楽室になっている。
「沙希のことを好きな誰かが見てたのかもね」
「いやいや、手紙の差出人でしょ」
「へぇ、珍しく冷静じゃん」
「そりゃね、この状況じゃ」
部員がぞろぞろ集まってきた。顧問の仙田公一、略してセンコーも登場。
「きょうのメニューは江ノ島往復ジョグプラス、島内一周」
センコーはしかめっ面でそれだけ告げた。
マジか。お前マジ殺す気か。この短距離型の沙希ちゃんを。
「おっしゃ気合い入れてやっぞ!」
相変わらず翔馬のテンションが心底ウザい。
「おー」
「お」
「あえ~」
対して他の部員も相変わらずテンションが低い。
はぁ、行きますか、江ノ島。




