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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
大学1年の日常2

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弟と過ごす朝

「はいおはようさんこんなときだけ起きてるヒモ野郎」


 ミニトマトの入ったビニル袋と玄関のドアノブに掛けられていた『悟』と油性マジックででっかく書かれたコンビニのポリ袋を左手に持って帰宅すると、弟の悟がリビングのソファに脚を開いて座り、スマホで動画サイトを見ながらくつろいでいた。コイツ、普段は昼ころまで起きないくせに、両親がいないと早起きしてくる。


「ヒモじゃねえよ」


「そっか、それよりはいこれ、悟宛にア◯ルビーズ届いてたよ」


 私はピンクの玩具が入ったポリ袋を悟に差し出した。素面で。


「は!? え、ちょっ、は!? え、え……」


「こういう趣味に目覚めても否定しない、人のものを捨てない、いつもにこにこ朗らか、そんな姉ちゃんなかなかいないぞ」


「いやお前けっこう病むだろ。ていうかこういう趣味に目覚めてねえよ! ぜってえ誰かの嫌がらせだ。先輩かタメか先公か元カノか、マジで人間不信になるわ」


「そうさ〜、信じられるのは〜、いつも〜、自分だけ〜♪」


「変な唄つくるな」


「使うときはちゃんと腸内洗浄するんだぞ〜」


「使わねえよいますぐメ◯カリ登録するわ!」


「メヒカリ? いわきのメヒカリせんべい美味しいよね」


「ちげえよメル◯リだよ! いいからもうどっか行ってくれ! クッソせっかく心穏やかな朝だと思ったら急に忙しくなったし病んできたわ」


「犯人探し?」


「そう」


「犯人を特定するか、全員を疑うか、全員犯人か。でもア◯ルビーズが泣いてるぞ。愉しんでもらうために生まれてきたのに」


「じゃあお前が使えよ」


「いやちょっとそっちの趣味はないかな。ていうか私、そういう道具使ったことないし」


「大人の玩具?」


「言うな」


「とりあえず、ビーズは里親を募集しとく」


「うむうむ、それで、元カノってことはつまり、別れたのかい?」


「それこそ言うなよ。女ってなんでこう、人間不信にさせるんだ……」


 朝から俯く悟。私はモテる弟の失恋に興味津々だったけど、聞けばきのう別れたらしい。寝取られ現場を目撃して。


 ああ、可哀想なこと聞いちゃったなぁ。


「友だちとか先輩に相談した?」


「した。まあそういうこともあるって、って、肩叩かれた」


「そっか、まあなんだ、ビーズはきっと悟を心配した誰かのお心遣いや。お昼は香川屋のメンチでも買ってくるか。土曜は特売だから、たくさん買ってきてメンチ切ろう」

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