新曲『バスのりおくれ』
藤沢駅北口から続くストリートにあるライブハウスに着いて音合わせ。私は初めて来たけど、つぐピヨは同じビル内で開かれた小説家のサイン会で来たらしい。
今回できた曲はまどかちゃんが奏でる8弦ベースの重厚なサウンドで現実に打ちひしがれる人たちへエールを送るバリバリのパンク。作詞、作曲は私が担当。なんとなく『MAMIKO』に近い仕上がりになった。
◇◇◇
『バス乗り遅れ』
・作詞、作曲∶白浜沙希
バスバスバスに乗り遅れた
6時半のバス行っちゃった
満員ぎゅうぎゅうぴかぴかの
赤いおニューなカラーリング
ギラギラ朝陽を浴びながら
現実満載ひた走る
時間に余裕を持ってご利用くださーい
こちとら睡眠3時間
帰ってきたのテッペン過ぎ
黒光りしたクソ職場
定時で終わると飲み会あり
お茶代旅行積み立て飲み会代
ただでさえ安い給料が
想定外に引かれてゆく
バスバスバスに乗り遅れた
6時半のバス行っちゃった
満員ぎゅうぎゅうぴかぴかの
赤いおニューなカラーリング
ギラギラ朝陽を浴びながら
現実満載ひた走る
きょうはもう行きたくない
不正にまみれたクソ職場
なんでなんで自分が悪者?
黒いカラスが白になる
色素の抜けた伽藍洞
バスバスバスに乗り遅れた
6時半のバス行っちゃった
閑散スカスカボロボロの
錆汁滴る古いバス
きょうも朝陽は眩しいが
現実逃避と未来を視る
マイノリティー思考は善悪問わず村八分でございまーす
きょうからあそこは行かないよ
不正にまみれたクソ職場
自分の道を切り拓こう
まずは雑草刈り取って
さっきのバスが戻ってきた
閑散スカスカボロボロの
反対方面向かうバス
勇み足で乗ってみたら
人生少しマシになった
なんとかきょうも生きられそうだ
◇◇◇
バスバスバスに乗り遅れたー、6時半のバス行〜っちゃあたぁ〜。
先日、登夢道の行列に並んでいるときに浮かんだ詩曲。私の場合詩と曲はだいたい同時に浮かぶ。
空腹に耐えながら並んでいたときに通りかかったニューカラーのバスと古いバス。詩ではボロボロと書いたけど、実物は新車に劣らず綺麗に磨き上げられていた。
「ふぅ、歌い疲れた」
「2分しかやってないだろ」
「2分に魂をぶち込んだのだよまどかちゃん」
「そう、まあいっか、みんなだいたい音揃ってるけど、せっかく場所借りてるんだからあと何回か練習しようよ」
「それもそうですな」
途中休憩を挟んだり別の曲を演奏していたら、スタジオの枠を確保していた3時間が刹那に過ぎ、私たちは少し静かになった夜の藤沢の街へ放たれた。




