表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
大学1年の日常2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

214/277

藤沢駅の発車メロディー

 茅ケ崎駅5番線の辻堂寄り、13号車乗車位置で、私は自由電子くんとふたりで電車を待っている。特急ホームと相模線ホームを隔てた向こう側は、ビルの隙間に夕焼け空が広がっている。平塚寄りの端っこからも夕焼けが見える。いずれも混雑する階段、エスカレーター付近に留まる人には見えない、空いているところまで移動した人へのご褒美だ。


 これから私たちは、藤沢駅にほど近いスタジオでバンドの練習。出来かけの曲たちを仕上げていくぞい。


 まもなく電車が到着。すぐに『希望の轍(イントロバージョン)』が流れ、電車のドアが閉まった。席はいくつか空いているけれど、ギターケースを背負う私はドアの脇に立ち、トートバッグ一つの自由電子くんも座らず私の正面、進行方向反対を向くドア脇に立った。


 茅ケ崎駅の隣、辻堂駅からは大学帰りのまどかちゃん、つぐピヨ、武道たけみちが乗り合わせたけど、周囲に配慮して会話は挨拶程度にした。


 ガヤガヤした藤沢駅で電車を降り、人混みに紛れて改札口へ続く階段へ向かう。明るい曲調の発車メロディーが流れ、電車はドアを閉めて走り出した。


「あれ? 藤沢駅の音楽、変わった?」


 まどかちゃんがつぐピヨに訊いた。つぐピヨは藤沢駅から江ノ電に乗り換えて鵠沼くげぬまにある高校に通っていた。


 言われてみれば、前は微睡まどろむような感じの曲だったような。


「ほんとだ。久しぶりに来たから知らなかった」


 どうやらつぐピヨも知らなかった様子。


「藤沢市歌ですね」


 安定の、自由電子くんは知っている。


「ぬん? 歯医者さんの曲?」


「鹿でも歯科でもなくて、藤沢市の歌な」


 私のボケに付き合ってくれるまどかちゃんの優しさ。階段を上りつつ、会話は続く。


「ああ、市の歌か。茅ヶ崎にもあるね!」


「そうなの?」


 おや、まどかちゃんは知らないみたい。


「んふふふー、んーんんー、んんんーんんー♪」


 詩を歌ったらコンプラ違反だから鼻唄にしておいた。


 自由電子はたぶん知ってるけどポーカーフェイス。つぐピヨは「へぇ〜」って感じ。


 改札口を抜けて北口のペデストリアンデッキへ。藤沢なのに池袋の唄が流れる家電量販店を横目に、私たちはスタジオへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=50222365&si

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ