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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
東京さんぽ

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スカイツリー

「ひゃーあっ、ほい! やって来ました東京スカイツリー! 満開の八重桜と青空の下から眺める電波塔は格別ですなあ!」


 一本の八重桜、一本の電波塔、視界いっぱいの少し霞んだ空。


 待乳山聖天まつちやましょうでんから数十分歩いて東京スカイツリーの下に着いた。道はわからなかったがとにかく塔へ向かって歩いた。途中、つぐみと巡が歩き疲れて世界滅亡目前みたいな表情をしたから、ローソンストア100に寄ってイオンサプライドリンクと水を買って飲んだ。道中は東京タワーや横浜ランドマークタワー周辺のようなビル群ではなく、古い住宅や雑居ビルが多かった。


「それではさっそく、中に入ってまいりましょう!」


 スカイツリーに入って、まずはフードコートでたこ焼きとクリームソーダで一休み。


「あのお、スタバはいつ行くのでしょうか」


 ネギたこ焼きを頬張ってクリームソーダを吸った巡がなんの脈絡もなく恐る恐る言った。


「いつ、行く?」


 ていうか、スタバに行く予定あったっけ。


「いま、でしょ……?」


 スタバに行く前提で話を振っているのが理解できず、私と沙希は言葉に詰まった。つぐみは無表情で様子を窺っている。


「え?」


 歯切れの悪い私たちを見た巡の頭上にハテナ。


「んん?」


 私と沙希も頭上にハテナ。会話が噛み合わない。


「スタバに行きたいの?」


 私が訊いた。


「行きたいっていうか、遠出するときはどこかで寄るでしょ、スタバ」


 理解が追いつかないのか不必要に瞬きを繰り返すつぐみ。


 これは巡と、その他3名の間には常識に乖離があるやつだ。


「あ、ああ! わかったそういうこと!」


 沙希は何か合点が行ったようだ。


「あれだよ、学校でさ、ほかの地方の子たちが旅程立ててるのを何回か近くで見てたんだけど、だいたい途中にスタバが入ってるんだよね」


「ああ、なるほど……?」


「え、行かないの? 茅ヶ崎の人たちは、スタバ」


「行くけど、旅の途中というか普段使いだね。茅ケ崎駅前にもあるし。でもまあ、出先では絶対にスタバ行かないとかそういうのはないし、行こうか、スタバ」


 真顔から笑顔へ、沙希の表情が徐々に変化した。


 そうか、家の近所にスタバがない地域には、道中にあれば通例的に立ち寄る人もいるのか。


 異文化を知ったところで、たこ焼き&クリームソーダの後、スカイツリー内にあるスタバに寄った。


 スタバというとハイカロリーメニューを連想する人も多いが、ドリップコーヒーなどのローカロリーメニューもある。ハイカロリーメニューは巡だけが注文した。


 その後、アニメ関連の店、梅、刃物、特撮など多様な『日本』が並ぶストリートを見て回ったり、気に入ったものがあれば購入した。


 そしていよいよ、展望室へ。


 時速36キロほどで展望室へ上がってゆく満員のエレベーター。扉の窓から複雑に入り組まれた鉄柱が見え疾走感。この景色、いつしか見た覚えがある。


 エレベーターは間もなく展望台に到着した。


「わっほーい! さあさあやってきました日本の最高峰!」


「それは富士山」


「むむむむむ……。じゃあ2番目は?」


北岳きただけ


「むぅー、マウンテンだけにマウント取ろうと思ったら知ってたか博識め。とりあえず360度の眺望を楽しむぞい!」

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