表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
東京さんぽ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/277

コツメカワウソは心の中に

「わ、ツキノワグマだ。動物園で展示しなくてもそのへんで見ちゃうヤツじゃん……」


 元々は野生のツキノワグマが保護されたんじゃないかな?


 それはさておき、な、なんと、なんと愚かなことに、秋葉原から2駅も歩いて上野うえの動物園に来ました。動物園に入ってからも熱帯生物とかパンダさんとかネコさんとかいろんな生きものを見たのでけっこう歩いています。3年間陸上競技をやっていたとはいえ、脚の笑いが止まりません。イヤなことをされると防衛反応で反射的に引き攣った笑顔になるみたいな、そんな感じです。


 しかし、私より体力がなさそうな巡ちゃんは沙希ちゃんといっしょにツキノワグマに見下ろされてリアクションを取っているではありませんか。


 ああ、なんということでしょう、田舎住まいで徒歩移動なんかほとんどしない半引きこもりのオタクに、私は負けました。敗者の私はハイテンションな二人の背とその先のツキノワグマを見ながら、ただただ耐えるしかありません。


「つぐみ、そっちにコツメカワウソがいるから見て和むか?」


「うん、そうする、ありがとうまどかちゃん」


 ツキノワグマのすぐ近くにコツメカワウソがいる。はぁ〜、円らな瞳、小さくて可愛い。


 私が癒されている一方で、沙希ちゃんと巡ちゃんのツキノワグマ談義は続きます。


「そのへんで見ちゃう? というと巡殿、キミの出身地である猪苗代ではそのへんにツキノワグマがいるということかい?」


「最近ね、ふつうに街で目撃情報があるんだよ」


「というとあれかい? 私たちが歩いた畦道あぜみちとか湖畔こはんの辺りにも、彼らはいるということかい?」


 そう、まだ巡ちゃんと知り合う前、私たちは福島県猪苗代町の畦道や湖畔を歩いた。山は遠くにあるけれど、どこに潜んでいるのかな。


「そうだね、だからお墓にお供えものをしないようにって言われてる」


「お墓、あったよお墓、私たちが歩いたところにも。あそこにもクマが出るのかい? シカじゃないのかい? トラでもないのかい?」


「トラなんか出たらもっとヤバいよ、下手したらクマもやられちゃうよ」


 沙希ちゃんは北海道のテレビ局が制作した昔のバラエティー番組のネタを真似ていると思うけれど、巡ちゃんは知らないのか本気で受け止めている。


 コツメカワウソに癒され、動物園を一通り見たところで上野うえの駅から地下鉄銀座線に乗り、浅草あさくさに着いた。


「あーさくさー!」


 沙希ちゃん、どこに行ってもバンザイするね。


 駅を出てすぐに雷門があり、ワーワーガーガー騒がしい外国人団体が集合写真撮影の順番待ちをしている脇に変な日本人。


「へいへいフォーリンピーポー、ウェアユーフロム? アイムフロムジャパン! オーチャイナ? ヤッパリネー!」


 へいへいフォーリンピーポーとか、やっぱりねっていうのは失礼なのかどうなのか。


 英語に弱い国際派が外国人に絡み、会話が終わったところで私たちは雷門をくぐった。雷門での写真は順番待ちなので、私たちは並ばずなるべく映えるよう角度を工夫して個別に撮った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=50222365&si

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ