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東海道線とご当地ソング

「はいー、皆さん集まりましたね! それじゃ気まぐれ東京観光の旅、スタート!」


 平日の朝10時、私、まどかちゃん、つぐピヨ、巡ちゃんの四人は茅ケ崎駅コンコースに集合。ガラス張りの向こうにサーフボードが飾ってあるお店の前で、私は意気揚々と声を上げた。


 交通費、雑費を含み余裕を見てSuica に5千円チャージして改札口を通過。次の電車は15両編成なので、比較的空いている辻堂寄りの乗車口へ向かう。短い10両編成だと階段近くが先頭車両になり、ホームに下りられないほど混雑したり、下りられても黄色い線の内側に収まりきらず危険。更に15両編成だと思い込んでいた人がそこへなだれ込んでくるので、混雑と事故を避けるために平塚方面の2号車辺りに乗る。その辺りは座れたり座れなかったり程度の混雑で済む。


 この時間帯でもグリーン車を除き階段、エスカレーター近くの車両は恒常的に満員なので要注意。『ラッシュアワー過ぎたし空いてるでしょ』なんてことはない。


 滑り込んできた電車に乗り、私たちはロングシート車両の13号車で四人それぞれバラバラな位置に座った。14、15号車には四人ボックスがあるけれど、四人まとめて着席できる確率は低い。誰かがハブになるよりは最初からバラけたほうが良いと判断した心配りあふれる私は敢えて皆を13号車に誘導した。


 これについては後に自由電子くんから次の電車は隣の平塚始発だと知らされ、それなら四人まとめてボックス席に座れた可能性ありかもと思った。


『希望の轍』のイントロが流れ、続いて日本語と英語で『ドアが閉まります』の放送が流れると、ティトーンティトーンティトーンガチャンッ! とドアが閉まった。


 右にエナメルバッグを床に置いて脚を広げるクソオス高校生のクソガキ、左にヘッドフォン音漏れ脚組みゴスロリのクソメスというクソな席に座ってしまった。車窓はちょうど、便器工場前の緩やかなカーブ。秋上あきがみ踏切と異人館いじんかん踏切の間。この工場は小学生のときに社会科見学で訪れた。高度な技術とオートメーションの結晶だった。茅ヶ崎の経済を長きに亘り支える貴重な存在。


 イラつく私は気を紛らわすため、ショルダーポシェットからワイヤレスイヤホンを取り出し耳に装着、スマホで音楽アプリを立ち上げサザンオールスターズの『希望の話題』を選曲した。茅ケ崎駅からの旅立ちはやっぱりこの曲。以降は曲がランダムに流れるシャッフル再生。


 辻堂から藤沢間にある湘南モールフィル前を疾走しているころに曲が終わった。次は何がかかるかな?


 流れてきたのはthe peggies の『君のせい』だった。茅ヶ崎海岸や江ノ電などでミュージックビデオを撮影した曲。私は特に決まったアーティストを推してはいないけれど、the peggies は好きな曲がちらほらある。夏の昼間、昔ながらのラーメン屋さんで流れるラジオに映える曲が多い。


 車内を見回すと、まどかちゃんはワイヤー付きイヤホン装着、つぐピヨは文庫本を読書、巡ちゃんはヘッドフォン装着。


 藤沢駅を出て立っている人が多くなり、引地川ひきじがわを渡るころにサザンオールスターズの『SEASIDE WOMAN BLUES』が流れ始めた。


 こんな感じで横浜、川崎と図らずも走行中の場所にリンクした音楽を聴きながら都内を目指す。

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