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面倒だな、人生ってヤツは

 アニメ映画は70分で終わった。最近はこのくらいの尺の作品が増えているらしい。


 映画の内容はざっくり言うと軋轢あつれきでバラバラになった家族が再びやり直す話。


 私には無理だ。いまの家族では。


 けど、以前から心のどこかではそんな家族に憧れたりもしている。将来、もし自分が新たな家族を築いたら、子に、旦那に寄り添える母になれるだろうか。子ができなくても、旦那に寄り添えるだろうか。


 人間とは、心の拠り所を求める生物だ。


 ショッピングモールの外に出るとすっかり日は暮れていて、街灯りと山間部の闇がくっきりコントラストしている辻堂の空は星もまばらな瑠璃色だった。


 通勤通学その他通行人、何かの団体の勧誘、許可を得ているか不明なストリートパフォーマー、茅ケ崎駅前より混沌とした辻堂駅のコンコースを抜け南口バス乗り場で、つぐみとともに辻堂13系統を待つ。


 しばらく待ってやって来た神奈中かなちゅうバスは車体の前後両サイドから赤、オレンジ、センターがベージュの新しいカラーリングだった。


 空いていた進行方向左側、後ろから3番目の座席の窓側につぐみ、タイヤの上で足元が不安定な通路側に私が座った。青い硬めのバケットシートにからだがスッポリ嵌った。ここの座席はほかより高い位置にあり、後ろから蹴られにくい。欲を言えば最高部が良かったが空いていなかった。


 車内での会話は迷惑だから、東海岸北五丁目までの15分を黙って揺られ、つぐみは居眠りして私に身を寄せてきた。


 帰りたくないなぁ。


「それじゃあ、また明日ね」


「じゃあね、また明日」


 裏道でつぐみと別れ、現実に戻る。


 家を出たいけどカネがない。更に奨学金を借りているから稼がなきゃいけない。


 面倒だな、人生ってヤツは。

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