新曲『23時59分』
「それではラスト1曲! 『23時59分』」
ジャジャジーン! と沙希ちゃんは高らかにエレキを鳴らし、音が絶えたところで歌い始めた。
「近ごろずっと個人的不景気
先の見えない日々に溜め息
平穏無事に生きていたいな
だけど贅沢したくて堪らん
欲深き己を憂いたり
それでこそニンゲンと讃えたり
価値観はそれぞれあるけど
みんな幸せ求めてる
ああ神様どうして自分は、この世に生まれたのですか?
なんてことを考えたり
何もない日々が幸せと言い聞かせたり
今にも押し潰されそうなのに
自分だけのハッピーデイズ
探し求め彷徨う独り
たった一世紀しかない一生と
今すぐ終わらせたい1day
色んな感情と理論が織り混ざって
一筋の光を手探りしてる
涙を雨粒で誤魔化して
濡れた髪を指でそっと分ける
高砂通りの図書館で
ヒント探して読み漁る
紫陽花が微笑む、昼下がり」
◇◇◇
前奏なし、ハイテンポでリズミカルな曲を笑顔で歌う沙希ちゃん。
伴奏は歌い出しの『近ごろずっと個人的不景気』まではまどかちゃんのベースのみ、次の『先の見えない日々に溜め息、だけど贅沢したくて堪らん』から沙希ちゃんのギターが入り、その次の『欲深き己を憂いたり』からはドラムとキーボードが入った。
自由電子くんのベースはサビの『自分だけのハッピーデイズ』から。
サビのBPMは170くらいのハイテンポ。これがどのくらいのテンポなのかは『BPM170 曲』で検索するとプレイリストへのリンクが表示される。心拍数170を目安にしても良い。
BメロのBPMは140くらい。それ以外は160くらい。
観客たちは「ハイ! ハイ!」などと合いの手を入れたりしているけれど、詩の内容は陽キャな彼女の陰の部分を露わにしている。
私は沙希ちゃんと知り合って日が浅いけど、きっと彼女は普段ネガティブな面を曝け出すような人間ではない。つくづく創作とは、自分を曝け出し、ときに嘘をついて、嘘のつもりが実は深層心理だったり、謎深き世界だと思ったりした。
◇◇◇
『23時59分』
作詞、作曲∶白浜沙希
近ごろずっと個人的不景気
先の見えない日々に溜め息
平穏無事に生きていたいな
だけど贅沢したくて堪らん
欲深き己を憂いたり
それでこそニンゲンと讃えたり
価値観はそれぞれあるけど
みんな幸せ求めてる
ああ神様どうして自分はこの世に生まれたのですか?
なんてことを考えたり
何もない日々が幸せと言い聞かせたり
今にも押し潰されそうなのに
自分だけのハッピーデイズ
探し求め彷徨う独り
たった一世紀しかない一生と
今すぐ終わらせたい1day
色んな感情と理論が織り混ざって
一筋の光を手探りしてる
涙を雨粒で誤魔化して
濡れた髪を指でそっと分ける
高砂通りの図書館で
ヒント探して読み漁る
紫陽花が微笑む昼下がり
上手く行かないことばかりで
痛み知らなそうなアイツがウザくて
平穏無事に生きていたいな
それさえも自分には贅沢なんだな
闇深き己を憂いたり
それでこそ最強と実は知っていたり
境遇はそれぞれあるけど
正負の法則信じて生きてる
もし今夜23時59分にこの旅が終わるとしたら
いちばん好きなところに居たいな
それこそ最高の終着点だ
夜明け前に丘の上で浴びた朝陽を
ついさっきのように思い出す
楽しかったあのときに
もう戻れはしないけど
色んな感情と理論が織り混ざって
一筋の光を手探りしてる
涙を夕焼けに反射させて
悴んだ指先を凛と伸ばす
学校前のボードウォークで
不確かな未来に想い馳せる
夕凪にたそがれるいつもの浜辺で
自分だけのハッピーデイズ
探し求め彷徨う独り
たった一世紀しかない一生と
今すぐ終わらせたい1day
もし今夜23時59分にこの旅が終わるとしたら
いちばん好きなところに居たいな
それこそ最高の終着点だ
いちばん好きなところに居たいな