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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
茅ヶ崎エンターテインメントフェスティバル2
183/273

オレンジ扉

 本番直前、薄暗い舞台袖で円陣を組む私たち『茅ヶ崎ハッピーデイズ』の五人。


「さてさて、いよいよ本番ですな」


 いつも通り平静を保ち皆の緊張を解くクールビューティー、フルーツの香りがする夢のような女子、白浜沙希。


「お、俺、なんだか演劇より緊張してきたぞ。ミスったらどうしよ……」


 巨体をビクビクさせる武道。全員に振動が伝わる。おいおいこれじゃ私が解いた緊張が台無しじゃないか。それとも私の力不足で武道の緊張が解けていない?


「なんだ武道、肝っ玉もちっちゃいのか?」


 弱る武道の心のタマタマを握りニヒルに笑うまどかちゃん。


「‘も’ってなんだまどか」


「◯ンタマ」


「おほほほほ、女の子がキ◯タマなんて言うものじゃありませんわよまどかちゃん」


 けしからん! 私は言葉にしなかったのに!


「沙希は女の子じゃないんだな」


 私の股間を見遣るまどかちゃん。しかし残念もっこりしていない!


「あらいけない、わたくしったらはしたない言葉を、おほほほほ」


 つぐピヨと自由電子くんは黙ってるけど、つぐピヨは唇を震わせ瞳にノイズが走っている。一番危険かもしれない。自由電子くんは虚無に見せかけ脚が少し震えている。


 これは私がしっかりせねばならん。


「それに、さっきの演劇だってなんとかなったんだし、なんとかなる。ミスってもなんとかなる」


 私が歌えればバンド演奏がなくてもなんとかなる!


「おうお前ら、そろそろ出番だ行ってこい!」


 舞台の出入口にあるオレンジ色の鉄扉、通称『オレンジ扉』が豪快に開くと、主催者だが特に何もしていない、ただ偉ぶっているだけの主催者まみちゃんが現れて号令をかけた。


 時間になったら行くっきゃない。


「はいよ~。それじゃ、行きますか」


 私は敢えて脱力気味かつフラットに言った。


「茅ヶ崎からハッピーを振り撒こう! We are 茅ヶ崎ハッピーデイズ!」


 五人息を合わせ「レッツゴー!」と、重ねた手を天へ振り上げると、各々異なる挙動でステージへと歩を進めた。

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