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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
茅ヶ崎エンターテインメントフェスティバル
177/273

いもっこプリンセス、ミスター烏帽子岩にご用心! 5

『ぶつかり合う烏帽子岩型の特大股間と上腕二頭筋。可愛さが罪な私を奪い合い、チャンバラ合戦は続きます。しかしなかなか決着がつかず、二人は消耗してゆくのでした』


「クソッ、野郎との肉弾戦は俺のバーニングハートに冷や水を浴びせられているみたいだ!」


 今更だけど、沙希ちゃんイケメンボイスお上手。声優さんみたい。


 でもなにより、烏帽子岩型の特大オ○ン○ンを振り回す沙希ちゃん、超楽しそう! 悦楽が表情に滲み出てる! ブルンブルン! ブルンブルン! ペチペチペチペチズッコンバッコン!


「俺だってそうだぞ、でっかいブツなんて触りたくねえ!」


『息切れしてヘトヘトな二人。もうイヤ、どうしてこんなことになってしまったの?』


 と、プリンセスが疑問を投げかけたところで、ピアノの音色が聴こえてきた。前奏の後、つぐみちゃんの歌唱が始まった。



 ◇◇◇



『奪い合うなんて悲しい』

・作詞、作曲:白浜沙希

・歌唱:小日向つぐみ(プリンセス)


 ねえどうして戦わなくちゃいけないの?

 私が可愛いのがいけないの?

 

 その剣は何のためにあるの?

 その拳は何のためにあるの?


「奪い合うなんて、悲しい……!」


 ああ、罪な女ね私は

 雪国の山奥から来たプリンセス


 ああ、遠く離れた海辺の街に

 争いの種を蒔いてしまったわ


 その剣は何のためにあるの?

 その拳は何のためにあるの?


 あなたの心に何度でも問いかけるわ



 ◇◇◇



 プリンセスの短い歌唱パートが終わった。え、なにあの子、普段は澄んだアニメ声なのに、芯の通ったオペラ歌手みたいな声で歌ってた。めっちゃ歌上手い。


 沙希ちゃんもつぐみちゃんもまどかちゃんも、みんなイケボなんだよな、羨ましい。


 夕焼けの渚で、息を切らし向かい合うミスター烏帽子岩と肉屋の男を見つめるプリンセス。


「俺の拳は、いつか出逢う、大切な人を守るためだ」


「俺のコレは、美しい未来の種を蒔くためさ!」


 プシューッ!!


 烏帽子岩の尖端せんたんから白い気体が猛烈な勢いで噴射された! 白く染まってゆく烏帽子岩。そうか、烏帽子岩はよく見ると潮が付着してるって、沙希ちゃんが言ってた。だから烏帽子岩の潮噴きを再現したんだ!


 烏帽子岩の噴射で白く霞んでゆくステージ。


 その間にミスター烏帽子岩と肉屋の男は捌けて、プリンセス、機関士、機関助手が残った。空は月明かりと江ノ島の灯台が照らす夜の海へ移ろっていた。


『こうして、プリンセスを巡る争いは収まり、街に再び平穏が戻りました。ミスター烏帽子岩さんとお肉屋さんは、これからお酒を酌み交わしに行くそうです』


「良かったな機関助手、今回もアレの出番がなくて」


「はい。もし彼らが争う姿勢を変えなければ、バズーカ砲で退治しなければなりませんでした」


「バッ、バズーカ砲!? わあっ!?」


 機関助手が背後から長さ1メートル、口径30センチほどのバズーカ砲を出すと、プリンセスはわざとらしく胸の高さで両手を開いて後ずさった。


 そうか、バズーカ砲で根絶やしにしちゃえばトカゲの尻尾切りにはならない。


「ああ、機関助手が趣味でつくってる特製のバズーカ砲さ。街の平和を守るために一応つくったんだけど、幸いにもまだ出番はない」


「よ、良かった……」


 右手を胸に当て、撫で下ろすプリンセス。


『危うくバズーカ砲で退治されるところだったミスター烏帽子岩さんとお肉屋さんは、何も知らず朝まで飲み明かしたそうです。


 その後、プリンセスは茅ヶ崎の街が大層気に入り、市民となってみんなと仲良く新しい暮らしを始めましたとさ。めでたしめでたし』


 ラストはミスター烏帽子岩と肉屋の男も出てきて横一列に、客席から見て左からミスター烏帽子岩、機関士、プリンセス、機関助手、肉屋の男の順で手を繋いで並び、深く一礼して幕が下りた。


 客席からは盛大な拍手が送られ大団円。


 脚本は下ネタの詰め合わせだったけどCGが綺麗だった! 感動した! 映像まわり全部やったっていう自由電子くんって、何者なんだろう?


 清々しい気分と余韻に浸り、私は一旦ホールを出た。



 ◇◇◇



 終演後、楽屋ではジャージに着替えた演者一同が休憩していた。


「なあ沙希、初めて台本読んだときから気になってたんだが、どうして俺がペニスモールだって知ってたんだ?」


「フフフ武道くん、プールだよ、学校のプール」


「学校の、プール?」


「そうさ、プールの授業で穿いてるパッツンパッツンの競泳水着。男子は女子の水着姿を遠目でジロジロ見ているだろう? しかしそれは、女子も同じなんだよ。ね、まどかちゃん」


「私に振るな」


「なるほど、そういうことか。確かに女子の水着姿を見て烏帽子岩が出来上がった男子もいたな」


「そういうのを見て童貞狩りを企む女子もいるぞい」


「そうか、人間の本質って、同じなんだな」


「盛んな人もいるし、そうじゃない人もいる。女も男も」


 しばし休憩して、同内容で13時の回の公演。続いて15時からは音楽の時間。沙希たちの即席バンド『茅ヶ崎ハッピーデイズ!』ほか数組のバンドが出演し『音楽の街、茅ヶ崎』を盛り上げる。予定。盛り上がったらいいな。

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