いもっこプリンセス、ミスター烏帽子岩にご用心!4
「あー、仕事上がりのメンチはウマイなあ」
「そりゃ良かった! もう1個サービスするぞ」
「ありがとう。まったく肉屋は人がいいな」
『ミスター烏帽子岩がプリンセスを案内しているころ、茅ヶ崎の東側にある小さな肉屋の前では、勤務明けの機関士と肉屋の男が立ち話をしていました』
「ヒソッ、ヒソヒソヒソヒソ」
『そこに何やら慌てた様子でやって来た機関助手が、機関士に耳打ちしました』
「なに!? ヤバいぞ、あの嬢ちゃん、ミスター烏帽子岩に捕まっちまったのか!」
「ミスター、烏帽子岩?」
『肉屋の男はミスター烏帽子岩を知らないようです』
「そうだ、ミスター烏帽子岩だ。いきり勃ったアソコが烏帽子岩みたいに太く長く反ってるからその異名がついた。しかもだ、浮気されて激怒した元カノが食いちぎっても、すぐに新しいモノが生えてきたらしい。何度食いちぎっても、まるでトカゲの尻尾みたいに何度も何度も、アソコは再生するって話だ」
「な、なんだと!? それは大変だ! ところでそのお嬢さんは、可愛いのか?」
「ああ、小柄でとびきりキュートなプリンセスだよ」
「とびきりキュートなプリンセス!? そうか、それは大変だ! 小柄でとびきりキュートなら、ビッグボディーペニスモールの俺のほうが相性がいいはずだ! いますぐ助けに行くぞ!」
「おい! それもどうかと思うぞ!」
『機関士と機関助手さん、それに下心丸出しの肉屋の男が私を心配して駆け出したそのころ、波間に夕陽がとろけるサザンビーチでは……』
「まあ、なんて幻想的な夕陽なんでしょう。うっとり……」
「プリンセス、夕陽を見た後は、そこのシャレオツなホテルでもっと情熱的な夜を過ごそうぜ」
「ご、ごめんなさい、わ、私はシャレオツなホテルより、小さな旅館の白いご飯と焼き魚とお漬け物とお味噌汁の朝食のほうが合ってるの……!」
『シャレオツなホテルなんて田舎から出てきたばかりにの私には敷居が高い! 宿泊費だって高い! やっぱり私は、和室で日本の朝食が、好きいいいいいい!!』
いもっこプリンセス、ミスター烏帽子岩の思惑を理解していない!
逃げ出すプリンセス。しかし、
「ちょ待てよ! そんなこと言うなって! 俺と熱い夜を過ごそうぜプリンセス!」
立ち上がって立ち去ろうとするプリンセスの腕を掴むミスター烏帽子岩。
「や、や、やめてー! 私にそういうのはまだ早いの!」
「待て待て待て待てーい! そこまでだミスター烏帽子岩!」
いもっこプリンセスのピンチ! そこに下心満載のヒーロー登場!
「なんだキサマ! 野郎になんか用はねえ!」
「俺は肉屋を営むいきり立つポークビッツ、神聖のエロガッパだ! 卑猥なキサマを成敗しに来たぞ!」
「ええい! どっちが卑猥だエロガッパ! いいだろう! 夜のジュースを賭けて勝負だ!」
『なっ、なんということでしょう! ミスター烏帽子岩さんとお肉屋さんのチャンバラ合戦が始まりました! ぶつかり合う烏帽子岩とお肉屋さん。お肉屋さんのアソコはスモールだから剣としては使えません! 仮に使ったとしても、牛刀にバターナイフで立ち向かうようなものです!』
「お嬢さん、こっちおいで」
『チャンバラをしている二人から少し離れた松の木の陰で、機関士さんが手招きしています』
カキーン! カキーン!
烏帽子岩みたいな股間と上腕二頭筋のチャンバラ合戦なのに、効果音は刀同士がぶつかる甲高い金属音。
「まったく、プリンセスにアピりたくてチャンバラするなんて、畜生同然だな」
「まるで、シカが角をぶつけ合ってるみたいですね」
ミスター烏帽子岩と肉屋のチャンバラを冷静に解析する機関士と機関助手。
「わ、私のために、そんな……! 私が可愛いのがいけないの? 可愛くてごめんなさい! でも、奪うための争いなんて、悲しすぎる……!」
台詞だからまあいいけど、ガチだったらドン引くやつだわこれ。
烏帽子岩型の股間と上腕二頭筋のチャンバラは、しばらく続く。どっちが勝つんだろう? どっちでもいいけど。