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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
高校3年3月 最後の潮風登校
155/273

うつくしまももかチャンネル2

『若きオタクたちの間で福島県といえば中通りの飯坂温泉! その魅力は私が語るまでもないよね。浜通りはオタクカルチャーもハワイアンズもある‘いわき’が有名。で、でですよ、福島県は3つの地方で構成されているわけですが、浜通り、中通り、あと一つ、そう、会津、‘あいず’じゃないよ‘あいづ’だよ。福島県でいちばん内陸にある会津は、会津鉄道以外ではあまりオタク文化が栄えていない陸の孤島。ある意味浜通りよりオーシャンビュー。猪苗代湖あるし』


 巡ちゃんVになると饒舌だなあ。うつくしまももかの魂が宿ってるね。


 猪苗代湖は私たちも卒業旅行で行った。対岸まで数十キロありそうなめっちゃでっかい湖。緑が生い茂っていてもどこか鈍色の雰囲気で、静かな場所だった。まどかちゃんと陸は野口英世記念館へ続くサイクリングロードで走ってた。


 湖から振り返るとスキー場で禿げた会津磐梯山あいづばんだいさんが聳えていて絶景。茅ヶ崎とは異なる内陸の趣があった。


『そう、猪苗代湖。今回は猪苗代湖の近くにある、猪苗代駅から路線バスに乗ってラクに行けるスポットを紹介しようと思いまーす!』


 うつくしまももかの背景が赤べこから猪苗代湖に変わった。氷柱が垂下する白鳥の湖。


『まずは野口英世記念館。2004年から発行されている千円札の肖像画になっている、黄熱病を研究して、自らも黄熱病に罹って亡くなった博士。その一生を、文章、写真、アメコミっぽい壁画、喋るアンドロイドなどで紹介していて、けっこう楽しい場所だよ。博士の生家も残ってますっ! この野口英世記念館の周りには、食堂や世界のガラス館、ビール館もあって、どっぷり浸かると4時間くらいかかるかも。これだけでも一日楽しめちゃう! その後は町内や、電車で磐梯熱海ばんだいあたみ奥会津おくあいづの温泉旅館に泊まって疲れを癒すのもヨシ! 旅は疲れを癒してナンボ!』


 そうそう、世界のガラス館。職人さんが手作りした、色とりどりのガラス製品は、まるでヴェネチアのよう。ヴェネチア行ったことないけど、茅ヶ崎にヴェネチアングラスのお店があるからなんとなくイメージ。中には百万円以上の作品もあってびっくらこいた。


『ああ、けっこう見どころある町なんだな、うちの地元。ポイ捨てとかあんまりしないオタクたちにも知ってほしいなー。そんな想いがあります。で、私が産まれたってわけ! うつくしまももかは福島を出るけど、これからもちょいちょい福島の魅力を紹介しようと思いまーすっ! いいねとチャンネル登録よろしくお願いいたします、切実に。それじゃまたねー、じゃねばーい!』


 ひらひらと手を振って、うつくしまももかの動画は終了。私はいいねとチャンネル登録をした。


「巡ちゃんすごいね。オタク趣味を否定されても‘好き’を貫いて、一人で地元をアピールしてるんだ」


「うん。私も応援してる!」


 つぐピヨが目を輝かせて両手の拳を握り、脇を締めて言った。


「アニメのオタクっていうのは、つぐみちゃんみたいに穏やかで、ゴミのポイ捨てとか、地元に迷惑をかけるヤツが少ないんだってな」


 と武道。


「そう、そうなんだよ武道くん! オタクは善人が多いんだよ!」


 いつになく熱いつぐピヨ。


「つぐみもやってみたら? V-tuber」


 唐突に振ったまどかちゃん。


「え、ええ!? そ、それは、ハードルが高いよお」


「ああ、でもつぐピヨならVさんじゃなくても、絵が上手いしなんかできそう」


 私もつぐピヨの2次元パフォーマンスは見てみたい。


「俺もつぐみちゃんが活躍する姿を見てみたいなあ」


「武道くんまで……」


 頬を赤らめて困惑するつぐピヨ。


「ま、無理にやることはないけどさ」


 クールに無理強いしないつもりのまどかちゃん。だがそれは言われるほうには煽りに聞こえる。


「うーん、私も、茅ヶ崎にマナーのいいお客さんが来てくれるのはうれしいから、何か考えてみようかな」


 頑張る巡ちゃんに触発された私たち。


 茅ヶ崎をいまよりいい街に。


 私も前から内に秘めてる目標に向かって頑張るぞい!

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