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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
高校3年3月 最後の潮風登校
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福島会津の配信者

 福島県会津(あいづ)地方、猪苗代いなわしろ町。会津若松あいづわかまつ市、磐梯ばんだい町、北塩原きたしおばら村、郡山こおりやま市、二本松にほんまつ市、福島ふくしま市、山形県米沢(よねざわ)市と隣接した田舎町。


 国内で4番目に大きい猪苗代湖いなわしろこがあり、スキー場と野口英世博士も有名。


 春には蕗の薹(ふきのとう)が芽吹き、夏には田んぼの稲が風になびいて、秋はそれが黄金に色づき、雪化粧の冬は白鳥が舞う、日本の原風景が残る。


 そんな四季折々彩り豊かな町で私は!! 自室に引きこもってスマホで動画視聴しまくりのたまにパソコンでバ美肉して歌ったり喋ったりの配信したりの廃人ライフを送っている!!


 日曜の朝だって人足にんそくにも行かずニチアサ三昧!! 美少女ヒーロー万歳!!


 だってそうだべ!? 話の合わない町の人たちと喋りながら倉庫の整理したり盗まれたものがあったら警察呼んだりして貴重な休日を潰すより、空の国から舞い降りてきた美少女ヒーローを見てニヤニヤしてたほうが絶対健康的だべした!!


 田舎暮らしに憧れてる人、朝は人足、昼は農作業、外を歩けば家の中から誰かが見てる、夜は飲み会でプライベートとかほぼないし、うちの場合は毎月近隣の誰かが亡くなって5万、年間60万飛んでるからな。田舎暮らしナメんなマジで!!


 ところで、交通の便が悪いのに頻繁に飲み会があるのはなんでだろうね。誰かが飲み会やってる家とか居酒屋に迎えに来てくれるのかな? かな?


 なお、我が親は飲み会は滅多に行かない。このようにバラつきはあるものの、田舎暮らしは総じて窮屈である。それが好きな人もいる。だが私にゃ苦痛。


 ということで4月、私は18年間過ごしたこの町を大学進学のため旅立ちます!


 行き先は昨秋に下見した神奈川県の茅ヶ崎。東北の田舎とは真逆の海の街、アバズレの街、湘南! でも日本一アバズレ率高いのは福島県らしい! 私は処女だけどね!!


 まあ別にね、猪苗代自体が嫌いなわけじゃないよ? 虫とか動物が出てきたって構わない。市街地にクマが出たときはさすがにびっくりしたけど、誰も怪我したり死んだりしなければまあ仕方ないってことで。


 私がちっちゃかったころはもうちょっと自然豊かで、ちっちゃいホームセンターがある国道49号線の堅田かただから烏帽子えぼしの間が拡張される前は小川とか庭先でハグロトンボたちがひらひら浮遊したりして風流だった。そういう良さは2次元で生きていたい私にもわかる。


 でも、新しい世界だって見てみたい。


 日本でいちばん都会で最先端の東京を見てみたいって気持ちは沸く。住むのは神奈川だけど。


 バラエティー番組で関西の人が言ってた。東京栄え過ぎやんって。私からすれば大阪とか神戸だって十分都会だけど、そこで育った人でさえも驚かせる圧倒的なものが首都圏にはある。もっと都会に行きたかったらニューヨークに行けって話。


 でも、都会漬けになったらこんどは田舎が恋しくなる。でもバイトしたってそんなに収入ないだろうから、頻繁には帰省できない。ホームシックでどうしようもなくなったら中退するけど、単に都会疲れで田舎の景色を見たいだけならそこまでする必要はない。


 田舎分を補給したい、けどどうすればいい?


 そう思いながら下見に出かけたら、茅ヶ崎のヤバそうな人たちが私を田園地帯に連れて行ってくれた。富士山が見えるけど、なんとなく猪苗代と共通する場所もあると知って、ちょっとホッとした。


 移住先に知っている人がいる。それだけでいくらかは気が楽になった。


「はぁ……」


 薄暗い部屋で溜め息ひとつ。


 猪苗代で過ごす時間はあと僅か。高校卒業してやることないし、実は私、バ美肉配信者なので、オタクに否定的な時代遅れの輩が多くて更に観光資源はたくさんあるのに交通の便が悪くてポテンシャルを活かせていない内向きな町に、ちょいと恩返ししますかね。

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