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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
高校3年3月 最後の潮風登校
149/273

小出川の桜並木

 高校を卒業して、大学入学まで約1ヶ月の休み。


 3月上旬の茅ヶ崎は、街のあちこちで河津桜が満開。


 ということで、私たち四人は小出こいで川の河津桜並木を歩いていた。オオイヌノフグリが咲く土と砂利の道。


 さて、私、まどかちゃん、つぐピヨ、あとの一人は誰でしょう?


 桜並木のある場所は萩園はぎぞの、新湘南バイパス付近。


 茅ケ崎駅からのアクセスは、北口バスターミナル5番のりばから45系統、小谷こやと行きに15分くらい乗って『番場ばんば』下車。


 バス停から少し小谷方面へ歩くと、昭和風情漂うコーヒー豆のお店がある。気になったので100グラムだけ買ってみた。


「ここは上に河津桜、下に菜の花がずっと続いててな、そんなに長い並木じゃないけど、綺麗な花が咲いてるには変わりないぞ」


 と解説するのは地元、萩園はぎぞの在住の武道。そう、残り一人は武道である。


「ほんとだね、横に川が流れてて、ちょっとした河津かわづみたい」


 武道の解説に相槌を打つつぐピヨ。


「河津の桜並木も横に川が流れてるよな」


「まどかちゃん、河津行ったことあるの?」


 私が訊いた。私も何年か前に家族で河津に行った。


「あるよ。去年、自由電子くんと踊り子に乗って行った」


 河津桜の本場、静岡県東伊豆(ひがしいず)の河津へは、茅ケ崎駅から電車だと東海道線の普通電車で小田原おだわら熱海あたみまで行って、特急『踊り子』などに乗り換え。片道2時間ちょい。桜並木は河津駅からすぐ。クルマで行くと大方渋滞に嵌まる。


 だがしかし、海辺から約3キロに及ぶ見応えある桜並木と出店の数々はブラボー! 時間とお金はかかるけど、一見の価値はあるぞい!


 で、お金のない私たちは茅ヶ崎の河津桜を見に来たってわけ。


 別に、茅ヶ崎の河津桜も悪くないんだからね? お金があったって見に来る価値はあるよ! たぶん!


 人がちらほらしか歩いていない、ほぼ地元住民しかいない河川敷を、武道の先導で南へゆっくり歩く。大して語ることもなくネタが尽きた武道は黙り混み、私たち三人も無言で風を感じている。


 小鳥のさえずり、黄色い足元、視線の先は濃いピンク、見上げれば青空、右を向けば広がる畑のずっと向こうに雪をどっさり被った富士山。


 出店はないけど、麗らかな春風に吹かれてのんびり歩くのもいいですなぁ。河津には河津の、茅ヶ崎には茅ヶ崎の良さがある。


 左の小出川では白鷺しらさぎとカルガモが水中に頭を突っ込んで何かを物色中。魚か貝でもいるのかな。


 川の向こうの高速道路にはクルマがちらほら。道路の継ぎ目を踏む音がここまで聞こえる。


 道路を渡り、こんどはまだ咲いていないソメイヨシノの並木。


 それを抜けてアスファルトの道に下り、橋を渡って対岸へ。こんどは梅並木の砂利道。


 白梅、紅梅、川にはでっかい鯉いっぱい。


 数分歩くと赤い鉄橋のある道、来るときにバスで通った鶴嶺つるみね通りに突き当たった。


 この近くにもう一ヶ所、茅ヶ崎の名所がある。


 プロフェッショナル向けのホームセンターとスーパーマーケットの前に、松の木が覆う赤い小さな太鼓橋。


「実は私、ここ、初めてなんだ」


「そうか、まあ、沙希たちは東海岸に住んでるからな」


 勝手に茅ヶ崎ナビゲーターをしているフルーツの香りがする夢のような女子、白浜沙希。


 しかし、市内に未踏の地ありけり。

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