表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
高校3年3月 最後の潮風登校
140/273

卒業ソング『愛すべき日々を目指して』

 換気扇と空気清浄機がフル稼働する、底冷えした3月1日の講堂。わたしのときも卒業式は3月1日だったが、瞳を閉じても瞼の裏に誰もいなかったと、ドラムステックを握り語るまみちゃん。職員たちは演奏の準備万端。校長がエレキギターを肩に掛けているのはなかなか意外な光景。


 んで、わたしはピアノ、まどかちゃんはベースを弾く。千葉県館山(たてやま)出身の某スーパースターを意識してサングラスをかけてみた。髪型は似ているからいじらなかった。


 卒業式なので、楽器の奏者も含めみんなで歌う。各楽器毎にマイクは用意されているけれど、みんなの声が響くよう歌うときは使わないように言われている。


「へーい! アリーナ! スタンド! ライブビューイング! 盛り上がってるかー!」


 まみちゃんのコールに「うおおおおおお!!」と、低レベルなクラスほどデカイ声が上がる。


「んじゃ、卒業ソングを作った城崎まどか! 曲の解説頼む!」


「うわ、なんかやりづら……。えーと、今回作らせてもらった『愛すべき日々を目指して』という曲には、学校生活が楽しかった人、楽しくなかった人、いますぐにでも辞めたい人みんなが、いろんなことが起きる人生の中で幸せに向かって歩いていって欲しいと願いを込めました。今後、日常の中のふとしたときに、何かあったときに思い出して、心の中ででも口ずさんでもらえたらうれしいです」


「ヒュー! まどかちゃんカッコイイ! さすが東海岸の開高かいこうたけし!」


「本家の開高健も東海岸だろ!」


 開高健は茅ヶ崎に住んでいた故人小説家。


 ヒューヒューヒューヒューヒュー! と、一部の生徒がわたしに続いた。


 指揮者はドラムのまみちゃんが兼ねている。パチンカスのリズムで奏でるなんとも茅ヶ崎らしい卒業式。


 何はともあれ、わたしたちが一所懸命に作った曲を、無事卒業式に歌えるよろこびを、いまは目一杯に浴びよう。



 ◇◇◇



『愛すべき日々を目指して』

・作詞、作曲:城崎まどか、白浜沙希

・編曲:自由電子


 私たちは旅立つ

 喜怒哀楽すべて引き連れて


 また会う日はいつだろう

 五年後十年後それともまた明日

 永遠とわの別れかもしれないな


 あるがまま生きてゆこう

 運命の方舟はこぶねに乗って

 オールを漕いで行きたいほうへ

 嵐に襲われ思うように進めない

 試練がいくつもあるだろう


 幸せのかたちはみな違うから

 自分だけの愛すべき日々目指して歩こう



 私たちは旅立つ

 美醜愛憎びしゅうあいぞう未来あすの力にして


 もう戻ることはない日々を

 思い返せばどんな色だろう

 薔薇色じゃなくてもいいんだな


 荷物が増えて重たいバッグは

 身軽になるアイテムも詰まってる

 許さなくていい癒えない傷は

 誰かを癒す薬にしよう

 それが生きるってことだろう

 

 叶わない夢もあるだろう

 叶えられる夢もあるだろう

 長い歳月かかっても


 素直でいることへの憧れを叶えよう

 ハリボテもしがらみも脱ぎ去って


 

 あるがまま生きてゆこう

 運命の方舟はこぶねに乗って

 許さなくていい癒えない傷は

 誰かを癒す薬にしよう

 

 幸せのかたちはみな違うから

 自分だけの愛すべき日々目指して歩こう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=50222365&si

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ