警察署から電話!
JKライフ残り一週間!
潮風香る学舎に通い、エレキやブブセラが響き渡る教室で悶々とするのもあと数回。雄三通りにはぽつりと一本、河津桜が咲いている。
自由登校ということで、まどかちゃん、自由電子くんといっしょに午前中だけ登校した。
2年生の自由電子くんを学校に残し、午後は雄三通り交差点でつぐピヨと合流。交差点の一角にあるアイスクリームショップで三人揃って茅ヶ崎産牛乳を使用したアイスクリームをぺろぺろ。容器はカップとコーンを選べ、三人ともコーンにした。
「うーん! うまい! うまいですぞこれは!」
「濃厚なのにさっぱりした後味でおいしいね」
「だね、こんな贅沢な暮らしして、私、茅ヶ崎から抜けられる気がしないわ」
「わかりみが深いのうまどかちゃん。食べものが美味しくて、気候が良くて、ほどほどにお洒落、緑もまあまあある、バランスが取れた街」
「緑といえば、最近河童さんはどうしてるんだろう」
と、つぐピヨ。そういえばそんなヤツいたね。
「さあね、西久保で本家の河童さんと呑んだくれてるんじゃない?」
「あんなの本家が嫌がるだろ」
「まどかちゃん酷い。同意しかないけど」
そんな話をしていた折、スカートのポケットの中でスマホが震えたので取り出したら、知らない番号からの着信だった。怖いので出ないでおくと留守電に切り替わった。
おやおや、何やらメッセージが録音されておりますぞ。
アイスクリームを食べ終え、メッセージ再生ボタンをタップしてスマホを耳に当てた。
『こんにちは、わたくし茅ヶ崎警察署生活安全課の○○と申します。また改めてご連絡させていただきます』
んんん? 警察? 心当たりがない。個人情報漏洩に繋がるからか、白浜沙希さんの携帯電話で宜しいでしょうかみたいな個人の確認はなかった。
「どうした?」
強張る私を心配して、まどかちゃんが言った。
「警察署から電話。間違いかな」
「ベランダで育ててる植物、実は大麻だったりしない?」
「ベランダに植物ないよ」
「あの、まさか、ご家族に何かあった、とか?」
恐る恐る言ったつぐピヨ。
「あるかもしれん」
特に悟。被害者と加害者両方の可能性を併せ持つ弟。
とりあえず私は安全性の観点から着信履歴からは折り返さず、ウェブで番号を調べて警察署に電話した。