表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/273

登夢道、細麺&裏メニュー!

 はてはて、駅ビルのカフェでロイヤルミルクティーを飲んで一服した夢のような女子。これからどうしよう。とりあえず散歩しよう。


 北口のペデストリアンデッキを下って国道1号線を潜る地下道を抜け、子どもたちがはしゃぐ中央公園を横切ると、丁字路と横断歩道が目の前に現れた。1分信号待ちをして、相模線に突き当たると、線路の向こうに2階建てのホームセンター。私もよく行くよ。


 線路沿いを、ホームセンターを右手に歩道を歩くと、道路を挟んで左にスーパー銭湯が現れた。あのエロガッパ、霊体で人によっては見えないのをいいことに覗きに来てないだろうな?


 そんなことを考えながら歩いていると、スーパー銭湯からよく見知った三人が出てきた。


「おーい! いい湯だったかーい?」


「おう! 沙希!」


「おう、散歩か」


「こんにちは」


 武道、陸、自由電子くん。


「ハロー! 散歩はからだにいいからね!」


「そうだな! 散歩はからだにいい!」


「俺らは文化会館の隣にある体育館で筋トレしてたんだ」


「なるほどアイシー。それで銭湯でさっぱりしてきたのだね」


「ああ。最近の銭湯はすげえな」


「武道、打たせ湯で修行してたもんな」


「おう、陸が岩盤浴、自由電子が露天風呂でくつろいでる間に精神統一してたぞ。これでまた、最強の男に一歩近づいた」


「そうか武道よ、なら次は天城越あまぎごえからの浄蓮じょうれんの滝で修行するかい?」


「天城越えはいいが、浄蓮の滝は外から見るだけで滝の中は立ち入り禁止だぞ」


「キサマ、よく知っておるな」


「何年か前に行ったんだ」


 そんな会話をしながら、私たちは踏切を渡り、二車線の道路に沿った右側の歩道を歩いて千の川を越え、円蔵えんぞう小・中学校、鶴嶺つるみね高校、湘南マドカ幼稚園の前を通過して鶴が台団地を突っ切る道を抜け、信号のない横断歩道を右へ、広い歩道から左に、回転寿司店の裏を横目に狭い裏道を辿った。信号のある高田たかだの横断歩道を渡って辿り着いたのは、お馴染みのラーメン店、登夢道。


「いらっしゃいませー」


 大将の奥さんに出迎えられ、手をアルコール消毒して武道、陸、私、自由電子くんの順に券売機の前へ。各々好きなメニューやトッピングを選んで、その場で奥さんに注文内容を告げ、四人がけの座敷へ通された。


 武道はガッツリ、もやしらーめん醤油の大盛り、野菜多め。


 陸はもやしらーめん塩の中盛り、野菜多め、メンマ、バタートッピング。間違いない定番のメニュー。


 しかししかし……。


「ムフフフフ……」


「どうした沙希。いつも通り不気味だぞ」


「なんとでも言いたまえ、醤油を選んだ武道よ。私も特製らーめんだけど醤油じゃ」


「おう、細麺もうまいよな」


 そう、登夢道の細麺はコシがあってうまい。特製らーめんはホッとするやさしい味で、女子にも食べやすい。


「そうじゃ、その細麺にな、特製らーめんにな、なんとなんと、マー油を足したのじゃ」


「マー油、だと……?」


「そんなの券売機のボタンにあったか?」


 意表を突かれた武道と、疑問を呈する陸。


「ないんだなこれが。百円玉手渡しの裏メニュー。これがうまいんだな。正に色も味もダークホース。そういえば自由電子くんもコイン渡してたよね」


「はい、もやしらーめん醤油に生玉子と、〆のライスです」


「な、なっ、なぬーっ!?」


 そ、そんな裏メニューがある、だと……?


 醤油に生玉子! すき焼きみたいで美味しそう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=50222365&si

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ