ふくすまカルチャーショック!
「あっ、あああ……」
「ん、どうした?」
呆気に取られた私を見て、首を傾げる沙希ちゃん。つぐみちゃんとまどかちゃんも不思議そうに私を見ている。
「でかい、何もかもでかい……」
「ショッピングモールは初めて?」
と沙希ちゃん。
「何度か行ったことはあるけど、ここはスケールが違う。しかもエントランスからお洒落な洋服屋さんに化粧品屋さん」
「福島は違うのか?」
続いてまどかちゃん。
「福島っていうか、田舎のショッピングモールはだいたい庶民的なお店が集結してて、高級品は郡山みたいに栄えた街の中心地にある名だたるデパートに行かないと手に入らないのに……」
「へえ、一口にショッピングモールって言っても地域によって違うんだね」
関心するつぐみちゃん。
「ふむふむ、海老名にあるショッピングモールもこんな感じだから、だいたいこうなのかと思ってた」
「大型スーパーとデパートの間くらいのな」
「まどかちゃん上手い!」
沙希ちゃんとまどかちゃんもカルチャーショックを受けているみたい。
それから私はみんなにショッピングモールを案内してもらった。中には庶民的なお店もあったけど、過半数はちょっと高めのアパレルブランド、海辺のリゾートライフに合いそうな洋風のお洒落な家具や食器のお店が占めていた。
何これ、レベチすぎる。
テラスに出て、街の風に当たる。眼下には駅やビル、住宅地が広がり、「あれが江ノ島だよ!」と沙希ちゃんが指差した先には、鯨のような形状の何かがあった。真ん中に白い灯台がニョキッと建っている。住宅地の向こうに広がる海は果てなく青く、うっすらと島影が見えた。沙希ちゃん曰く、伊豆大島というらしい。
「これから私、湘南でやっていけるかな?」
きのうラーメン屋さんに行く前、田んぼと山を見てちょっと安心したけど、やっぱり文化のレベルが違いすぎる。磐越西線で見るようなお洒落を履き違えて下手に着飾った若者よりは浮かないだろうけど、それにしても……。
「だいじょぶだいじょぶ! 私たちがいる!」
「そうだな、慣れない街での暮らしは戸惑うだろうけど、居場所はあるよ」
「うん、アニメ好き同士、仲良くできたらうれしいな」
「むぃ、むぃんぬぁ……」
新天地でやさしさに触れて、涙が溢れそう……。
「あ、アニメといえば……あの、良かったら、ちょっと」
と、つぐみちゃんが私たち三人に奥ゆかしく同意を求めてきた。