再びの登夢道!
夜闇の田園地帯からクルマを走らせること5分、登夢道に到着した。開店直後で私たちが最初の客。
外観も内装も木造の温かみがあって、気さくな夫婦が出迎えてくれる入りやすいお店。
「クッソ、クルマだからビール飲めねぇんだった」
券売機の前で悔やむまみちゃん。
「飲酒運転なんかしたらもう絶交だわ。警察と校長にチクって懲戒解雇にしてやる」
「そこまで終わっちゃいねぇよ。これからもサーフィンとか寝坊で遅刻して減給はされまくるだろうけど、マジでやっちゃいけねぇことはわきまえてる。さて、どれにすっかなー。巡は好きなの選んでいいぞー、きょうは私のおごりだ」
「え、そんな」
巡ちゃん、自己肯定感が低いんだろうな。だから、こんな自分に向けられた親切心に恐縮するんだ。私も虚勢張ってるだけで自己肯定感低めだけど。
「そういうときは、素直に‘ありがとう’って甘えとくもんだ」
「まみちゃんありがとう!」
「お前は自腹だ」
「えぇ……」
可愛い生徒にラーメン一杯もおごってくれないとは。
「えーと、ありがとう、ございます。それじゃ、お言葉に甘えて」
まみちゃんが千円札を入れると、巡ちゃんは恐る恐る特製らーめんのボタンを押した。看板メニューのもやしらーめんよりちょっと高い、まろやかで洗練されたスープと細麺が特長の、定期的に食べたくなるメニュー。
「特製らーめんか。いいセンスしてるじゃねぇか。私はやっぱこれだな。あとは……」
まみちゃんは千円札を追加投入。定番のもやしらーめん中盛り、肉2枚増し、その他何らかのトッピングギョーザ6個、ソフトドリンク。
続いて私もポケットマネーを投入してボタンをポチポチ食券4枚。
登夢道には、もやしらーめん(醤油、塩、味噌、漁師味噌、辛味噌、山椒辛味噌)、特製らーめん、らーめん(具の品目数が異なるがスープと麺は同じ、醤油、塩、こってり、あっさり)、まぜそば(醤油、味噌、マー油、カレー)、つけ麺(魚介出汁)、餃子、チャーシューごはん、ネギチャーシューごはん(いずれも醤油、塩ダレ)、ライス、その他期間限定メニューがあるときもある。
この豊富なメニューも、登夢道が老若男女に愛される要素のひとつ。
そして今回私が選んだのは、まだ食べていない未知のメニュー。