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B級聖女漫遊記  作者: さん☆のりこ
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それぞれの恋話~非常識コンビ編

今度の恋話は、あの2人で・・・。

「ターニーさんが病気?」


何でさぁ?癒しの魔術でも何でも、サッサと自分で施せば良いじゃん?

普通そう思うよねぇ・・・。


「それが「安易な癒しの魔術は基礎体力の低下を招く」って言って何もしようとはしないし、医者も呼ぶな、必要ないって・・・ただベットに潜り込んでガタガタ震えているんだって。」


まあねぇ、免疫を付ける事も大事だろうから、あながち間違いとは言えないが。

見かねた兎メイドシスターズの8番目が、シ~ノン様のドラゴン様にお伝え下さいと、お姉さまの所まで頼みに来たんだそうだ。

普通の感覚ではドラゴンに無暗やたらと近づいたりはしない、根性有るな8番目・・・これはあれか?<看病イベント>の発生か?

・・・鉄板だもんな・・・好きそうだよな8番目・・薄い本とか自ら書いていないだろうな・・・怪しい・・・これは調査が必要だ。

詩乃の中学の同級生は<数学>のノートに同級生×保健室の先生のアレな小説を書いていた・・・詩乃も読者であった・・貸出金額は30円であった様に思う。

因みに<お姉さま>とは、ターニーさんの熟女ドラゴン<グリーンカルサイト>さんの事である。


「しかし、どうしろと・・・。」


冬だから日が暮れるのが早くて、もう辺りは真っ暗だし・・・モルちゃんは昼間の作業で疲れていて飛ぶなんてとんでもないし、しかも夜空を飛んだ経験など無いのであった。

ここ伯爵領と王妃領ランパールまでは、新宿~甲府ぐらいの距離かな?

8時ちょうど以外でも、あずさなど走っていないし・・どうしよう?


え~~~とぅ。

「ターニーさん聞こえる?具合が悪いんだって~大丈夫?」


何もない夜空に向かって問いかけてみた詩乃の姿は、一瞬にして神隠しの如く伯爵領から消え去った。


「キャァ。」


突然消え去った詩乃に、モルちゃんは驚きパニックとなったが《大丈夫、屋敷に戻っただけ》と、優しいダーリンズに慰められて落ち着きを取り戻した。

クルルゥゥン~~クルルゥゥ~~ンと、恋の歌が流れる・・五月蠅えよ!!

ドラゴンズはお世話係のラセンさんにマッサージして貰いつつ、可愛いモルちゃんを眺め、ゆったりと満ち足りた夜を過ごすので有りました。

そのラセンさんは過労気味なのだが

『何だかドラゴンがどんどん増えて行く。』・・・ガンバ!!



     *****



気が付いたらランパールの御屋敷に着いていました、こんな長距離の瞬間移動は初めてだ・・・ビックリだよ、凄いねターニーさん病気なのに。

しかも目の前に馬鹿デカいベットが有って、それがこんもりと盛り上がり・・・何やらガタガタと震えて(悪魔付き?)いたと思ったら・・・。


「熱いっ!」


ものすごく不機嫌そうなターニーさんが、シーツをはねのけて露わになった、高熱に上り詰めて寒気の時期が過ぎた様だ。


「お久しぶりです大丈夫ですか?熱はどのくらい?あぁ、体温計が無いや。」


詩乃はトコトコとターニーさんに近づくと、自分を洗浄の魔術具で無菌化してから<空の魔石>を取り出し、ターニーさんのパジャマの前を寛げて脇に石を押し当て「検温」と唱えた。突然の事で驚き過ぎて対処できず、されるがままだったターニーさんは・・・。


     ボンッ・・とばかりに真っ赤になった。


ミルミル上がる体温・・意識するなって、これは医療行為の一環ですから。

お兄がいたからね、男の裸(上半身)なんか見飽きてんですよ・・筋肉披露してきたり、ポーズ取って見せたりウザいったらなかったねぇ。


「うわぁ、40度オーバーですよぉ・・・これは辛いでしょう。何で医者を呼ばないんですか?」

「喉が痛いだけだ・・・昔からよくなる・・・明日には治る。」

「喉で短期決戦?・・扁桃腺かなぁ?」


詩乃はそう呟くと、ライトと唱え指先に光を灯した。


「はい、ターニーさんこっち向いてア~~~ンして?」


『ア~~~ンだと?ひな鳥の様に口を開けて、アホ面を晒せと言うのか・・・ぐぐぐぅぅぅ・・・・。』

葛藤するターニーさんの心を丸ッと無視して、顔を両手でグワシと掴むと上を見上げさせ。


「ア~~~ン。」


と強制して来る・・・この魔術師長の私に対して・・・ウグゥ・・・オエッ。

詩乃は容赦なく、金属製の例のヘラ・・で舌を押さえ喉の奥を覗き込んだ。


「うわぁ、喉が真っ赤・・・これは痛いし熱が出るわ、でも白い点々は無いからまだましで早く治るかな?。今は寒気は収まって熱いぐらいなのか、ふんふん。」


何やら頷いて出て行こうとするシュノ、思わず服の裾を掴んで引き留めてしまう。


「メイドさんに着替えの用意を頼むのと、汗をかいて脱水になるといけないから保水液を料理長に頼んで来ます、食欲がなくても水分は取らないとね。」

「其方は必要はない、此処に呼び出せば良い。」


そう言うとターニーは枕元に有るガラスのベルをチリリ・・ンとならした。


    *****


いつの間にか詩乃が屋敷に帰っていたので、使用人の皆様は軽くパニクッていたが、其処は優秀な方達・・・瞬く間に詩乃の希望する品を寝室に運んで来てくれた。


「ですからねぃ、熱が出て汗が出過ぎると体の中から水分・・・え~~~ナトリウムとかカリウムとかの電解質がどうたらこうたらで、とにかく脱水症状になって危ないんですよ。だから水を飲みたいところですけど・・・吸収を良くするためにぃ。」


詩乃が作っているのは所謂<経口補水液>とか言うモノの自作版だ、買うと結構なお値段がするからな自作するのだ。何たってお兄は道場なんかで大量にその手のモノを消費するから、有名メーカーのモノなんか家計費から出したらエライ騒ぎである、詩乃の取り分の小遣いが減るでは無いか。

だからの自作だ・・良いんだ、プロのアスリートじゃああるまいし十分十分。


「え~~、1000mlの水に・・・デカいジョッキに、塩3g・・・ひとつまみ。砂糖は貴重だから蜂蜜をスプーンに2杯・レモン・・・モレンの汁をスプーン1杯入れてかき混ぜる。はい、出来た・・・飲みやんせ。」

「何故塩を入れる、蜂蜜の意味は、モレンにはどのような効能が・・・ゴホゴホゴホ・・・。」

「はいはい、質問は元気になってからね。さぁ飲んだ飲んだ。」


魔力で少し冷たくしてあるから、火照った体には嬉しいだろう。

ターニーさんは恐るおそる飲んでいたが、体が喜んだのだろう・・・やがてゴクゴクと勢いよく飲みだした。よしよし。


「喉には大根飴が効くんだけど、この世界に大根ってあったかなぁ・・・見た事無いし。駄目か・・カリンはあるかな?」

料理長に聞いて民間で使っている、風邪の時の薬膳的なアレコレを用意してもらう事にした。


「汗で気持ちが悪いでしょう、新しいパジャマん着替えて・・あぁ、冷たいタオルで体を拭きます?サッパリしますよ?」


・・・ターニーさんは・・・<全然異性として意識されていない>・・・とか何とか、ブツブツと言っていたが自分で清浄の魔術を掛けていた。

それもいいけどさ、サッパリ加減が違うんだけどな・・・詩乃は構わず洗面器とタオルを用意させ、冷たい水を魔力で出すと固く絞ってターニーさんの手や腕を拭き出した。

『大きな手だねぃ、お兄の手も大きかったけどまだまだ子供の手だったね。この手は・・・働く大人の手だな。責任を背負って、すっくと立っている大人の手。』


「冷たすぎないですか、大丈夫?・・・それなら。」


詩乃は柔らか結界に氷を包むと、冷や冷やしたモノを造り出した。


「両脇とか首筋・太腿の付け根とか・・・いや?別に嫌らしい訳では無くて、太い血管・・血の流れる道を冷やすと体全体が冷えるんですよ。気持ち良くなくないですか?」


首筋に当ててやると、ホゥと息を漏らしたから太ももの付け根にも入れてやろうとしたら、焦って手を押さえて来た・・・だから!医療行為だってば!!変に意識すんなよ。両手を掴みあって、何だかプロレスの力比べみたいだ・・ぐぬぬぬ・・病人の癖に生意気な。ベットの上で組みあい睨みあう事しばし、結局ターニーさんが折れて、自分で塩梅の良い所に置いたようだ・・・ほらご覧、気持ちが良いだろうさぁ。



患者が落ち着いて来たので、ベルで使用人さんを呼び出し、卵と牛乳・ニバラエッセンスを持って来て貰って時短魔法でアイスクリームを作り食べさせる。

口の中が冷えて喉の痛みにも良いようで、食べた途端フッと笑った・・・熱が有ると素直だね、表情が初めて読めたよ。


「美味しいでしょう?アッシの故郷の味だ。」


病人は抵抗する気力も無くなったのか、素直にア~~ンされている。


「アイスクリームは熱の時には良いよね、それから喉の痛みが取れたらビタミン・・え~~~と果物とか食べて下さいね、熱が出るとビタミンが不足するそうだから。」

「何故其方はその様な知識が有るのだ?医者ではなかろうに。」

「学校の保健体育の時間で習った?~~~漫画で読んだような。」


なぜ似たような内容なのに、擬人化された漫画の方が教科書より良く覚えているのだろうか・・教科書会社(及び・担当教諭)の人は泣くなきっと・・まぁ頑張れ。


「これなら病気になるのも、悪く無いな・・・。」


小さな子供の様な事を言うターニーさん・・・。

そうなのだろう、だから<看病イベント>は鉄板で、弱った心に付け込む<吊り橋効果>には抜群なんだろうさぁ。


「体が弱ると、心も緩んで魔力が漏れやすくなるものなのだ。」


ポタポタと水漏れをする、水道の蛇口の様な事を言い出した。


「漏れる魔力が危険だからと、病気の時は誰も私の看病には付けなかった・・・ベットの脇の机に、搬送の魔術陣が置いてあって、食事や水・薬がいつのまにか届けられていたものだ。」

「今はともかく、小さな子供の頃は寂しかったでしょう?」


詩乃の両親も、共働きの為に病気になっても看病はして貰えなかったものだ・・。

でも爺ちゃん婆ちゃんがいたからな、桃缶を開けてくれたり、リンゴを摩り下ろして食べさせてくれたりして、大事な子供になった様で嬉しかった覚えが有る。

子供の時に体験しそこねて、置き去りにされた感情【あの時の寂しさ】って奴は、大人になってもヒョッコリと顔を出すもの何だよね・・・きっと。

詩乃も小学生の頃、授業参観に来てくれなかった両親に、一抹の寂しさを覚えていたのは確かだった。仕事が休め無いのだから仕方が無い・・・理屈では解ってはいるが、感情はそう素直に言う事を聞いてはくれないものだ。


「楽になったら眠るが良いですよ、眠るのがいっちお薬だ。アッシが傍に付いているから安心して眠るが良いさぁ。」


ポタポタと魔力水道が漏れ出しても、安くて・早くて・安心の詩乃様がいるからね・・・何たって魔力不感症だぁ、熟睡でも漏れに安心・安全の3重構造だぁ・・・ってなんのこっちゃ。



すーすーすーすーすー


気持ちよさそうに寝息が聞こえる、そうです・・スイマセン詩乃の寝息でした。

昼間肉体労働に勤しんでいるからね、横になって(今日はベットの横の椅子だが)3分有れば寝てしまう。何だか黙ったなと思ったら、コックリコックリと船を漕ぎ出して、半立ちの状態でボスンとベットに突っ伏すと本格的に寝始めた。


『そうだった、この小娘は異様に寝つきが良かったのだ。』


すーすーすーすー・・・グルルルル~~~~・・・すーすーすーすー


夕飯抜きだったからね、合の手に腹の虫まで鳴き出す始末。


挿絵(By みてみん)


「・・・一人で無いと言うのは、存外やかましいモノなのだな・・。」


ターニーさんはむくりと起き上がると、チリんとベルを鳴らし・・・騒音の基を彼女のベッドに入れてやる様に使用人に申し付けたのだった。



    *****



「何だか思ったのと違った~、甘い雰囲気にはならないし・・・シ~ノン様は先に寝ちゃうし。しかも眠った詩乃様を、ご自分でお姫様抱っこをする事も無く、浮遊の魔術で浮かせて移動させるなんて・・・違う!断固拒否する!!全然ロマンチックじゃぁ無い!」


兎メイドシスターズの8ちゃんは、二人のやり取りの一部始終を知りたくて<呼び出しの為の待機>と主張しつつ、聞き耳を立ててドアの前に張り付いていたのだが(ウサギだけに耳は良いのだ。)昨晩のイベントの結果にはたいそう不満が有る様だ。

メイド達の控室で、今日の仕事の分担を確認する為に集まった姉妹相手に愚痴っていた・・・まだメイド長が来ていないので気楽な雰囲気だ。


「普通は手を握って励ますとか?病に倒れた相手に愛を囁くとか・・・有るでしょうに。それがドッタン・バッタン・・・何なのさぁ。」


(それは、太ももの付け根に結界氷嚢を当てようとする詩乃と、阻止しようと太ももをピッチリ閉めるターニーさんが争う音で・・・何か色々と逆では無いか?)


「ご主人様も寝落ちしたシ~ノン様を、ご自分のベットに入れて差し上げるとかすれば良いのに・・・その後、ほら<君の愛の行方>とか、<禁断の愛・・・心震えて>の主人公みたいに・・。」

「うん、みたいに?どうするのかな???」

「優しく抱きしめて、✖✖とか~~?✖✖✖とかさぁ。旦那様には色々と読ませているのに、存外不甲斐ない・・・もっと凄いのを読ませて。」

「ふ~~ん、そうなんだぁ。読ませてどうすんの?」




「ぎゃぁ~~~~詩乃様、いつの間に後ろに・・・・・。」


8ちゃんの肩に手を掛けた詩乃は、にっこり笑ってはいたが・・・お約束の様に目は少しも笑っておらず、物理的に冷たく凍り付きそうな殺気を放っていた。

詩乃の登場に8ちゃんだけ気が付いておらず、他のシスターズはサッサと逃げた後だった、流石逃げ足が速い・・・兎だけに。


「悪いね、長年の習慣で朝は早起きなんだ。で・・読ませたのかなぁ~~。何をどの程度?事と次第によっちゃぁ詩乃様許さないよ。」






「ひいいいいいぃぃぃぃ~~~そんな殺生なぁ~~~~。」


数分後、8ちゃんの部屋に詩乃のガサ入れが入り、大量な薄くてアレな本の写し(違法)と、書きかけのアレな原稿が見つかって焼却処分と相成った訳である。

ご愁傷様、でもこの手の話は赤の他人だから面白いんだ・・・解るよね?


一晩良く寝たターニーさんは次の日には元気を取り戻したし、詩乃は現場に戻って行ったが・・・真っ白な灰となった8ちゃんは・・数日間使い物にならなかったと言う事だった。


可笑しい・・・全然甘くならない・・・(/ω\)。

うがいの効果は、昨今疑われていますが・・・緑茶や、塩とか良いそうですねぇ。

やらないけど・・・(=_=)。

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