一話 変なやつが現れた。
世の中には様々な『色』で溢れかえっている。
赤。青。緑…挙げれば数え切れないほど。
僕は絵を描くことが好きだった。様々なコンクールで賞を貰ったりした。絵を描くことが自分に定められた運命だとも思えた。
しかし、いつからだろう。
僕の日常から色が消えた。
「それじゃあ一人ずつ自己紹介するぞー」
どうして入学式の後の最初の授業というのはこうなのだろうか。
別に興味もないクラスメイトの自己紹介を聞いて、話したくもない自分のことを話す。
僕にとって最悪の時間だ。
「それじゃあ次、李月」
「はいっ!」
(デカイ声でうるさぃな…)
「李月 春花です!好きなことは食べることです!座右の銘は後悔先に立たずです!!」
(アホかこいつ…ってまさか…)
「それじゃあ次は、谷ヶ崎」
「あ…はい…」
「谷ヶ崎………遥です…」
「おおお!李月と同じ名前じゃん!」
「ほんとだー!同じはるかだね!よろしく!遥!」
(イキナリ呼び捨てかよ…だから女みたいな名前は嫌なんだ…)
「好きなことは…特にありません…」
「よし、これでみんな終わったな。それじゃあ3年間仲良くしろよー」
長かった自己紹介も終わり、休み時間だ。本でも読もう。
「ねぇ!遥!」
「ヒァフ!」
変な声がでた。
「何ヒァフっち笑笑笑笑」
「うるさい!誰でもイキナリ来られたらびっくりする!」
(ほんとコイツは何なんだ…)
「これからよろしくね!遥ちゃん!」
「ちゃんはやめろ!ちゃんは!」
(だから女みたいな名前は嫌なんだ…)
「おーイキナリ仲いいなお前ら」
「別に仲よくないですよ先生…」
「仲の良いお前らに仕事があるぞー」
「えっ…なんすか…」
「ふふふふ…」
(ついてないな…教科書運びなんて…)
「よし、じゃあ私はコッチ持ってくから遥はソッチの青いやつ持ってきて!」
「…青いやつってどれだ」
「だからその青いの!」
「…スマンが俺、色が見えないんだ。」
「えっ??」
思った通りの返答だ。このことを話すとみんな同じ顔をする。こいつだってきっと…
「それだよそれ!」
今度は指を指しながら言った。
「色が見えないこと不思議に思わないのか?」
「確かに不思議だとは思うけど、みんな違ってみんな良いだよ!!」
初めてだった。このことを話すとみんな揃って
「それは大変だね…気の毒に…」
なんて言う。でもこいつは違った。
何故だかその時、もっと話してみたいって思った。
モノクロ第1話を読んでいただきありがとうございます。
小説を書こうと突拍子のないことを決めて書いたのですが、素人なもので読みにくい所などあると思います。
我慢して読んでくださいね(はぁと)
次も宜しくお願いします。