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聖女の条件  作者: 杜若 白花
第四章 帝立アリアルト魔法学校
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76

 部屋に戻り、ベッドへと運ばれてしまった。


 ヨハネ教官は私を寝かせると帰られたので、リーナに報告しようと起き上がると、侍女達が心配そうにしている。


「大丈夫よ。医務室で治療も受けたし休んでも来たから。ちょっとリーナと話たいの。もう少ししたら調理も始めたいし、今じゃないと話せないでしょう?」


 そう私が言ったら、ブランシェ達は苦笑しつつ部屋を出て行こうとする。


「ありがとう、心配してくれて。でも大丈夫だから」


 私が声を掛けると、ブランシェが代表して答えてくれた。


「痛み入ります。何かございましたら、遠慮なく仰って下さいませ」


「勿論そうするわ。ありがとう」


 皆一礼して部屋を出て行ったのを確認し、リーナに連絡。



「どうだったの? 遅かったけど、何かあった?」


 通信機からも感じられる不安そうなリーナの姿に、私は苦笑しつつ、どう答えた物か悩む。

 やっぱり、治療してもらった事を言ったら心配をかけてしまうだろうから、これは秘密にしておこう。

 後は放課後の買い物の件を伝えなくては……

 リーナに色々迷惑をかけて本当に申し訳ないと思うから、少しでも負担は減らしたいのだが……


「ちょっと色々ね。大丈夫よ。ただ、医務官の先生からで放課後の買い物についてちょっと追加事項があるの。リーナに色々迷惑を掛ける事になってごめんね」


 リーナは目を丸くした後、心配そうに


「何? やっぱり医者から駄目だしされたの? そんなに悪い感じだったら、私の方こそごめんね」


「大丈夫だよ。それ程じゃないから。ただね、移動は車でって言われたの。あまり歩かない様にって。それと帰ったら即医務室で検査すれば良いからって許可はちゃんともらったから」


 私が慌てて答えると、リーナはホッとした様に


「そうなんだ。まあ、病み上がりだしね、車で移動は私もそうするつもりだったし、車の予約もしておいたから安心して。医務室で検査も納得だよ。相当悪かったらしいんだから、出掛けたら診てもらった方が良いって。楽しみだったけど、エルザの体調が一番大事なんだし、気にしなくて良いよ」


 そう言ってくれると、私も気が楽になる。


「ありがとう、リーナ。気を使わせてしまって、ごめんね。私もリーナと出掛けるの凄く楽しみだったから、中止にならなくてとても嬉しいの」


 リーナも嬉しそうに微笑んでから、表情を改める。


「良かった……! それじゃ、ファイヤーターク教官との話、報告お願い」


 私も気合を入れ直し、表情を正して説明を始める事にした。





「うん、それで大丈夫だと思うよ……だた、その、気になった事があってね……」


 私の報告を聞き終わって、リーナは聞き辛そうな様子に成りつつな様子に不安になりつつ訊ねる。


「良かった。それで、気になった事って、何かな?」


 リーナは難しい顔ではあるけれど、それでも心配そうに私に訊ねた。


「あのね、その、スポットライトが中っていた人さ……もしかして、瑠美の従兄弟さん、の可能性は……無い、のかな……?」


 私は、その言葉に、顔を顰めるしかなかった。


「……分からないの……もしかしたら勇なのかもしれない……でも、違うのかもしれない……確証が無くて……」


 リーナは不思議そうに


「真っ黒い影でしかないんだっけか……だから分からない感じ……?」


 私はどうあの感じを言葉にしたらいいか悩みながら


「……それもあるけれど……一番の理由は違うの……こう、感覚が遮断されている感覚と言うか……認識が阻害されていると言うか……そんな感じで、どうしても相手が誰だかが分からないのよ……」


 私の説明に、リーナは顔を厳しくし


「それはまた問題だね……きっと意味はあるんだろうけど……誰かが分からない様にしてるのかな……」


 私にはそれは分からないけれど、気にはなるのだ。


「分からないわ……ただ、二日連続でそういう夢を見たものだから、ちょっと不安になってしまったというのはあるかもしれないね」


 リーナは明るく笑いながら


「考え過ぎもダメだって言ったでしょ。たまたまかもしれないんだし、気を楽にね」


 リーナの言葉に、私もちょっとだけ心が軽くなる。


「ありがとう、リーナ。色々話を聞いてくれて。おかげでとても助かっています。これからもよろしくね……って、あの、ごめんなさい。迷惑を掛けるって宣言している様なものね……」


 私がしょんぼりとしたら、リーナは温かく笑って


「気にしないでって言ったでしょ。私はエルザの力に成りたいんだから、迷惑じゃないって。変に隠されるより相談してくれた方がありがたいと思うよ、私は」


「……ありがとう、リーナ。リーナが居てくれて良かった……」


 私が感極まっていると、リーナは嬉しそうに笑いながら


「私も、エルザが居てくれて良かったって思うよ。おあいこなんだから、もう気にしないの」


 私は嬉しくて、胸が一杯になりながら、それでも答えた。


「ありがとう、リーナ」


「どういたしまして」


 私の言葉に、片目を瞑りながら答えてくれたリーナ。

 本当に、彼女と出会えて私は幸せだと思う。

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